高いパフォーマンスで成果を出す経営者やビジネスリーダーに共通することは、「仕事を面白がる」力の高さ

この「仕事は冒険だ。――時代を生き抜くキャリアの描き方」特集では、そのような人たちへのインタビューを通して「厳しい時代を楽しく生き抜くキャリアのつくり方」や「冒険のようにワクワクしながら仕事に取り組む方法」をご紹介します。

今回お話を伺っているのは、引退した路線バスの車両をサウナに改造した、移動型サウナバス「サバス」を運営する株式会社リバース 代表取締役の松原 安理佐さん。

前編では、兵庫県を拠点とするバス会社「神姫バス」に社員として所属しながら、出向起業という形でスタートアップを立ち上げたストーリーをご紹介しました。

後編では、サバスを形にしていく中での苦労やその乗り越え方、松原さんが大切にしている働き方についてお聞きします。

▼前編はこちら

蒸車できる「サウナバス」。出向起業で逆風のバス業界に風穴をあけた、彼女の行動力の源は | ライフハッカー・ジャパン

蒸車できる「サウナバス」。出向起業で逆風のバス業界に風穴をあけた、彼女の行動力の源は | ライフハッカー・ジャパン

一人起業から、注目の「サバス」を立ち上げるまで

2021年11月にサバスの製作が発表され、翌年3月からは関西近郊での運用がスタート。つり革や整理用ボックスなどバスの内装モチーフはそのままに、本格的な薪サウナが楽しめるという斬新なリブランディングが話題を呼んでいます。

周りの反響や事業を手がける松原さんの実感はどうなのか伺いました。

――サバスは、いまとても注目を集めていますね。

“第一弾となるバスのリメイクは、絶対に世間の想像を超えるものにしたい”という当初の狙いどおり、製作の段階からたくさんのメディアの方が取材に来てくれました。

「サウナバス」という目新しさのほかにも、コロナ禍で追い込まれたバス会社が出向起業をしたという点や若手の女性社員が起業したからなど、さまざまな角度から継続的に取り上げていただいています。

おかげで、営業活動や広告宣伝を一切していないのに毎月売り上げも上がっており、新規事業としては、いまのところ成功といっていいのではないでしょうか。

予想していたサウナ界隈や温浴施設からの反響以外にも、事業会社や旅行会社、地域活性化のためにサバスを使いたいという地方自治体など、普段関わりがなかったところから問い合わせがきている状況です。

――第一弾はとても順調そうですが、危機的状況にあるバス業界での新規事業。特に苦労したことはありますか?

一番大変だったのは、「お金」のこと。出向起業で補助金は出る(※)ものの後払いなので会社を立ち上げるには最初にある程度のお金を用意する必要がありました。

補助金はあくまで事業内容に関わるものに対してのみいただけるものなので、会社の設立費には当てられず、サバスの製作費と開業資金が同時にかかる状態でした。

起業を目指していたわけではないので、自分の貯金もたかが知れているし、融資も検討したけれどコストがかかりすぎるのと未知のものすぎてスムーズにいかず、結局親から借入金をして工面しました。

※経済産業省 令和3度予算「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金 (出向起業等創出支援事業)」に採択。所属企業を退職することなく外部の資金調達によってスタートアップを起業させることができ、出向元からの出資が20%未満と決められているため、親会社からの拘束が少なく自由な経営ができる。

バスの躯体を生かしつつ、サウナバスを作っていった
バスの躯体を生かしつつ、サウナバスを作っていった

――会社員から経営者になり、大きく立場や環境が変わったことで不安に感じたことは?

サバスの製作費は1台1000万円以上。支払う金額が何百万単位におよぶこともあり、初めて携わる分野でモノの価値や単価が正規のものなのかも不明なまま、決裁者が自分ひとりしかいないという不安が大きかったですね。

ざっくり予算は決めてその中でやるようにはしていたんですが、代表である自分しか社員がいないので自分がOKしたら進んでしまう怖さはものすごくありました。回収できなかったらどうしようというよりも、スタートしてしばらくは先が見えなくて常に不安と隣り合わせという状態でした。

――しかも全く知らない分野である「サウナバス」を作る過程はどのように進めましたか。

事業をはじめる前からパートナーとしてサウナイキタイを見つけることができたので、薪ストーブをどこで買うとか設計士さんを誰にするといった細かい部分はスムーズに決まったんです。

でも、そこからバスを改造して設置するのは初めてのことなので、みんなが手探りで折り合いをつけながらやるしかなくて。そこで、普通は責任を明確にする工事の現場で、あえてそうしないようにしたんです。

結果的に話し合いの場が増えて、何かあっても責任の押し付け合いになることなく、全体の責任だからという雰囲気になり、チームワーク全体がまとまるようになりました。

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しなやかかつ、挑戦的、松原さんの仕事への原動力は?
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