2016年6月30日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
さまざまな誘惑に負けて「またやってしまった」と後悔することが多くあります。
たとえば、年末年始のこの時期に特に陥りやすい暴飲暴食や夜更かし。不規則な生活は体調不良をまねく大きな原因となるので、できれば避けたいですよね。
では、こうした悪習慣をどうすればやめることができるのか。習慣化コンサルタントの古川武士さんに聞いてみました。
1. 自分の欲求や行動を分解して悪習慣のパターンを把握する
古川氏:暴飲暴食や夜更かしをどのようにやめるか。「明日からやめる」と決心して実現できれば何も言うことはありませんが、人の心理や行動はそれほど単純ではありません。
起こした事実ではなく、その欲求がどこから生まれてくるのかをしっかり抑えておかないと対処法を見つけることはできません。
そこで、なぜしてしまうのか、自分の行動パターンを冷静に考えて書いてみましょう。
暴飲暴食の場合... 仕事上のストレスのせいか、飲み会や家飲みでついつい羽目を外して飲み過ぎ、食べ過ぎている。
夜更かしの場合... 多忙な毎日で自分の時間が取れない不満足感からか、翌日も仕事だとわかっていても、テレビを見たり、スマホアプリで楽しんで夜更かしをしている。
こういったことは誰にでも経験があることかと思いますが、ここで重要なのは、悪習慣を引き起こす「原因」「誘発する要因」を把握して、どうすればやめることができるかを導き出すことです。
2. 悪習慣の根本にある発生原因を探る
古川氏:欲求は精神的なメリットを受けたいと思うことで行動に表れます。
前述の例のように、仕事のストレスから逃避したい、忘却したいから暴飲暴食をしてしまう。夜更かしも1日の満足感が足りないから、自分の時間をコントロールしながら自由を満喫して心を満たしているわけです。
しかし、ストレスや不満足感は、暴飲暴食や夜更かしを引き起こす原因ではあものの、自分が抱えている解決すべき問題です。
そこで次のステップへ進みます。
3. 誘発要因を減らして、プラスに転じる行動に替える
古川氏:ストレスや不満足感を解消するために暴飲暴食や夜更かしをしていることがわかりました。解消法を変えれば悪習慣をやめるきっかけとなるかもしれないので、悪習慣の誘い水となる誘発要因を探してみましょう。
前述の例であれば、暴飲暴食が飲み会と飲食物、夜更かしはテレビやスマホが誘発要因となります。どちらも、手っ取り早く快楽物質のドーパミンを脳で分泌できるので、ついついやってしまうわけです。
そこで、誘発要因を減らす方法、悪習慣と同じような心理的メリットが得られる代替行動を探します。
たとえば、飲食はやめるわけにはいかないので、帰宅途中にスポーツジムで汗を流してストレスを発散。飲み会の参加率を下げてみる。
自宅で食べ過ぎてしまう場合は、口寂しさを紛らわすためにガムを噛んで欲求を満たすことなどが考えられます。
また、夜更かしの場合は、テレビやスマホに没入して自分の時間を満喫するのではなく、いつもより早めに入浴して、バスタブにゆっくり浸りながら読書などでくつろいだ時間を過ごし、寝るモードへと移行していくのも1つの方法です。
悪習慣を誘発するマイナス要因を健康的な好循環に替えるプラス要因に替えて、欲求に振り回されないようにすれば、暴飲暴食や夜更かしをやめることができると思います。
4. 欲求をコントロールする主導権を取り戻す3つの習慣
古川氏:しかし、悪習慣の原因はわかっても、誘発要因をプラスの行動に代替できないという人もいるでしょう。
そんなときは、欲求をコントロールして自己規律を取り戻し、好循環のスパイラルを生み出す3つの習慣のどれか1つを生活のなかに取り入れてみてください。
早起き
早起きは三文の得と言われるように、人より早く起きて活動することで自己肯定感が上がり、1日を前向きに過ごすことができます。
運動
自分で決めたルールやルーチンに沿って続けていくことで、自己管理能力と自信が高まり、悪習慣の欲求を抑えることができます。
片付け
お寺でお坊さんが朝に必ず雑巾がけをするように、部屋の片付けをすると心が整い、カラダも目覚め、1日の主導権、欲求をコントロールすることができます。
この3つの習慣は、いずれも気持ちをポジティブにリフレッシュさせてくれるので、欲求に歯止めをかける規律が生まれます。
欲求を好循環にコントロールするためにぜひ取り入れてみてください。
楽しむことを優先して自己管理が緩んでしまいがちですが、自己回復できる備えがあれば、楽しみつつも規律を乱さない健康的な毎日が送れるはずです。
今回は暴飲暴食、夜更かしを例に挙げましたが、4つのステップはほかの悪習慣にも当てはまることなので、ぜひ参考にしてみてください。
古川武士(ふるかわ たけし)/習慣化コンサルタント

関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。約2万人のビジネスパーソンの育成と約500人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。主な著書に「マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣」などがあり、全10冊、計30万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。
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