よりよい人生、よりよいキャリアを望むなら、今避けて通れないのが「リスキリング」。ただ学び直すだけでなく、変化の激しいこの時代に必要とされ続けるために新しいスキルを身に付ける、いわば「自分自身をアップデートする」ことです。

そのためには、自身が現在持っているスキルや経験を見つめ直し、その価値を高める分野を見極めて学ぶこと、つまり「リスキリング戦略」も重要になってきます。

学び方自体も書籍やセミナーだけでなく、SNSやオンライン講座はもちろん、さまざまなテクノロジーを活用した「新しい学び方」が広がりつつあります。この特集では、「自身の価値を最大限に深化させる学び方」をご紹介します。

初回となる今回は、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事/SkyHive Technologies 日本代表で『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』著者の後藤宗明さんに「リスキリング」について、改めて教えてもらいました。

リスキリングとは何か?

メディアで「リスキリング(学び直し)」という表現をたびたび見るようになりましたが、「学び直し」という言葉は実は不十分な表現です。

「Reskill(リスキル)」という言葉は「新しいスキルを再習得させる」という意味で、リスキリングという概念が生まれた海外では「組織が従業員に新しいスキルを再習得させる」というのが基本的な意味です。

ですので、個人が好きなことを帰宅後や週末に学び直すなどということとは異なり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)といった組織変革ニーズに基づいて自社の従業員に新しいスキルを身につける支援を行なうことをリスキリングは指しているのです。

そのためリスキリングは、「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、新しい業務や職業に就くこと」と言えるのです。

なぜリスキリングを行なう必要があるのか

海外でリスキリングが注目された一番大きな理由は、デジタル化が進む中で「技術的失業(Technological Unemployment)」を未然に防ぎ、労働移動を実現するための解決策としての側面です。

「技術的失業」とは、「テクノロジーの導入によりオートメーション化が加速し、人間の雇用が失われる社会的課題」を指します。

自動化されて消失していく仕事から、デジタル分野等の成長産業に労働力をシフトしていく手段としてリスキリングが海外では浸透しているのです。

そのため、成長産業、特にデジタル分野の職業に就くためのスキル獲得とほぼ同義でリスキリングを捉えている場合も多くあります。それもあり、DX時代の人材戦略として、リスキリングが注目されているのです。

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日常的なことから実践できるリスキリング、初心者向け3つの取り組み
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