毎年恒例のビル・ゲイツの「2022年おすすめ本5冊」が発表されました。

今回のリストの特徴は、今年読んだ本に限定されていないこと。あるテーマに沿ったベスト本5冊が紹介されています(もちろん完全なリストではないと注釈あり)。

中学時代に読んだ1冊から今月発刊されたばかりの新著までの5冊がリスト入り。膨大な冊数になる彼の読書歴を考えると、どのような本が厳選されたのか楽しみです。

さっそく彼のブログに発表された5冊をその順に見ていきましょう。

ビル・ゲイツが選ぶ!「2022年夏に読むべき本」5冊 | ライフハッカー・ジャパン

ビル・ゲイツが選ぶ!「2022年夏に読むべき本」5冊 | ライフハッカー・ジャパン


『異星の客』ロバート・A・ハインライン著(大人向けのSF入門のベスト)

「未来の可能性について考えされられるSF作品が好きだ」というビルが選んだのは、中学時代に巡り合ったロバート・A・ハインラインの1961年発表の本作。

ビルは、来たるヒッピー文化を予測していた点や人間の本質について深い問いかけをしている点を高く評価しており、また曖昧なエンディングの解釈は読者次第という点が現実社会と重なると述べています。

娯楽要素に加えて、そのような深みが大人のためのSF入門にふさわしい1冊に選ばれた理由です。

東京創元社SF文庫に和訳本があります。

『Surrender: 40 Songs and One Story』ボノ著(ロックスターのベスト回想録)

2022年11月1日に発刊されたばかりのU2のリードボーカル、ボノのメモワール

ボノとは友人だというビルでも、知らないことばかりのこのメモワールは驚きの連続だったそうです。

ポリスやデュラン・デュラン、ジェネシスなどのブリティッシュロックが台頭していた80年代初旬、その洗練された音楽に対抗するかのように現れたU2。

アイルランドから『ニュー・イヤーズ・デイ』の荒々しい音色で世界のロックシーンに躍り出た瞬間を覚えている洋楽ファンの1人としては、ボノの半生やメッセージ色の強いU2の音楽が生まれた背景には興味大です。

ロック史上もっとも成功したバンドの1つであるU2を率いてきたボノのサクセスストーリーの裏にはどんなドラマがあったのでしょうか。

ボノは原著のオーディオブックを読んでいるので、彼から半生について「聴く」こともできます。

アメリカの出版社によると、11月22日時点で日本での翻訳本発売は未定だとか。でも、ボノの知名度を考えれば和訳が出版される可能性は高そうです。

『リンカーン』(『リンカン』)ドリス・カーンズ・グッドウィン著(国を主導するためのベストガイド)

ドリス・カーンズ・グッドウィンは、ピューリッツアー賞の受賞歴を誇る米国の伝記作家・歴史家です。

アメリカ合衆国第16代大統領のエイブラハム・リンカーンについての本は何冊読んでも飽きないというビルですが、その中でもこの本はベストの1冊だと断言しています。

また、特に人種問題をはじめさまざまな面で米国の二極化が進む現在はリンカーンの時代と重なると述べています。

それは、原著のタイトル『Team of Rivals: The Political Genius of Abraham Lincoln』、つまり、ライバルであったとしてもチームとしてまとまり、国を率いていくことの必要性を感じているからでしょう。

米国に20年以上住んでいる私も日々のニュースに分断を感じずにはいられません。また、ライバルが協力することの必要性は政治だけに限られてはいないでしょう。

そういえば、ビルの2018年夏のおすすめ本リストにはジョージ・ソーンダーズ著の『Lincoln in the Bardo(邦題:リンカーンとさまよえる霊魂たち)』が含まれていました。こちらはゴーストの視点でリンカーンの生涯が描かれるというユニークな歴史小説でした。

グッドウィン著の『リンカーン』は、スピルバーグ監督の映画『リンカーン』の原作となったもの。日本語訳はありますが複数巻に及ぶので、映画を年末年始に楽しむのもありですね。

『新インナーゲーム』ティモシー・ガルウェイ著(自分のやり方を見直して抜け出すためのベストガイド)

テニス本…? そういえば、ドキュメンタリー『天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する』でビルがテニスをしていたのを思い出しました。

テニスコーチだったガルウェイが1974年に書いた本著はビルが何度も読み返す1冊であり、また友人にも贈ることの多い1冊だそうです。

それは、本著がテニスの技術面だけではなく、ガルウェイが「インナーゲーム」と呼ぶ精神状態についても取り上げているから。失敗したときに自分を責めるのは仕方がないとしても、そこから学びを得てどうパフォーマンスを向上させてゆくのか。

メンタル面のコントロールの重要性にも気づいたガルウェイはテニス以外のスポーツについても同じような考察を著し、コンサルティング業に進出してフォーチュン500企業にアドバイスするようになったそうです。

ビルも本著には人生の様々な面に役立つアドバイスがあり、ここからの学びをマイクロソフト時代に役立てたこともあったとブログで述べています。そんな理由から今回のリストの中では一番読みたいと思った本です。

『メンデレーエフ元素の謎を解くー周期表は宇宙を読み解くアルファベット』ポール・ストレイザン著(周期表についてのベスト)

夢にみて元素周期表を考えついたという帝政ロシア時代の化学者、ドミトリ・メンデレーエフ(1834〜1907)の人生を描きながら、古代ギリシャにまで遡って元素の歴史も辿った本著。米国で2000年に出版され、2019年に再版されました。

周期表…遠い昔に授業で学んだけれど、そういえばそれを考えついた人がいるわけです。ゲイツ財団では医療関係の活動も多いのでビルにとっては無縁のトピックではないのでしょう。それにしても、この選択に彼の非凡な好奇心とその追求の姿勢を感じずにはいられません。

しかも、ビル本人によると自分のオフィスの壁の1面は周期表になっていて、それぞれの元素のサンプルが展示されているのだそうです! 周期表は、彼にとって、1つの発見がどのようにほかの多くの発見につながっていくかを思い出させるものだと語っています。

今回は5冊中4冊が和訳あり!

いつも好奇心をそそられるビル・ゲイツのオススメ本リスト。今回のリストはその年に読んだ本に限定されていなかったため、以前に出版されていて和訳があるものが多かったのが目立ちました。

そして、5冊の発表をしているトップ動画からわかるように、ビルは、5冊のセットを世界中の「Little Free Library」100カ所に配布するよう手配したそうです。日本では京都が挙げられていました。

京都在住の人は身近なところにある「Little Free Library」でこの5冊を手にすることができるかもしれません。

Source: GatesNotes 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, Little Free Library