「食事が人生で一番の楽しみ」「頑張ったごほうびに好きなもの食べる」

など、多くの人にとって「食べる」ことは、幸福の大きな要素になっていますよね。

ですが、そうした言葉とは裏腹に、現代のビジネスパーソンは、食べる楽しみを半ば放棄しているようです。

農林水産省によれば、戦前の1回あたりの食事時間は約22分。対して、現代では約11分と、劇的に減っています。

しかも、スマホやテレビを見ながらの「ながら食べ」で、そそくさと済ます人が大半。頭の中は、次に着手するタスクのことでいっぱいなのでしょう。

1日3食として、食事の時間を戦前の半分に減らせば、トータル30分の時間を節約できます。その30分を仕事にあてれば、それだけ業績はアップするかもしれません…。

でも、おそらく逆のことが起きている可能性が高いです。

早食いは肥満につながる

まず健康リスク。さまざまな研究で、「早食いの人ほど肥満度が高い」という結果があります。早食いだと、脳の満腹中枢が「お腹いっぱい」と感じる前に食べ過ぎてしまうからです。

そう、早食いは過食につながり、それは肥満をはじめとする身体のトラブルに直結します。回り回って仕事のパフォーマンスにも影響するでしょう。

もう1つは、食べることによる喜びを得られないという点です。昨日の夕食に何を食べたか、どんな味がしたか覚えているでしょうか?

思い出せないのであれば、食べることは単なる義務と化しているかもしれません。

ひとかけのチョコレートからはじめる「マインドフル・イーティング」

筆者も典型的な早食い・過食タイプでした。いわゆる「痩せの大食い」で、何かに急かされるように食べて、ぐったりして、そのあと1時間くらい仕事にならないことも多々あったのです。

「これはいけない」と危機感を抱き、いくつかの改善策に着手しました。

もっとも効果があったのが、「マインドフル・イーティング」です。

これはいわば「食べるマインドフルネス」。

ライフハッカーの過去記事にもあるように、これは「食べ物を愛で、香りや味、食感を楽しんで食べられる」ようになるための効果的なメソッド。マインドフルネス=瞑想が苦手という人でも容易にできます。

エモーショナルでなくマインドフルに食べる「セルフケア」:書評 | ライフハッカー・ジャパン

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まず初級編からいきましょう。「チョコレートを使ったマインドフルネス」として、過去記事で紹介されている方法に基づいたものです。

チョコレートを使ったマインドフルネスの練習方法 | ライフハッカー・ジャパン

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チョコレートでなくてもドライフルーツやプチトマトなど、あなたの好物で一口で食べられるものなら何でもOK。

では、最初にほんの少しだけかじり、よく噛んでください。できるだけ長くその味覚と食感を堪能するのです。これを1個食べ終わるまで繰り返します。

おそらく、テレビやスマホを見ながらしていたかもしれませんね。明日は、画面を見ないで同じことをやってみてください。

サラダ一品だけでマインドフル・イーティング

次のステップとして、サラダだけでマインドフル・イーティングをするトレーニングをしましょう。

  1. 家族の団らんの時間を避けて、自分ひとり用のサラダを一品作ります。
  2. 片手で持てる皿に盛り付け、片手に持ちます。もう片方の手にはフォークを持ちます。利き手とは別の手でフォークを持てば、なおいいです。
  3. 立って、一番見晴らしのいい窓際に行きましょう。カーテンを開け、空を見ます。
  4. そのまま、サラダを食べはじめます。

注意したいのは、フォークに刺した野菜を口に入れるたびに、フォークを手から放し皿に置くことです。

野菜が口に入っている間は、「チョコレートを使ったマインドフルネス」と同じ。ゆっくり咀嚼しながら、食感と味を意識します。

外の景色からスマホの画面に目を移したい欲求が出るかもしれませんが、優しく自分をなだめて打ち勝ちましょう。

普段の食事もマインドフル・イーティング

その次のステップは、1日のうち1食は、サラダのマインドフル・イーティングと同じように食べます。

ながら食べにならないよう、くれぐれも注意してください。ラジオから流れるパーソナリティの声や音楽もNGです。咀嚼している間は目をつぶり、味わいに集中すると、そうした欲求は引いていきやすいです。

オフィスワーカーであったり家族がいれば、1日3食すべてをこの食べ方にするのは難しいと思います。ですが、やれる範囲で、マインドフル・イーティングの機会を増やしてみましょう。


人それぞれですが、マインドフル・イーティングには、人生をちょっとだけ変えてくれる大きな力があります。筆者の場合、1日のうち2食はマインドフル・イーティングの習慣付けに1週間で達成。

今では、早食いも大食いはほぼなく、食後の仕事もはかどるようになりました(ついでに食費も減りました)。

仕事の忙しさはひとまずおいて、チャレンジしてみることとおすすめします。

Source: 農林水産省(1, 2