自ら望んで申し込んだ講座やオンラインコースに多くのお金と時間をかけたにもかかわらず、「学んだだけで活かせていない」「結果が出ていない」ということになってしまうケースは少なくないものです。
だとすれば、なぜそんな結果になってしまうのでしょうか?
この問いについて『最短で結果が出る「超・学習法」ベスト50』(井口晃 著、きずな出版)の著者は、「学び方」が間違っているからなのだと答えています。
上記の例のように結果を残せないのも、子どものときに身につけた「受動的な学び方の悪いクセ」が根づいていることが原因なのだと。
だからこそ、何を学ぶにも、まずは「正しい学び方」を知ることが重要なのです。 言いかえれば、学び方さえ知っていれば、どんな分野であれ、短時間で効率のよい学びを得ることができます。(「Prologue」より)
そこで本書では、著者自身がマスターしたという「超・学習法」を紹介しているのです。
その根底にあるのは、過去にムダな学び方をしてきたという著者自身の反省。つまり、失敗を経て学び方を変えたからこそ、決定的な方法に行き着いたということのようです。
さまざまな学習法を網羅した本書のなかから、きょうは「集中力」に焦点を絞った第4章「結果に直結する『集中力』の鍛え方」に焦点を絞ってみたいと思います。
集中力のピークをコントロールする
日本の学校の授業時間は、小学校で約45分です。しかし著者も認めているとおり、小学生時代には45分の授業ですら集中し続けることは難しかったはず。にもかかわらず、中学・高校では約50分になります。
それどころか、大学では小学校の2倍の約90分になるのです。だとすれば、(いくら小学生時代より成長したとはいっても)最初から最後まで集中し続けられる人は少ないであろうことは容易に想像できるのではないでしょうか?
さらに社会に出ると、職種によるとはいえ大半のビジネスパーソンの就業時間は9時から17〜18時。昼休みを除いたとしても、毎日少なくとも7〜8時間は働き続けることになります。
しかも、学生時代のような時間の区切りもありません。そんな状況のなかで同じような仕事を繰り返し行うのですから、ずっと集中し続けることが難しいのは当然です。
東京大学大学院の池谷裕二教授と株式会社ベネッセコーポレーションがおこなった「勉強時間による学習の定着・集中力に関する実証実験」によると、「連続して60分」勉強をしたグループよりも「休憩をはさんで15分×3(計45分)勉強をしたグループのほうが、テストの点数が高いという結果が出たそうです。(205ページより)
そもそも、本当に人が集中して最高のパフォーマンスを発揮することができるのは20分から、長くても30分程度。成人の注意力持続時間の限界は、平均してわずか20分程度であることが、海外の研究で判明しているのだそうです。
したがって著者も仕事中は、30分ごとにトイレに行ったりストレッチをしたり、意図的にデスクから離れてリフレッシュしているのだとか。
また90分か120分に一度は、オフィスや家の外を5〜10分くらい、水を飲みながら散歩するのだといいます。つまりはそのように、つねに自分を最高の状態で集中できるようにしているわけです。
また、集中のピークが20分から30分であると把握したうえで、その日やるべきことを計画的に行うようにもしているのだといいます。
たとえば執筆に集中したいのであれば、意志力がもっとも要求される執筆作業を午前中にひとりでしたり、午後にはオンライン会議など人と会ったり打ち合わせをしたり、あるいはオフィスから少し離れてカフェで打ち合わせや読書をしたりと、時間を効率的に使うようにしているというのです。
いくら忙しいとはいっても、7〜8時間も同じモチベーションでがんばり続けるのは無理があるもの。20〜30分ごとに休憩を入れて、集中力を最大限に高めていくという働き方のほうが、よほど生産性が高いということです。(204ページより)
自分オリジナルの「超・集中環境」をつくる
集中力の限界が2〜30分であるなら、なおさら重要なのは、自分が集中できる環境をつくること。
そんな場所で仕事をしたり、学んだりする必要があるわけです。そこで著者は、「集中環境をつくる6つのコツ」を紹介しています。
(1) 机の上を徹底的に整理整頓する
(2) 部屋の空気をきれいにする
(3) ヘッドフォンを使う
(4) スマホの電源を切る
(5) インターネットやWiFiを切る
(6) 自分だけのお気に入りの「集中空間」をつくる
(210〜213ページより抜粋)
まず机の上には無駄なものを一切置かず、つねに整理整頓を心がけるべき。
仕事や勉強に関係のないものが目に入ると、集中力が阻害され、そちらに意識が傾いてしまうからです。
また、空気清浄機などを使ったり、窓を開けて換気したりするなど、清潔な空間にしておくことも大切。レモングラスやローズマリーなど、集中力を高める作用があるアロマを焚くのもいいそうです。
「この3時間だけは集中したい」などと思った場合は、ヘッドフォンをして雑音をカットするなど、集中力を維持する空間をつくるべき。そうすれば周囲も、「いまは集中したいんだな、話しかけるのをやめよう」と理解してくれるはず。
思い切ってスマホから離れてみることも重要。スマホこそ、集中力を妨げる最大のツールだからです。同じように、ネット環境を切ることも効果的。
家に集中空間をつくることも有効ですが、環境的に難しいのであれば、お気に入りの場所をつくるという手も。静かで居心地のいいカフェなど普段とは違う場所に身を置くと、無理なくいつもとは違うモードの自分に変わることが可能だということです。(209ページより)
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著者によれば、圧倒的な結果を出し続ける人になれるかどうかは、学歴も才能も遺伝も性別も無関係。学び方を知っているかどうか、ただそれだけのことだというのです。
そのため、「多くの学習法を試してみたものの、うまくいかなかった」という方にとって、本書は大きく役立ってくれそうです。
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Source: きずな出版
Photo: 印南敦史