高いパフォーマンスで成果を出す経営者やビジネスリーダーに共通することは、「仕事を面白がる」力の高さ。

この「仕事は冒険だ。──時代を生き抜くキャリアの描き方」特集では、そのような人たちへのインタビューを通して「厳しい時代を楽しく生き抜くキャリアのつくり方」や「冒険のようにワクワクしながら仕事に取り組む方法」をご紹介します。

第3回は、bondavi株式会社の戸田大介さんです。

「継続する技術」「集中」など、シンプルでユニーク、かつ実用性の高いアプリを手がける戸田さん。開発したアプリの累計ダウンロード数は、すでに430万回を超えています。

好きな仕事で独立するために必要な考え方や、仕事を好きであり続けるために必要なことなどをお聞きしました。今回は後編です。

▼前編はこちら

「ムダな機能」が収益源? アプリ会社なのに広告完全排除で生き残るbondaviの美学 | ライフハッカー・ジャパン

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仕事は1日4時間。それが好きであり続ける秘訣

──戸田さんが仕事のなかで、これだけは実践すると決めていることはありますか?

独立してからずっと、「仕事は1日4時間」と決めて、それ以上は絶対に働かないようにしています。

独立する時に、「ずっとアプリ開発を好きでいるためには、どうすればいいんだろう」と考えました。

というのも僕は、「好きすぎるのが原因で嫌いになってしまう」ことがありまして。

たとえば音楽で「このバンド、すごくカッコイイよ!」って思ったら、2週間ぐらいずっとそればっかり聴いてしまって、でもしばらくすると、だんだん「最近コレばっかりだよ…」みたいな気持ちになってしまって(笑)。

そのバンドのカッコ良さはずっと変わってないはずなんですが…。

そんな感じで何事でも、好きなことに夢中になるあまり、すべてを費やしてそればっかりに没頭してしまい、「好きでいられる上限」を超えて、嫌になってしまうことがよくあるんです。

なので、アプリ開発への熱量が下がらず、かつもっともいいアウトプットが出せる労働時間を探して試行錯誤し、結果的に行き着いたのが「4時間労働」でした。

──仕事が1日4時間だと、それ以外のことに使う時間もかなり確保できると思いますが、1日のルーティーンを教えてください。

毎日のルーティーンは、かなりしっかり決まっています。

まず、朝起きたら25分間仕事をして3分間休憩するサイクルを3回繰り返します。その後、25分ピアノを弾き、朝食を食べたらその後に漫画を読み、散歩をして、仕事に戻ります。今度は25分仕事をして3分休憩するサイクルを6回繰り返し、その日の仕事は終了です。

あとはピアノを弾いたり、本を読んだり、散歩をしたり、たまには温泉に入ったりして1日が終わります。

図: 岡山進矢
図: 岡山進矢

──かなり規則的なスケジュールですね。ルーティンを決めても守れないという人も多いと思いますが、そこまでしっかり守ることができるコツを教えてください。

そうですね、僕の場合は…すごく頑張りました。(笑)

ルーティーンから外れてしまったときは、グッ! と無理やりにでも戻すようにしています。型に流し込むようなイメージですね。

実は、bondaviが出している「集中」アプリも、そのためにつくったものです。

25分仕事をして3分休憩するサイクルがいいということは知っていても、実際に25分で仕事をストップできる人は少ないと思います。

そこで「集中」アプリは、時間になるとウグイスがめっちゃ大きな声で「ホケキョホケキョホケキョ!」と鳴くので、半ば強制的にやめることができます。

「できない理由」を一つずつ潰していった結果できあがったのが、あのアプリなんです。

──戸田さんはルーティーンや自分に課すルールのようなものを大事にしている印象がありますが、どういった思いがその根底にあるのですか。

僕は、一定の決められたリズムや制約のなかから、良いものが生まれると思うんです。

たとえば、音楽。

音楽は自由なものと思うかもしれませんが、ルールを無視してピアノの鍵盤をデタラメに叩けば不協和音にしかなりません。

しかし、一定のリズムや和音の決まりに従っていれば、誰でもある程度きれいな音楽がつくれるんです。

やはり、規則やルールというものは、意味のあるもの・きれいなものをつくるためには必要だと思います。

だから、自分もそれを徹底したい。そういう思いから「集中」のようなアプリをつくっているのかもしれませんね。

──どれほど好きな仕事でも、どうしてもモチベーションが下がってしまうときはあると思います。そのときに持ち直す方法を教えてください。

僕の場合は、モチベーションが下がったときに上げる方法ではなく、下がらない方法を考えるようにしています。

その結果が先ほどお話しした「1日4時間」のルールなんです。

たとえばプログラミングをしていて、なかなか解決しないバグが出たとき、1日10時間かけても解消できなかったら「うわぁ今日疲れたなぁ…」って、プログラミングが嫌になっちゃいます。

だから、どんなに切りが悪くても、結果が出なくても4時間で終わらせて「明日またフレッシュな気持ちでやろう!」とすれば、プログラミングが嫌なものっていうイメージも頭からなくなって、毎日できることが楽しくなってきます。

本当は「もうちょっとやりたいなぁ」というタイミングで切り上げることで、「よし、明日も仕事をやれるといいな!」と思えるように自分をコントロールしています。

──そのほかに、仕事が辛くならないために工夫していることはありますか?

仕事の時間が終わった後は、仕事のことを一切考えないようにしています。

あと、スマホのSlackやメールの通知はオフにして、自分で決めたタイミングでしか見ないようにしています。

具体的には、毎日のルーティーンで25分を9セットのルーティンのうち、7セット目と9セット目が終わったときに確認しています。

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人生の90%は平凡な日。ならそれを少しずつ豊かにできないか
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