CEOが管理職に最も能力が低い部下が誰かを把握するように命じた場合、次の質問は当然、「その情報に対してどのように対処するか」となるでしょう。
例えば、部下たちを解雇するかどうか、などです。つまり、それが今、特にビックテック企業において起きていることなのです。
今回は、Googleのサンダー・ピチャイCEOのコメントから「従業員からの質問に対して、リーダーとして最低限取るべき態度」について考えていきます。
「悪い意味」で教訓になったピチャイの対応
イーロン・マスクが買収を完了後間もなく、Twitterは従業員の半数を解雇しました。それから間もなくして、Metaは1万1,000人の従業員を解雇しました。
冒頭の「低能力者」の分類について報じられたグーグルでは、解雇は行なわれていませんが、だからといって従業員が将来に不安を感じていないということではありません。
実際、従業員たちは最近開催された全員参加の会議で、まさにその質問をサンダー・ピチャイCEOにぶつけました。
ビジネス・インサイダーによると、そのときのピチャイの対応がすべてのリーダーの教訓になるというのです。残念ながら、「悪い意味で」です。
「将来を予測するのは本当に困難であり、正直申し上げてこの場で前向きな約束をすることはできません」とピチャイは従業員に言いました。
「我々が真剣に取り組んできたことは、過去何カ月もの間、ご覧になった通りです。
将来何が起きても、より巧みに乗り切ることができるようにするため、重要な意思決定を重ね、規律を高め、可能なことを優先し、できる限り合理化しようと努めてきました。
それこそ、我々が注力し、挑戦し、最善を尽くすべきことです」
ピチャイは、世界最大のテック企業の1つのCEOです。Google、そしてその親会社であるアルファベットには15万人以上に上る従業員がいます。
そのうち3万人以上は、過去一年の間に加わった人たちでした。パンデミック中に経験した成長が継続すると想定したからです。
事実として、そうはなりませんでした。これは、CEOが将来予測を外しただけ、で済む話ではありません。
Googleの従業員たちは、経営に何が起きているかを知りたがっていたのです。現在の状況を考えれば、それは不合理な質問ではありません。問題なのは、その回答がはっきりしなかったことです。
この場合、一定の皮肉が含まれています。以前Googleは、従業員の働き方に関する意思決定は「長期の安定的職場環境」を作り出したいという願望によって推進されていると、ことさら強調していました。
当時の話し合いは職場復帰の方法と時期を巡ってのものでしたが、教訓は同じです。従業員が必要とするものは確実性です(そして、それを受け取って当然です)。
ピチャイが将来を予測できなかったのは確かです。でも、誰もそれについて聞いていません。
従業員が聞きたいのは、みんなが失業することになるのかどうかです。答えることができないにしても、「将来を予測することはできない」以外に言いようはあったでしょう。
「共感型リーダー」らしからぬ他人事のようなコメントだった
それにしても、「正直申し上げてこの場で前向きな約束をすることができません」とは何たる発言でしょう。
これは、製品ロードマップや財務目標で過大な約束をしないようにする場合にアナリストに向けて発信する類のコメントであり、コントロールできない外部要因が存在する場合に発するものでしょう。
ピチャイのような人には特に逆効果です。ピチャイは、共感的スタイルの統率力で知られるリーダーでした。
ところが今回の場合、ピチャイの回答は冷たく、まるで他人事のようであり、質問を不快に感じ、何も言いたくないときに発するようなコメントでした。
もちろん、みんなが聞きたがる情報をなんでも伝えるわけにはいかないことは分かっています。
また、ピチャイは本当に、正直に話していたのかもしれません。実際にピチャイは、将来のことが分からなかったのでしょう。だったら、そう言えば良かったのです。
従業員に質問をさせる場合、最低限すべきことは、従業員に敬意をもって回答することです。それこそ、最も重要なリーダーシップの教訓です。
Source: INDEPENDENT, Business Insider
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