2007年当時、ソフトウェア開発者のMarc Andreessen氏はスケジュールを立てないことの大切さを信じていました

自分の好きな時に、一番大事なことや最も興味があることに取り組む。それが幸福度の向上や、時間の節約、フロー体験の促進に繋がると当時の彼は確信していたのです。

しかし2020年になると、Andreessen氏は綿密なスケジュールを組むことの大切さを口にするようになりました。曜日が彼のその日のありようを決めるようになったのです。

彼がかつての自分のルールをひっくり返したのは、ベンチャーキャピタル企業を立ち上げるという新しい環境に順応するためでした。

生産性を「後ろめたい楽しみの1つ」と表現するAndreessen氏の気持ちは、私にもよくわかります(読者のみなさんもそうかもしれません)。

私が初めて“生産性”に目覚めたのは、大学のサマースクールで燃え尽きたあとの新学期を迎えている時でした。

私はまた学業に戻らなければならず、生産性に関するアドバイスとは、オタクっぽくて面白い、一種の先延ばしのようなものでした。

勉強するための“意志力”が1日1~2時間しかなかったら、どうするだろう? どうすれば、もっと勉強できるよう徐々に自分を慣らしていけるだろう?

生産性の基本原則とは

それからの私は、何百時間(ひょっとすると何千時間かもしれません)という時間を投じて、ほかの人たちがどのように仕事や勉強に励んでいるかを研究してきました。

私がやっている動画シリーズ「Prologue」では、ポスト・マローンなどのアーティストから話を聞いてきました。ものすごい数の本を読んだり、著者にインタビューしたりもしました。米Lifehackerのスタッフライターとして、心理学や生産性に関する記事も書きました。

こうした体験を通して、私はさまざまなことを学んできました。そのなかでもっとも重要なことの1つはこれです。

ある人が、ある方法で成功を手にしているとします。

すると必ず、それと逆のことをして同レベルの成功を手にしている人が、ほかにいます

Andreessen氏のケースは、同じ人が真逆のルールを採用して成功をおさめている一例なのです。

生産性は、産業化時代の工場から現代のオフィスへと、その舞台を変えてきました。工場での生産性は、各労働者の効率を測る明確な定量的指標でした。

一方、オフィスでのそれは、心理学や創造性、ビジネス活動、コラボレーション、コミュニケーションなど、さまざまなものの組み合わせです。けれども、その語源のとおり、今もその根本にあるのは効率よく仕事をこなす能力です。

現代における最大の変化の1つは、個人(「集団」ではなく)にとって最良の生産性の原則が、すでによく知られている次のようなものだということです。

  • 健康を維持する(身体的・精神的・経済的に)
  • 一度に1つのことに集中する
  • 通知をオフにする
  • 必要なだけの睡眠を取る
  • 取り組むべきことを時間をかけて選ぶ
ToDoリストに依存しない! 優先事項に集中できるようになる習慣3つ

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生産性維持に役立つ3つテクニック

私の考えでは、個人にとってもっとも価値ある、汎用性の高い戦術は上記の原則を強化することです。

たとえば、正しい行動を選択するためのメンタルモデルや、リラックスしたり眠りについたりするためのテクニック…といったようなことです。

けれどもその一方で、ひとりひとりに特有の戦術というカテゴリーもあります。そうした戦術は、それぞれの人に独自の競争力をもたらしてくれます。

生産性の維持という課題については、私はこれまでに何度かアプローチを変えてきましたし、今後も変えていくことになるでしょう。

ここでは、そうしたアプローチをご紹介します。あなたのお役に立てば幸いです。

1. ルールに縛られない

ほかの人のやり方受け入れましょう。そして、今の自分のやり方を捨てることに対しても同様です。

あえて1日、道を外れて今のやり方を逆にしてみます。前に上手くいかなかった方法をもう一度試してみましょう。

たとえば、私の場合、ウィークリーレビューがどうしても上手くいきませんでした。ようやく上手くいくようになったのは、自分の性格や環境に合うように修正してからでした

メモの取り方についても、同じように過去に何度も挑戦しました。

2. 新しいことに挑戦するときは「可」を目指す

最初から「正しいやり方」を求めてはいけません。そんなものがすぐに見つかるわけがありませんから。

そうするのではなく、その瞬間が訪れるのを待ちます。私の場合、正しいやり方が見つかるのは、自分なりのやり方が見つかった時です。

ただし、自分が行動を起こさない限り、正しいやり方が見つかることはありません。

3. 情報を集めて学び続ける

ただし、何をするにしても、正しい一本道が見つかるのを待ってはいけません。

私が自著に『There Is No Right Way to Do This(これを行なうのに正しい方法なんてない)』というタイトルをつけたのは、そのためです。

たいていの場合、もっとも重要なことには正しい手順などありません。あるのは自分のやり方だけなのです。

***

ちなみに、私はこれからもFast Companyのポッドキャスト『Secrets of the Most Productive People』をフォローしていくつもりですが、この番組はスタート地点としてちょうどいいと思います。

一流の人たちから学ぶことには、どんな時でも大きな価値があります。そこから説得力のあるアイデアを思いつくヒントも得られます。

ただし、この番組はあくまでもスタートであって、ゴールではないということを忘れないでください。絶えず変化する環境・状況に自分を適応させなければいけません。

ほかの誰かのやり方に合わせても、自分なりのやり方を見つけた場合ほどには上手くはいかないでしょう。

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Source: Pmarchive, The Observer Effect, YouTube, Herbert Lui, Forge(1, 2, 3)

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