立派なウォルト・ディズニー・カンパニーのCEOになるために、やらなければならない事のリストを作成したなら、 「優秀な人を雇う」「利幅を増やす」「株主を喜ばせる」などを書き留めることでしょう。

また、「象徴的な知的財産を活用して新たなストーリーを語る」「我を忘れるような経験を感じさせる」といったことも加えるでしょう。

こうしたことが、ディズニーブランドのかなり中心となる部分であり、CEOとしてはこれに従って行動するのが仕事になります

だからこそ、「ウォルトの会社のビジョンに従う」がリストのどこか(おそらく上のほう)に見つかるのです。

結局のところ、この会社はまさに象徴的な創業者にちなんで名づけられました。

会社のロゴはウォルトの手書き。会社もっともはっきりと表すものが創業者の署名だとすれば、重要な決定を行なう時に「ウォルトならどうするだろうか」について考えるべきだという、ずいぶん強力な信号のように思われます。

かつて、そして再び現在のCEOとなったボブ・アイガー氏は、ディズニーのCEOとして巧者でした。アイガーはブランドが自然に伸びていくような感じで会社を成長させました。しかし、彼の前任者であったボブ・チャペック氏は、そうではありませんでした(アイガーは、チャペックを抜擢して後継者にしましたが)。

Wall Street Journalのレポートで明らかとなったところによれば、チャペック氏がディズニーのCEOであった2年半、アイガー氏は、チャペック氏が「会社の魂を殺していると感じていました。

それは、どんなCEOにとっても良くないことですが、特にディズニーでは良くないことだということには賛成いただけるのではないでしょうか?

リーダーの仕事は「会社の魂を守ること」

「会社の魂を殺す」という表現は非常に重要です。

考えてみれば、リーダーの主要な仕事とは、率いている会社の魂を守ること。その他のことはすべて些細な事です。

考えてみてください、会社の魂を殺す方法は数限りなくあります。そのような方法の多くに自力で気づくのは困難です。

それは、自分に仕えてくれる人の扱い方や、資源の配分方法や、自分のチームの編成方法などのように些細なことなのです。このようなことは個別には大したことではありませんが、時間が経つにつれて危険なものになります

そうなると、直接の打撃になります。たとえば、支払いの方法について映画スターと争いになったり、あるいはテーマパークを訪れる家族連れの料金を上げて、どんな場合でも並んで場所を確保せざるをえないようにさせたらどうでしょうか? ボブ・チャペック氏はそんなことをしてしまったのです。

信じてもらえても、信じてもらえなくてもいいですが、私はここでチャペック氏をあげつらいたいのではありません。

チャペック氏は、恐らくおそらくCEOと呼ばれたことはなかったでしょうが、CEOになると、大部分はアイガー氏が策定した戦略を実行しました。チャペック氏は、最重要なことが得意ではありませんでした。特にディズニーのブランドが関係する場合はそうです。

私がここで指摘したいことは単純。リーダーとしての主要な仕事とは、会社の魂を油断することなく守ることなのです。

会社の魂=会社の核となる文化・価値・人

アイガー氏は、チャペック氏がディズニーを経営するうえでの仕事ぶりが良くないと思っていることを隠そうとしませんでした

しかし、問題(アイガー氏が復帰するように頼まれた理由でもある)は、単にチャペック氏が稚拙な戦略的決定を行なったとか、特定のスキルを欠いていたということではありません。

問題は、チャペック氏がもっとも重要なことを駄目にしたことです。チャペックは、驚嘆の物語性や、我を忘れるような経験で知られている会社について考える時に考慮する理念に反するようになっていきました。

先の月曜日にタウンホールで、アイガー氏は従業員に対して、創造性と物語性がディズニーの核心だと信じていると語りました。

私はそのことで頭がいっぱいです、ある理由からそれで頭がいっぱいなのです。

つまり、それが我が社を駆り立てるからです

重要なのは創造する量ではなく、我々が創造するものがいかに素晴らしいかということです。

アイガー氏は、おそらく存命の誰よりもディズニーの魂、そしてその魂を守るために負う責任について理解しています。ディズニーを率いた15年以上にわたり、アイガー氏は誰よりもすばらしい仕事を成し遂げたのです。

アイガー氏の教訓はすべてのリーダーに当てはまります。

つまり、リーダーの仕事とは会社の魂を守ること。その意味するところは、会社を会社たらしめている文化、価値、および人を守ることです。

それを最初に優先させなければなりません。そうでなければ、やることに価値はないのですから。

Source: The Wall Street Journal, The New York Times

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