コーチングスキルを身につけ、資格を取って仕事にしたり、チームメンバーとの関わりに生かしたりしている人も多いでしょう。
しかし、コーチングは自分自身にも使える技術。潜在意識に働きかけ、自分の本当の望みをかなえる「問いかけコーチング」の方法を、メンタルコーチ・一条佳代さんの著書より紹介します。
はじめの一歩は「なりたい自分」を探ること
技術や知識を教える「ティーチング」や、悩める人の課題解決を目的とする「カウンセリング」とは異なり、コーチングは「答えは自分の中にある」を原則とし、自分自身で答えを見つけることを促します。
一条さんの著書『「なりたい自分」へ加速する 問いかけコーチング』(三笠書房)で説かれているのは、「どんな自分でいたいか」「どんな人生を送りたいか」といった望みをかなえるために、自分で自分へ問いかける方法です。
「なりたい自分」になるためには、潜在意識へのアプローチが必要。潜在意識とは、外に表れず、心の奥底に潜んで存在し、自分も気づかない意識のこと。あなたの気づいていない力を引き出し、なりたい自分で生きていくために、本書を贈ります。
(『「なりたい自分」へ加速する 問いかけコーチング』3ページ)
まず問われるのは、思い描く「なりたい自分」は、本当に自分がなりたい自分なのかということ。
「誰かのなりたい自分」や「求められている自分」のように、他者からの評価が判断材料になり、それが「私のなりたい自分」に変換されていることがあるのです。
(『「なりたい自分」へ加速する 問いかけコーチング』79ページ)
本当の「なりたい自分」は、そうなったことを想像するだけで心からワクワクするかどうか、誰に反対されても認められてもそうなりたいのか、無理なくいられる「自分」なのか…をヒントに探っていくことができます。
どうでしょう。「本当になりたい自分は?」と聞かれてすぐに答えが出てくるでしょうか。言葉につまってしまうなら、一条さんが示す以下のヒントを参考にするのもよさそうです。
1)あなたが「会ってみたい人」は誰ですか?
2)あなたが「また会いたい人」は誰ですか?
3)2について、なぜ、そう思いましたか?
(『「なりたい自分」へ加速する 問いかけコーチング』91ページ)
ここで大切なのは「3」の、なぜそう思ったのかということ。「なりたい自分」がスムーズに挙げられた人も、「なぜそう思ったのか」に立ち返って考えてみるのもいいかもしれません。
自分の本音を知り、自分をねぎらう2つのワーク
「なりたい自分」が思い描けたら、いよいよ自分に問いかけるステップに進みましょう。本書の5章では、自分の強みにフォーカスする7つのワークが用意されています。そのなかから2つをご紹介します。
<自分の本音に気づくワーク>
1)このワークに取り組もうとしている今の気持ちは? それはなぜですか?
2)何でもかなうとしたら、何をかなえたいですか?(一番変えたいものは何ですか?)おれはなぜですか?
3)どんな未来になったらいいなと思いますか?(来年はどんな1年にしたいですか?)それはなぜですか?
4)誰といる時が一番嬉しいですか?(誰といる時が一番嬉しかったですか?)それはなぜですか?
5)夢中になるものは何ですか?(これまで夢中になったものは何でしたか?)それはなぜですか?
(『「なりたい自分」へ加速する 問いかけコーチング』172〜173ページ)
このワークを通して、「あなたが、あなた自身の本音を知ることは、自分への信頼につながる」と一条さん。そしてもう1つは、自分をねぎらうワークです。
<自分に感謝を伝えるワーク>
1)3年前のあなたが、今のあなたに伝えたい「ありがとう」は何ですか?
2)3年後のあなたが、今のあなたに伝えたい「ありがとう」は何ですか?
3)今日のあなたが、今のあなたに伝えたい「ありがとう」は何ですか?
(『「なりたい自分」へ加速する 問いかけコーチング』207ページ)
自分に伝えたい「ありがとう」を考えているだけで、「けっこうがんばってきたな」「がんばれそうだな」という前向きな気持ちになれるような気がします。
年の瀬は、今年の自分やこれからの自分について考える機会が増えます。「なりたい自分」を考えたり、上記のワークを試したりしてみませんか? 来年の抱負や今後の指針に入れたい項目が1つ増えるだけでも、大きな一歩と言えるのかもしれません。
Source: 三笠書房