高いパフォーマンスで成果を出す経営者やビジネスリーダーに共通することは、「仕事を面白がる」力の高さ

この仕事は冒険だ。――時代を生き抜くキャリアの描き方」特集では、そのような人たちへのインタビューを通して「厳しい時代を楽しく生き抜くキャリアのつくり方」や「冒険のようにワクワクしながら仕事に取り組む方法」をご紹介します。

今回は、引退した路線バスの車両をサウナに改造した、移動型サウナバス「サバス」を運営する株式会社リバース 代表取締役の松原 安理佐さん(大阪府在住・29歳)。兵庫県を拠点とするバス会社神姫バスに社員として所属しながら、出向起業という形でスタートアップを立ち上げました。

バス業界はもともと人口減によって利用者数が低下しているところに、コロナ禍や燃料高騰によって大打撃を受けており、危機的状況。そんな逆境に斬新なアイデアと行動力で風穴をあけた松原さんは、まさに冒険心に溢れた現代のビジネスパーソンそのものです。

この前編では、地元のバス会社に就職し、まだあまり知られていない出向起業というカタチで新規事業をスタートさせることになった経緯をご紹介します。

▼後編はこちら

引退したバスを「サウナバス」そして「託児バス」へ。出向起業家の新しい冒険としなやかな働き方 | ライフハッカー・ジャパン

引退したバスを「サウナバス」そして「託児バス」へ。出向起業家の新しい冒険としなやかな働き方 | ライフハッカー・ジャパン

バスに新しい価値を与えたい

サバスの運用がスタートしたのは、2022年3月のこと。関西近郊をメインにイベント会場や温浴施設など、さまざまな場所で“蒸車”されています。

バスならではのレトロな雰囲気を活かした休憩スペースと、フィンランド製の薪ストーブのサウナ室から構成されたサバスは、降車ボタンを押すとロウリュ(熱したストーンに水がかかり蒸気が発生する)まで楽しめるという本格派。

松原さん自身、さぞバス好き、サウナ好きではじめたのかと思いきや、じつはそうではないのだそう。では、なぜサウナバス?なのか松原さんに聞いてみました。

――新卒でバス会社に就職した経緯は?

2015年に新卒で神姫バスに入社したんですが、就活で軸にしていたのは企画や新規事業ができるかどうか。業種業界にはとらわれずに活動していました。

そんな中、地元(兵庫県)の会社だった神姫バスの会社説明会に友人に誘われて行ったところ、当時の事業戦略部の方が話をしていて、初めて社内にそういう部署があることを知ったんです。

わたし以外の同期はみんな地域のために何かしたいとか、バスが好きという人ばかりでしたが、わたし自身は新しいことができそうという理由で入社しました。

――最初から、新規事業立ち上げとはいかず。

新規事業を手がけたいという希望はあったものの、入社して3年ほどは不動産事業部に所属。その後、周囲に企画をやりたいと言い続けたかいもあってか、事業戦略部に異動となりました。

事業戦略部で最初に行なったのは、社内の新規事業提案制度の改変。以前からあった制度なのですが、まったく利用されていなかったんです。

路線バスの利用者がどんどん減っていく中、何か新しいことをやらなくてはというタイミングもあって、制度の見直しをすることになりました。

でも、社内研修や、「賞金が出ます」とか「管理職になれます」といろいろ工夫したものの、なかなか手を挙げる人がいなくて。提案する人が出てきても、会社の仕組みや枠の中でやろうとすると決裁が下りなかったり、時間がかかりすぎて途中で心が折れてしまったりする人もいました。

――なぜ運営側だった松原さんに白羽の矢が立ったんですか。

もしかしたら成功事例がないから誰もやろうとしないのかもしれない、だったらわたしがやるしかない! と、当時の上司である部長の後押しも受けて、みずから動くことにしたんです。それが2020年、ちょうど新型コロナウイルスが蔓延しはじめた頃ですね。

コロナ禍以前から新規事業自体はなんとなく頭に描いていました。ただ、当時考えていたのは兵庫県という土地柄もあってインバウンド向け。コロナ禍で状況が変わり、社内にある「遊休資産を活用しよう」と、方針を変えて、バスのリメイクを考えるようになりました。

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なぜ、サウナバス?周囲の反対から実現に持っていくまで
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