「悲しみ」と「鬱」の違いはわかりますか?

両者は一見似ているようですが、実際にはそうではありません。違いを知れば、専門家の助けを求めるべきタイミングがわかり、不必要な苦しみを防げます。

「悲しみ」と「鬱」の違い

米Lifehackerに語ってくれた専門家は、以下のように言います。

悲しみとは、誰もが生きている中で喪失や失望など、動揺するような出来事の後に経験する正常な感情

一方で、臨床心理士で『The Suicidal Thoughts Workbook』の著者であるKathryn Gordon医師によると、鬱とは少なくとも2週間ほぼ毎日、1日の大半の中で悲しい気分や楽しさを失った状態が続くことを特徴とする精神障害だ、といいます。

悲しみと鬱の最大の違いのひとつは、その持続期間です。カリフォルニアの認定心理士で「Deeper Than Color」の創設者であるBedford Palmer医師は、悲しみはある瞬間に起こるものだ、と述べています。

憂鬱さが1日続くという場合もあります。あるいは、ちょうど天気が変わったということかもしれません。正直なところ、それほど悪いことではないという場合もあります。悲しみは、『こんなことがあったから悲しい』と感じたり理解したりできるものなので、適切なことなのです。

しかし、鬱ははるかに複雑で、人生に深刻な影響を与える恐れがあります。Palmer医師は、鬱は悲しみを含む様々な症状が集まったものではあるものの、それ以外のことも起こっているのだ、と説明しました。

食欲を失ったり、なかなか眠れなかったり、胃に不快感があったり、集中しづらくなったり、普段なら楽しめるようなことが楽しくなくなったりすることがあります。

このような場合、その人には悲しみ以上のことが起きており、自分一人では対処するのが難しい状態になっている恐れがあるのです。

鬱と悲しい日や嫌なことがあった日との違い

ワシントン大学医学部セントルイス校の精神科医で精神医学助教授のJessi Gold医師は、医療関係者は鬱の診断の際、悲しみだけでなく様々な症状を見つけようとする、とメールで語りました。日常生活に支障をきたすような強烈で圧倒的な症状が複数表れる大鬱病エピソードの診断には、症状が2週間続いている必要があります。

Gold医師によると、この基準が重視しているのは「人は生活上の出来事や、仕事でいつもより大変な日が1日あっただけでも反応するもので、そうした反応を病的に扱う必要はない」ということだと言います。

「悲しいと感じる人はたくさんいます。それは正常な反応ですが、悲しいと感じる時にほかに何が起こっているか、その症状がどのくらい続いているか、それが日常生活に支障をきたしているかどうかに気づくことが重要です」とGold医師は述べました。

「それが重要なのです」

さらに、鬱は悲しみ以外にも様々な形で表れることがあり、鬱になっている人が悲しみを感じないこともある、とPalmer医師は指摘します。鬱のせいで集中しづらくなったり、とてもイライラしやすくなったりする場合があります。また、意欲が低下したり他人と距離をとったりする原因になることもあります。

悲しみは一瞬、鬱からは抜け出すのが難しい

Palmer医師は、鬱には程度があると考えるとわかりやすいと指摘しています。簡単に言えば、小さな鬱から大きな鬱まである、ということです。こうした抑うつエピソードを区別するのは、その強さのレベル、つまり生活にどれだけ支障をきたしているかということと、その持続期間です。

「悲しい曲を聴いて憂鬱な気分になるのとは大きく異なります。家族を亡くして1カ月間本当に悲しい思いをしたうえでそこから抜け出し、毎週少しずつ良くなっていくのとも違います」とPalmer医師は語りました。

鬱の場合、ある感情の引き金や、感情の引き金からの時間的な距離が問題なのではありません。鬱の生物学的な原因が自然に、あるいは薬物治療で変化するまでは、そこから抜け出して『大丈夫だ』と感じることはないのです。

とはいえ、悲しみが人に深く影響を与えることはない、ということではありません。心理士で作家のGordon医師は、悲しみは、同時に鬱を経験していなかった場合でも人に一層大きな影響を与えることがある、とメールで語りました。

たとえば、Gordon医師の説明によると、悲しみがさらに深い苦悩と結びついている場合、鬱ではなかったとしても、生活や気分の面でさらに長期間影響を受けることがある、といいます。

助けを求めるべき時を知る方法

語ってくれた専門家の全員が強調したのが、自分の「基準」(自分にとっての正常な行動)を知り、その変化に細心の注意を払うことが重要だ、ということです。Gold医師は、具体的な習慣や行動について自問してみることを勧めています。

いつもは7時間寝るのに、今は5時間しか寝ていないか、いつもと違うものを食べているか、一人になろうとし友達と一緒に行動するのを嫌がっているか、などと確認するのです。

もうひとつ重要で考慮すべき点は症状が悪化しているかどうかだ、と精神科医のGold医師は説明しました(たとえば、以前は友達に会いに外出できたのに、今はできないなど)。また、症状が生活にどのような影響を及ぼしているか、ということも考える必要があります。まだやることができていて仕事や学校に行っているからといって、問題がないとは限りません。

「医療従事者や大学生の中には、『学校に行っているし、成績も問題ない』『会社に行っているし、まだ仕事もちゃんとできている』から鬱であるはずがない、と話す人がたくさんいます」とGold医師は話しました。

私の経験では、学校や仕事は、多くの人が鬱になりながらも長い間できることであって、(最初に影響を受けるのは)日常生活における他の部分なのです。

人によっては自分自身のケアや家の管理をしなくなることがある、とGold医師は言います。また、友人関係の維持をやめたり、パートナーや子どもとの関係にあまり注意を払わなくなったりすることもあります。

この他の警告のサインには、数週間1日の大半またはほぼ毎日など、長期間悲しい気分が続いていることなどがある、とPalmer医師とGordon医師は指摘しました。

自分の感情の状態が大きな苦痛となり、人間関係や仕事、学校に影響を及ぼしている際には、助けを求めることを考える必要があります。また、自殺願望も重大な警告のサインです。自殺願望が繰り返し起こる人は、すぐに専門家の助けを求める必要があります。