生産性の「専門家」は、「誰でも1日は24時間です」と言いたがりますが、その24時間をうまく管理できている人はほとんどいないことには触れたがりません。

プロジェクトを仕上げる計画や、ある機能をコーディングする計画をたてても、会議、電話、メール、「緊急の」タスクに中断されて、計画通りにいかないことが多いのではないでしょうか。

特に最近は、仕事以外の多くのことにも注意を払わなければならないので、スケジュールを立てるのも容易ではありません。

しかし、Annie Dillardさんが書いているように、スケジュールは日々の足場であり、自分にとって重要なことに集中するために使用できる安定したプラットフォームです。

これには、ただの比喩以上の意味があります。

きちんと立てられたスケジュールは曖昧なところがなく、他人の気まぐれに左右されません。構造、プロセス、集中して適切なことを成し遂げるための精神的な余裕を与えてくれるルーティンによって成立します。

安定した1日を過ごす助けになるスケジュールを立てるために、最も実用的で実践的な方法をいくつかまとめてみました。

自分に向いているものを選んでもいいですし、いくつか組み合わせて、集中力と明確性を高められる「究極の1日のスケジュール」を立てるのもいいですね。

スケジュール立てに欠かせない5要素

スケジュールの立て方を学ぶ前に、「あなたにとって『良い日』とはどのような日のことか?」というシンプルな質問の答えを見つけましょう。

中断されずに長時間集中する必要がありますか? それとも、会議、ブレスト、同僚とコラボをしながら1日を過ごしたいのでしょうか?

午後5時ぴったりに仕事を終えたいのでしょうか? それとも、夜遅くまでプロジェクトに取り組むことをいとわないのでしょうか?

自分にとって理想的な1日がどのようなものかわかると、どのようにスケジュールを立てるとそういう理想的な1日になるかわかってきます。また、自分がなぜそのように時間を使いたいのか理解する助けになります。

本に書いてあるすべての時間管理のコツを取り入れるのは構いませんが、自分にとって大事なことに時間を使っていないなら、何の意味もありません。

もちろん、理想的な世界に住んでいるわけではないので、いろいろな邪魔が入ることも勘定に入れなければなりません。

仕事の日のスケジュールには、次の時間を入れる必要があります。

  1. 重要な仕事とタスクに集中する時間。この時間だらけの日が「理想の日」かもしれません。
  2. 「他人から依頼されたことをする」時間。他人から依頼された会議に出たり、その他の義務を遂行するための時間です。
  3. 雑用の時間。メールの返信、ドキュメントの更新など、毎日行う「メンテナンス」作業のための時間です。
  4. 休憩して充電する時間
  5. さまざまなタスクをこなす際の道しるべになる「ルーティンと儀式」の時間。正確には「タスク」ではありませんが、何らかのセレモニーを利用して、エネルギーと集中力を与え、正しい方向に進ませてくれるのが良いスケジュールです。

さあ、これで現実的なスケジュールを立てる準備ができました。

いよいよ具体的な方法について詳しく見ていきましょう。

1. MIT(最重要タスク)を優先する

初めに、最も重要な仕事か最も影響力のある仕事をすること」は、もしかしたら、世の中で最も過小評価されているスケジューリングのテクニックかもしれません。

もちろん、MIT(最重要タスク)だけして1日を過ごすわけではありません。

しかし、MITはずっと手を着けずにいるタスクだったり、着手すると物事を有意義な形で前進させるタスクだと気づいているタスクです。

MITスケジューリング法を使用した方が良い理由は山ほどあります。

  • 1日に勢いがつきます。進歩の原則によると、すぐに片付いてささやかな勝利感を得られるタスクから始めると、非常にモチベーションが高くなります。
  • 毎日の限られた「生産的な」時間を上手に活用できます。調査によると、1日の生産的な時間はたった2時間48分です(ほとんどは午前中です)。

他人から邪魔される可能性が低い時間帯に集中力を要する仕事をすべきです。1日の始まりは、静かでそれほど忙しくありません。

  • 1日の終わりには、より強い達成感を感じるでしょう。いずれにしろ、有意義なことをしたと思えます。
  • 1日の優先順位と調子を設定するのに役立ちます。1日の始めにすることが、その日一番多くすることになりがちです。

言うまでもなく、自分のための時間を作るのは、必ずしも簡単ではありません。だからこそ、必ずMITを最初に行い、他のことに気を取られないようにして、MITを大事にするべきです。

具体的には、作業する時間(30〜90分程度)をカレンダー上でブロックし、仕事を始める前にメールやチャットを開かないことです(開いてしまうと、他人の優先事項が優先されてしまいます)。

午前中にSNSやニュースを確認したくてたまらない人は、FocusTime などのソフトを設定して、MITの作業中は気が散る元をブロックしてください。

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2. まとまった時間をブロックする

まとまった時間のブロックは、さまざまなタスクごとに専用の時間を「ブロック」してスケジュール全体を埋めていくことで、MITのアイデアをさらに発展させます。

つまり、以下の時間を確保しながら、「びっしり詰まった」スケジュールで1日をスタートすることになります。

  • 集中力が必要な仕事をする時間
  • 雑用をする時間
  • 休憩時間

ブロックされた時間でいっぱいのスケジュールを見ると、圧倒される感じがするかもしれませんが、1日が構造されています。

では、どうして人間は意図的にスケジュールをいっぱいにしたいと思うのでしょうか?

やりたいタスクやアクティビティでスケジュールを埋めると、他人に時間を盗まれにくくなるからです。外部の要求に反応せずに、自分の時間をどのように使いたいか正確に把握できますし、「NO」と言いやすくなります。

上手に時間をブロックする秘訣は、現実的かつ臨機応変になることです。

時間をブロックしたスケジュールは単なるテンプレートであり、決定的なものではありません。

「緊急の」タスクや忙しそうに見えるだけの仕事に流されず、より大局的な観点から仕事に集中できます。

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3. ポモドーロ・テクニックを使う

ポモドーロ・テクニックは比較的シンプルなスケジューリング法であり、ここでご紹介するほとんどの方法と組み合わせて使うことができます。

「ポモドーロ」とは、中断されずに1つのタスクに集中する25分間のブロックで、その後5分間休憩します。

目標は、このポモドーロ「セッション」を3回か4回繰り返すことです。その後は、長めの休憩を取って疲れを取ります。

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ポモドーロ・テクニックを使ってスケジュールを立てるときは、空いている時間枠にポモドーロセッションを入れてください。

たとえば、昼食後の午後1時から午後3時までまとまった空き時間がある場合、そこにポモドーロセッションを入れることができます。

セッションを始める際は、集中したいタスクを4つ選択してから、作業タイマーをスタートさせます。

この方法の優れている点は、集中を繰り返してもへとへとにならないことです。25分間は、気が散る元を遠ざけておく時間としては比較的短い方です。

また、その日のうちに2つのタスクしか完了しなくても、しっかり50分間は仕事に集中できます。

4. ウルトラディアンリズムを利用する(50~90分間全力で集中する)

人間のエネルギーレベルは1日を通して同じではありません(午後の魔の時間のスランプを経験した人ならご存知でしょう)。

休憩が必要になる前に、エネルギーが「ピーク」になる90分サイクルの「ウルトラディアンリズム(Ultradian Rhythm)」と呼ばれるものに従っています。

つまり、1日の中で、自然に覚醒度が高くなり仕事に取り組みやすい時間帯と、休憩したほうがよい時間帯があるということになります。

自分の身体がピークに達する時間帯がわかったら、そのリズムに合わせて1日の計画を立てましょう。50〜90分間集中して仕事をしたら20〜30分間休むことになります。

このサイクルをスケジュールに組み込む方法は、いくつかあります。

「何かを創作する」仕事に就いていて、執筆、設計、コーディングなどをするために長時間集中して作業する必要があるなら、生来のエネルギーサイクルと連動させてまとまった時間をスケジュールすると、成果がさらにあがります。

一方、普段からもう少し細切れに時間を使っている場合は、休憩時間を決めるときにウルトラディアンリズムを参考にしましょう。

5. 同じタイプのタスクをまとめる

ウルトラディアンリズムは、エネルギーの流れをうまく活用しますが、タスクの流れを活用することもできます。つまり、同じような作業をまとめることで、脳を切り替える回数を減らすのです。

作家のPaul Jarvisさんは、次のように説明しています。

同じタイプのタスクに集中できる時間が長ければ長いほど、仕事ははかどります

ですから、私の場合は、必要な執筆作業をすべて午前中にまとめると、一挙に5〜6本の記事を書くことができます。

この方法は、週全体に広げて応用することもできます。

たとえば、管理作業はすべて「金曜日」にまとめる、あるいは、営業活動はすべて火曜日と木曜日に入れるようにします。

作業をまとめるときは、自分のエネルギーの習性や傾向を意識しましょう。午後の方がクリエイティブなプロジェクトに取り組みやすい場合は、そうしたタスクを午後にまとめてください。

6. タスクの正確な所要時間をスケジュールに入れる

スケジュールを立てる際に克服すべき一番の難題は、過去に経験したことがあるタスクであっても、所用時間を正しく見積もれないことです。

しかし、これは時間管理の基本です。所要時間を正しく見積れないと、常にタスクの進捗や巻き返しが遅れます。

コメディアン、漫画家、声優として多くの仕事をしているJason Chatfieldさんが、この問題の解決策を考案しています。

私は、1つのタスクが完了したら、かかった「実際の」時間をカレンダーに確実に反映することを習慣にしています。

たとえば、スケジュール上で、そのタスク用に30分ブロックしていても、実際には1時間かかったら、ブロックしていた時間枠を1時間に変更します。

これ自体は良い練習になりますが、この方法が真価を発揮するのはこの先です。

次に、翌週のスケジュールを立てるとき、似たようなタスクか全く同じタスクで以前経験したことがあるものをコピーしてスケジュールに貼り付けます。

ほとんどの人は、毎日あるいは毎週繰り返して行うタスクがあるので、この方法で、実際の所用時間を知ることができます。

このプロセスを自動化したい場合は、RescueTimeなどのツールを使用すると、アプリやWebサイトにあるスケジュール、さらには特定のプロジェクトに使った時間を自動的に追跡します。

たとえば、私がこの記事を書くために使った時間を確認したいときは、RescueTimeのアクティビティレポートで確認できます。

7. メールやチャットはまとめて行なう

ほとんどの人は、メール、チャット、「コアワーク」(職務明細書に記載されている業務)の間を行ったり来たりしながら毎日過ごしています。

現に、私たちの調査によると、ほとんどの人は平均6分ごとにメールやチャットをチェックしています。しかし、これでは日々のタスクをこなす能力に深刻な負荷がかかります。

ですから、コミュニケーションはまとめて取るようにすると、チームの生産性と創造性が向上します

このスケジューリング法では、メールのチェックとチャットメッセージの返信に1日のうちのある時間帯を確保します。経験則として、次のタイミングがおすすめです。

  1. MITが済んだ後
  2. エネルギーが低下する午後の時間帯

このような切り替えは、コミュニケーションが盛んな文化に属していると特に難しいと感じるかもしれません。

チームに対して、なぜ自分はオンラインにならないのか、本当に緊急の場合はどうすれば自分と連絡を取れるか必ず説明するようにしましょう。

おまけ:A/Bスケジュール

1日単位でなく週単位でスケジュールを立てる方が良い場合もあります。

A/Bスケジュールは、日によって目標と優先事項を変える方法です。こうすることで、重要な仕事を先延ばししているという罪悪感を抱かずにすみます。

たとえば、1日のうちにコーディングの時間とチームを管理する時間を持つと、気が散ってしまう可能性があります。ですから、1週間をAスケジュール(コーディングをする日)とBスケジュール(管理をする日)に分割しましょう。

仕事がこの2つのカテゴリーにうまく分類されない場合は、「自由・集中・余白」に分類してみましょう。つまり、週を以下の3種類の日に分けるのです。

  • 個人的な仕事をする自由な日
  • コアワークに集中する日
  • プランニング、管理、その他の「緊急のタスク」をこなす余白の日

James Clearさんは次のように話しています。

プロはスケジュールを固守します。素人は生活に邪魔されます。

スケジュールは、単なる「予定が入ったカレンダー」以上のものです。自分にとって何が重要で、何に時間を使う価値があるのかを声明するものです。

Deep Work』の著者であるCal Newportさんは、次のように書いています。

私たちは日々の多くを自動操縦で過ごしていて、自分の時間を何に使っているのかあまり考えていません。これは問題です。

集中力や創造性を要する仕事と雑務が現在どのようにバランスしているか臆せず直視しないと、細かいことがスケジュールの端々に忍びこんでしまいます。

ですから、行動する前に一旦立ち止まり、「今一番大事なことは何?」と自問する癖をつけましょう。

自分のスケジュールの立て方を他人に任せる必要はありません。

自分で自分の時間をしっかり管理するほど、日ごとに自分が進歩していることを強く感じるでしょう。

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Image: Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com

Source: Rescue Time(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9), James Clear

Originally published by Fast Company [原文

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