過去にも著作をご紹介したことがあるので、ご存知の方も多いと思いますが、『残念なビジネス英語』(岡田兵吾 著、アルク)の著者はマイクロソフトアジア太平洋地区ライセンスコンプライアンス本部長。
ビジネスの現場で日常的に英語を使われているわけですが、そんななかで気になっていることがあるようです。
それは、“文法上は”間違っていない英語でも、外国人に失礼な英語を知らず知らずのうちに使っている場合があるということ。
かくいう著者自身も、英語で失敗したことが何度もあるのだといいます。そして実際に失敗を繰り返してきたからこそ、「日本人の英会話力の現状」が気になっているというのです。
残念なことに、外国人をカチンとさせる英語がいまだにあふれています。
かつての私のように、英会話本を信じて真剣に繰り返した英文が外国人を怒らせてしまうという、悲しい事例を無くしたい。その願いを込めて、本書を執筆いたしました。(「はじめに」より)
日本人がとくに使ってしまいがちな“残念な英語パターン”を厳選し、記憶に残りやすいクイズ形式にしたもの。そのため、より望ましい表現とその理由が学べるようになっているわけです。
きょうはChapter 3「『仕事上の会話だけでいいや』と一線引かれてしまう英語」のなかから、ひとつのトピックを抜き出してみたいと思います。
根底にあるのは、「どうせ一緒に働くなら、仕事上の会話だけでなく、プライベートな話も含めてより交流を深めたいものだという思いです。
Q. この会話、なにが残念?
同僚のマルコとアンナ、ナオトがオフィスで雑談しています。 会話を確認し、どこかに違和感がないか、考えてみてください。 Marco: How are you doing?
Anna: Great!
Marco: Sounds like you’re having fun. You’ve got some good news?
Anna: Sales of those products I developed are booming!
Marco: That’s good to hear! How about you, Naoto? How are you doing?
Naoto: So-so.
[和訳]
マルコ:調子はどう?
アンナ:最高よ!
マルコ:楽しそうだね。いいことあった?
アンナ:私が開発した商品の売り上げが急上昇しているの!
マルコ:それはよかったね! ナオトはどう、調子は?
ナオト:まあまあかな。
(104ページより)
A. ここが残念!
△ So-so.
◎I’ve been doing great as well!
So-soは「会話、続ける気ある?」と思われる。
(105ページより)
日本では、「調子はどうですか?」と聞かれて「まあまあですね」と答えたとしても不自然ではありません。ところがグローバル社会では、常にポジティブな姿勢が求められるもの。
So-so.にはどちらかというとネガティブな意味合いがあるため、これを聞いた相手は「なにか問題を抱えているの?」と心配してしまうのだそうです。
また、この会話例のようにせっかく会話が弾みかけているところでSo-so.と答えると、会話が終わってしまい、「この人、会話を続ける気があるのかな?」と思わせてしまうというのです。
話題に入らず、話を振られてもSo-so(そこそこ)なコミュニケーションで終わらせていては、貴重な人材・ネットワークの一員として評価されないということ。
ポジティブな姿勢でいることが、大きな意味を持つということです。(104ページより)
会話の出だしはポジティブが基本
I’ve been doing great as well!
会話の出だしでポジティブさを出したい場合、Great!と答えてもOK。しかし著者はより熱くパワフルなキャラクターとして認識されたいため、I’ve been doing great !と答えるようにしているのだそうです。
この返事は元気すぎて驚かれることもあるものの、かえって自分を強く印象づけることができてよいと思っているというのです。
I’ve been…と現在完了形にすることで、「いまだけではなくずっと元気だった」というアピールも可能に。
上記の会話例では、先にアンナがGreat! と答えているため、「私も」というニュアンスで最後にas wellをつけ加えているそうです。
また、聞かれたことに答えるだけではなく、How about you?(あなたはどう?)といったフレーズで聞き返すことも大切。
相手の返事次第で、Sounds like you’re having fun.(楽しそうだね)やThat’s good to hear! (それはよかった!)などとリアクションすれば、会話が弾むわけです。
いわば社内外のネットワークをつくることが、いまの仕事だけでなく、将来の仕事の成功を生み出すということ。
単なる挨拶だと軽視することなく、「いつでも話しやすくてフレンドリーな人だな」と感じてもらえるような返答を心がけるべきだという考え方です。(106ページより)
*
先にも触れたとおり、著者もこれまでたくさんの英語の壁にぶつかってきたのだそうです。
だからこそより多くの方に、自分と同じ失敗を日々を過ごさないよう「外国人をカチンとさせない英語」を学んでほしいと願っているのだといいます。
だからこそ本書を活用し、外国人とのコミュニケーションリスクを減らしたいものです。
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Source: アルク
Photo: 印南敦史