おなじみの政治論争から、お店を閉めるべきか否かまで、現代ではありとあらゆることに激しい論争が巻き起こっています。そんな状況のなか、自分と意見が異なる相手とうまくやっていくことは可能なのでしょうか?

職場や社交の場、家族の行事などで、言い争いを一切せずに一緒にいられるでしょうか?

「その答えは間違いなくイエス」だと、ニューエイジの教祖であり、瞑想の指導者でもある医学博士のディーパック・チョプラ氏は言います。

同氏は最近、The New York Timesで、職場やホリデーディナーの場を、争いのない平和な空間に保つための5つのアドバイスを語りました。

1.相手に「言い負かす」ことを目的とした議論はしない

相手の考えに賛成できないからといって、必ずしもその話題を持ち出す必要はありません。チョプラ氏は、考えの違いについて話し合う価値があるのは、それを交渉の出発点として使う場合のみだと言っています。

議論に「勝つ」ことや、相手の間違いを証明すること、相手を説得することを目的とするなら、その話し合いは「怒りに満ちた論争に発展する」だろう、と同氏は話します。

また、いまさら議論するまでもない話題もあります。たとえば、パンデミックが起きてから1年近くになる今になっても、マスクの着用を拒否している人たちには、何を言っても仕方がないでしょう。

もし、何も言わないで立ち去ったあとで怒りの感情が湧いてきた場合には、Chopra氏は次のように対処するようアドバイスしています。

静かに座って目を閉じ、何度か深呼吸をして、自分の心に注意を向けるようにしましょう。そして、怒りが消えるまでそれを続けてください。

2.まずは「相手の話を聞く」

多くの人は、自分の考えを説明することから議論を始めたいと考えがちです。しかし、まずは相手の話に耳を傾けることをチョプラ氏は推奨します。

相手の心や人生、人間関係、日々の経験のなかで何が起きているのかを理解していないのに、どうやって解決策を見つけることができるでしょうか?

相手がどういう人間なのか、その人にとって何が重要なのかが理解できるまで、じっくり時間をかけて相手の話に耳を傾けましょう。

このステップをしっかり踏めば、意見の相違から論争に発展する可能性は低くなります。

3.相手にとってのコア・ビリーフを尋ねる

建設的な会話をするための最も効果的な方法の1つは、相手にとって何が重要なのかを尋ねることだと、チョプラ氏は言っています。

同氏が紛争当時国の指導者たちに、お互いの親や幼少期のことを話し合うようにすすめているのも、そうした理由からです。

相手のコア・ビリーフ(その人が正しいと思っている信念や価値観)を理解し、その上で自分のコア・ビリーフを伝えることが話し合いの目的となるべきなのです。そうした話し合いは、政治や宗教についての議論よりも、ずっと深いものとなるでしょう。

それがまさに「自分の真実を語る」ということなのです。

4.反射的に言い返さない

相手の話を聞いていると、途中で遮って自分の考えを話したくなる強い衝動を感じることがあると思います。そんなときは、“一時停止”してください。

相手の話に対して即座に言い返してしまうときは、エゴがしゃべっているのだ、とチョプラ氏は言っています。

同氏が「エゴの反応」と呼ぶものには、大きく4つのパターンがあります。

「優しくて操作的」「意地悪で操作的」「強情で操作的」「被害者を装って操作的」のいずれかです。

エゴの反応を一時停止し、かわりに「洞察力、直感および直観、創造性、ビジョン、高次の目的、真正性」で応答するようにしてください、と同氏は指摘しています。

5.「敵か味方か」の二元論に陥らない

「味方になるのか、敵になるのか」

世界の指導者の口からよく聞こえてくるこの言葉を例に挙げながら、こうした“黒か白か”思考が紛争につながるとチョプラ氏は指摘しています。

実際には、多くの課題は、特にそれが複雑なものであればあるほど、敵か味方か、善か悪か、といったシンプルな二元論で説明することはできません。

ほとんどの物事には、もっと微妙なニュアンスというものがあります。そして、こうしたニュアンスのなかにこそ、双方が同意できる考えや原則が見つかるものなのです。

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Source: The New York Times

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