道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す人「起業家」。未来に向かって挑むその原動力は? 仕事における哲学は…? 時代をリードする起業家へのインタビュー『仕事論。』シリーズ。

今回登場していただいたのは、株式会社STRACT代表の伊藤輝さん

数々のアプリやウェブサービスをつくり上げたのち、現在はiPhoneウェブブラウザー「Safari」のプラグイン「PLUG(プラグ)」を展開。Eコマースをより便利にするサービスを提供しています。

小学生からプログラミング、高校生で個人事業主に。大学生でアプリを大ヒットさせる

──まずは起業に至った経緯を教えてください。

大学生の時につくった音楽プレイヤーアプリが思わぬ形でヒットしたことがきっかけです。

楽曲のレコメンドエンジンを研究する目的で、ユーザーが聞く音楽の視聴データを集めて、レコメンドするAndroid用アプリをつくりました。当時は個人事業主だったので、「法人成り」という形での起業です。

そもそも個人事業主として開業したのは、高校3年生の時

当時はiPhoneが出たばかりで、スマホのアプリを作れる人があまりいませんでした。iOS向けに何かをつくると簡単にダウンロードランキング上位に行けて、使ってもらえる状況だったんです。

──ソフトウェアのエンジニアリングは、いつごろからはじめていたのですか?

小学生のころから、プログラムのコードを書いていました。当時は趣味で、主にウェブサイトをつくっていたんです。

中学生になってからは、さまざまなサイトの記事をキュレーションするメディアをつくりました。まだ個人でも頑張ればGoogle検索上位に上がれる時代だったので、収益化も可能だったんです。

高校生くらいになると、テレビで学生起業・スタートアップなどで活躍している人たちを目にするようになりました。世の中にないプロダクトをつくり、人々の生活を変える。そんな彼らの姿を見て、これまでの自分の収益化との次元の違いを知りました。

そして、「自分の技術力ならそれができるんじゃないか」と。

そこから、スマホアプリなど、プロダクトをつくってビジネスにしていくスタイルにシフトしました。

ただ、自分にとって良いものをつくっても、母や妹などITに詳しくない人からすると「使いにくい」「よくわからない」と言われてしまうことも。

どんな人でも使いやすくするためにはインタフェースが大事だと思い、UIの研究をするために大学に入りました。

選んだのは、iPhoneのフリック入力をつくった増井俊之さんの研究室があるSFC(慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス)です。卒論では、身の回りのテーブルなどを叩くことで家電を操作できるIoTデバイスをつくりました。

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企業に必要なのは天才じゃない。成功を何度も再現する「機構」だ
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