「この世で確かなものは、税金と死だけだ。」

これは、ベンジャミン・フランクリンの残した言葉です。これにもし1つ加えるとしたら、挫折でしょうか。

どんなに恵まれた環境にあっても、有能かつ努力家であっても、挫折は誰しもが経験します。無理だと言われ、頑張ってみるも失敗に終わり… どうあがいても自分には無理なのかもと不安になる。

誰もが経験することですが、では、立ち直れる諦めてしまうがいるのはなぜでしょう?

ここは、アンジェラ・ダックワースの説に耳を傾けるのがいいでしょう。ペンシルバニア大学の心理学者であり、TEDスピーカーとしても注目を浴びたダックワースは、名著『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』 の著者でもあります。

彼女は、諦めてしまう人と粘り強く頑張れる人の違いについて近年、TED アイデア・ブログで語っています。答えは1フレーズに集約されるそうです。

粘り強く頑張る人と、諦めてしまう人の違い

目標に到達できるかどうかが、置かれた環境に左右されるのは確かです。恵まれた環境にいる人ほど、目標までの距離が短いので、到達できる確率が高まるでしょう。

ただ、挫折にめげない忍耐強さを発揮できるかどうかは、その人の思考パターンに大きく左右される、とダックワースは指摘します。

粘り強く頑張る人と諦めてしまう人の違いは、その人が「ルビコン川を渡った」か否かである、と同氏は続けます。

ルビコン川の逸話をご存じない方のために解説すると、この表現の起源はジュリアス・シーザーの時代に遡ります。

かの古代ローマ将軍シーザーは、ローマ議会の強い反対を押しきって、軍を率いてルビコン川を越える決断を下し、その瞬間、反逆罪を犯したことになりました。もはや撤退する選択がないシーザーにとって残された道は、勝利または死の二択だったのです。

もちろん、現代の私たちが、生死を賭けてまで夢を追うことは、まずありません。起業が失敗に終わったからといって死刑になる訳でもないし、役者として大成できなかったら「頑張ったんだけどね」などと話のネタになるだけでしょう。

それでも、目標達成に向けて努力する時は、心理的に「ルビコン川を渡った」 つもりになって、全力で取り組む必要がある、とダックワースは断言します。

「全力で」とは、目標にコミットすることです。

夢のメリット・デメリットを天秤にかける時期はもう終わったのです。

そうではなく、夢を実現するために必要なことは何であるかを追求すべきです。

「ルビコン川を渡った」人間は、目標を達成しようかどうかではなく、如何にして達成するかに集中します

ある単語を1つ入れ替えるだけで、忍耐強さの度合いが変わってくるのです。

「夢なのか? それとも計画か?」

精神的に強いかどうかを決定づける要因は?

それは、正しい目標に向かっているかどうか逡巡するのではなく、目標に至る方法を模索することに集中できるかどうかだ、というダックワースの話で思い出したことがあります。

起業家であり、著者でもあるティム・フェリスが言っていた同様のアドバイスです。

フェリスも、「夢見る人とやり遂げる人では、言い回しが微妙に異なる」と述べています。ただし、彼の説は少し異なる観点から述べられています。

プロレスラーでWWE(アメリカ合衆国のプロレス団体及び興行会社)役員のポール・ルベックは、フェリスのポッドキャストに出演した際、ボクシングチャンピオンのイベンダー・ホリフィールドにまつわる逸話を披露しました。

ホリフィールドがはじめたばかりの頃、彼のコーチはホリフィールドに向かって問いかけたそうです。

「お前は次期モハメド・アリになれるぞ。どうだ、なりたいか?」

イベンダーは、母に聞いてみると言い、翌日「なりたい」と答えました。

そこで、コーチは「よし、わかった。で、それは、お前の夢か? それとも目標か?」とさらに問いただしたそうです。

「ここに、大きな違いがある」とルベックやフェリス、その他大勢の専門家は力説します。

つまり、目標に向かっている人間は、ルビコン川を既に渡っている

夢追う人とは異なり、「選択が誤っていなかっただろうか」「果たして自分にできるだろうか」と悩んだりしません。そうした思考は、もう頭にないのです。

日々前進。向上するために、取るべき実践的な行動に注力しているからです。

ダックワースの説にあるように、「目標を追い求めるか否かではなく、どうやって追い求めるかを考えてい」ということです。

忍耐強くやり抜く人とそうでない人の違いは、不安感ではありません。不安は誰しも抱くものです。そして、誰しも挫折を避けて通れません。

違いは、その時どう対処するかです。

諦めてしまう人は、自身の実力や目標に疑問を抱いてしまいます。反対に、そこで立ち直れるのは、既にルビコン川を渡ってしまっていることを自覚していて、戦術と方法を考え抜くことができる人なのでしょう。

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Source: TED, Amazon,