アメリカ人社会科学者であるArthur C. Brooksは、ベストセラーとなっている『Love Your Enemies』『The Conservative Heart』を含めて11冊の著書を出しています。
以下では、Brooksが新著『From Strength to Strength: Finding Success, Happiness, and Deep Purpose in the Second Half of Life』から、幸福の深い洞察を5つご紹介します。
1.幸福は単に偶然に左右されるものではない
そもそも、それは単なる感覚ではありません。
幸福感は、感謝祭のディナーで食べる七面鳥の匂いのようなもので、ディナーそのものではありません。
幸福とは、複数の要素が集まったものです。楽しさと満足感、目的でできているのです。こうしたものはすべて、自分でコントロールできるもの。
完璧にではありませんが、通常考えられているよりも簡単です。
実は、幸福は成り行きではなく、年齢を重ねるとともにさらに幸せになることができます。誰もが、75才の時に25才の時よりも幸せになれるのです。
2.努力家の呪い
人は、70才あたりを過ぎると2つのグループに分けられます。
1つは年をとるにつれてどんどん幸せになるグループ、もう1つはどんどん幸せでなくなるグループです。データで見ると、ほぼ半々となります。
ここで多くの人は、年をとるほど幸せになるグループに入るには成功者の仲間入りをしなければならないのだ、と考えます。
つまり、人生においてたくさんのことを成し遂げ、大きな世俗的な成功を収める人になる、ということです。そうなれば、成功のおかげで有名になって幸せになれるのだから、と。
しかし、実際はそうではありません。
人生で大きな成功を経験した人は、年をとるにつれて不幸になる傾向があります。
これは、ある意味で理にかなっています。人生で何も成し遂げていなければ、それがいつ終わるのかはわかりません。
しかし、もし人生でたくさんのことを成したうえでパーティーが終わったとしたら、その違いに気づくことになります。
その対比は、本当に受け入れ難いものなのです。
3.生まれ持った強みは変化するため、成功曲線も次に移行する必要がある
人は若い頃、心理学者が「流動性知能」と呼ぶものをたくさん持っています。
流動性知能は、20代・30代にかけて増加します(磨きをかければ増えるスピードも上がります)が、40代・50代になると減少します。
流動性知能とは、集中して努力し問題を解決する能力、分析能力、人をスーパースター(人気の弁護士、優秀な外科医、あるいは信じられないほど独創的で知的な電気技師)にする力のことです。
ほとんどあらゆる仕事において、若い頃は流動性知能のおかげで仕事に熟達しますが、年齢を重ねるにつれて流動性知能は減少していくのです。
しかし、年をとって得られるもう1つの知能のタイプがあり、それは「結晶性知能」と呼ばれています。
これは40代・50代にかけて増加します。60代・70代、さらにその先まで、高い状態を維持します。
結晶性知能とは、努力や集中ばかりでなく、知恵や知識の伝達のことです。人は年齢を重ねるとともに賢くなります。
つまり、たくさんのことを知っていて、その情報をどう使うかがわかるということです。そのような人のほうが、はるかに優れた教師だということでもあります。
最高の教師は年配者です。つまり、人は若い頃に流動性知能を持ち、年をとると結晶性知能を持つのです。肝心なことは、流動性から結晶性へ、革新者から指導者へと移行することです。
4.引き算なしに足し算しない
幸せな高齢者全員に共通していることの1つは、人生に足し算をするだけでなく、人生から引き算をする方法も知っているということです。
若いころは、人生は絵の具を塗り重ねていくキャンバスのようなものです。
創造的かつ精力的に、熱意を持ってもっと筆を走らせ、さらに痛みを伴いながらも塗るのです!すべては自分次第です。何を描くかを縛るものは、自分の想像力しかありません。しかし、ある時点でキャンバスは一杯になってしまいます。
そのため、幸せになるためには、キャンバスを一杯にするという比喩を、大理石の塊を削っていくというものに変える必要があるのです。
人生の後半では彫刻家になって、自分ではないもの(所有物、執着、信念、意見さえも)、自分らしくあるという大事な問題から目を逸らしてしまうあらゆる要因を、削り取る必要があります。
年齢を重ねつつ幸せでいるために、覚えておきましょう。足し算だけではなく、引き算をするのです。
「死ぬまでにしたいこと」リストを持っておくだけではいけません。
毎年の誕生日に、逆のリストも用意しましょう。「思いとどまる気持ちが生まれるからやめたい」と思うことを5個か10個、挙げてみるのです。
5.幸福は愛に基づいている
幸福に関する神経科学や社会科学で最も興味深いことの1つは、幸福は愛に基づいているということです。愛は幸福の燃料であり、人生にあまり愛がないと、年をとるとともにさらに幸せになることはできないのです。
つまり、人生の中で愛を深いものにしていく必要があるということです。友人関係・家族関係であれ、結婚であれ、人間関係を深める必要があります。
葉や個々の木に気を配るだけでなく、根系を育む必要があるのです。
努力家で成功していながらも、人間関係で少し孤独を感じている人もいるかもしれません。成功している人たちにはたいてい、周りに人がたくさんいます。
「ビジネス」友達がたくさんいるのです。あなたには、本当の友達が何人いますか?
ビジネス関係(deal)から本当の関係(real) へと移行し、さらに幸せをつかみましょう。
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