今は、リモートワークが当たり前になり、管理職の皆さんは、目の前にいないチームを統率する難しさを実感しています。苦労するのも当然でしょう。
社員をリモートで管理するには、対面で管理するときとは異なるスキルが必要なのに、パンデミックが突然発生したため、そのスキルを身につける暇がなかったからです。
スタッフをリモートで管理するとなると、業界によって直面する課題は異なるでしょう。
しかし、エンジニアのチームであろうと、デザイナーのチームであろうと、パン職人のチームであろうと、統率するためになくてはならないものが1つあります。それは信頼関係です。
信頼関係がないと、チームは崩壊する可能性があります。
調査によると、直属の部下と対面で仕事をすることができないマネージャーは、部下が本当に仕事をしているか疑ってしまうことがあります。
そして、そんなふうに疑ってしまうと、社員は常に連絡がついて対応可能であるべきだという理不尽な期待を抱くことになります。
その結果、ストレスが生じ、ワーク・ライフ・バランスが乱れてしまいます。また、多くの場合、在宅勤務に適応しようとしている社員に過度の負担がかかることになります。
それでは、目の前にいない部下をどうすれば信頼できるようになるのでしょうか? 秘訣は良好なコミュニケーションです。
リモートワーク中の部下と良好なコミュニケーションを保つコツをいくつかご紹介します。
1. 期待することを明確にする

部下に確実に期待に応えてもらう最も簡単な方法は、上司が何を期待しているか明確にすることです。
自分が仕事をしているときは、どの部下ともすぐに連絡がついて常に対応可能なはずだと思わず、コミュニケーションの頻度とお互いに都合が良いタイミングを決めましょう。
たとえば、仕事の進捗などを確認するために部下とは定期的なWeb会議を行なうことにして、緊急の場合はSlackを使うことにするのも一案です。
また、上司と部下が連絡を取り合うのに最適な時間と手段を決めておくと役立ちます。
上司もリモートワークをしているなら、1対1でもチーム全体とでもいいので、毎日電話会議かWeb会議をすると、1人ひとりが取り組んでいることをアップデートし、説明責任を持たせることができます。
さらに、定期的に予告した上で連絡を取るようにすると、コミュニケーションの回線をオープンにしておけますし、部下は「上司に何でも質問したり懸念を共有する機会がある」と思えるようになります。
「もちろん、期待を設定したら、それを変えずに維持することが肝心です」と、MeetEdgarの社長であるSarah ParkさんはFastCompanyにシェアしています。
チームは、上司であるあなたがゴールポストを変更するつもりがないことを認識する必要があります。
2. リモートワークしやすい環境を整える
オフィスにいると、社員は仕事に必要なツールを駆使できます。リモートワークだからというだけで、それができなくていいわけではありません。
つまり、社員は、十分な大きさのモニターであろうと、ネットワークドライブへのアクセスであろうと、必要な資料や機材や情報にアクセスできるべきです。
私の会社、JotFormでは、自宅の作業スペースで滞りなく仕事をするために必要なものをすべて社員に提供しています。
そのために社員がすべきことは、自分のリクエストと連絡先をフォームに記入するだけです。これで、全員が整えられた状態を保ち、必要なものを迅速に供給できます。
オフィス環境をできるだけ再現するためには、コミュニケーションの手段を多様化する必要があります。
Barbara Z. Larson氏、Susan R. Vroman氏、Erin E. Makarius氏は、Harvard Business Reviewに寄稿した共著記事で、コミュニケーションの方法をいくつか提案することが重要だとしています。
メールだけでは不十分です。
リモートワーカーは、Web会議などの“もっと情報提供量が多い”テクノロジーを利用することにより、会議の参加者が対面で得られる視覚から入る情報の多くを得ることができます。
最後になりますが、管理ソフトウェアを利用してプロジェクトを合理化することをおすすめします。
TrelloなどのWebベースのツールを利用すると、個人やチームのタスクを簡単に個別管理できて、一目でわかる進捗レポート、ステータスのアップデート、期限のトラッキングも可能です。
3. 効果的なやり方でフィードバックする
信頼を築けるかどうかは、オープンで率直なコミュニケーションができるかどうかに多分に左右されます。部下の姿が見えない状況では、問題が発生したらすぐに対処して、ネガティブな感情や混乱の芽を摘むことが大切です。
奨励されるアプローチの1つは、部下に対する感謝の気持ちを示しながら接すること、部下と話すときは、常に率直でわかりやすい会話を心がけることです。
厳しいフィードバックで部下を不意打ちすると、部下は自己防衛の反応をしがちになり、上司の建設的なコメントを真剣に受け止められなくなるかもしれません。
部下にフィードバックするのは難しいかもしれませんが、ほとんどの社員はたとえ批判的なフィードバックでも、欲しいと思っていることがわかっています。
HBRの調査によると、57%の社員は、自分を褒めてくれるフィードバックよりも足りないところを指摘するフィードバックをもらいたいと思っています。
とはいえ、リモートワーク中の部下にフィードバックするときは、電話を使うとボディランゲージや顔の表情などの視覚的な情報が失われるので、Web会議にする方が良いでしょう。
4. 社員同士が交流する機会を作る

リモートワークをする上で最も辛いことの1つは、孤独感です。これは外向的な人だけが苦しむ問題だと思われるかもしれませんが、長期的に見ると、社会的孤立はどんなに内向的な人にも有害な影響を与える可能性があります。
今のところ、対面でのチームビルディングは選択肢にないので、マネージャー陣は、リモートワーク中の部下たちが交流する方法を見つける必要があります。
たとえば、Web会議中にオープン・ディスカッションの時間を設けたり、部下同士の交流を目的としたSlackのチャンネルを作り、仕事以外の雑談をする場所にしてはどうでしょう。
要するに、カジュアルなやり取りを通じて人間関係を築くことが、信頼関係を築くにはベストな方法の1つです。
リモートワーク中のコミュニケーションに関しては、HubSpotのマーケティング担当副社長であるKieran Flanagan氏が、Zoomのブレイクアウトルーム機能を利用して、社員間あるいは上司と部下の間で、少人数での交流ができるようにすることを提案しています。
貴重な会議の時間が無駄になる気がするかもしれませんが、無駄ではありません。これは、誰もがつながりを感じられるようにする方法であり、リモートワークのカルチャーを構築するために必要なのです。
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Image: Prostock-studio, Sebastian Duda, kirill_makarov/Shutterstock.com
Source: Harvard Business eview(1, 2, 3)
Originally published by Fast Company [原文]
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