「いい人」になんてならなくていい。「自分中心」で生きていい。
そう語るのは、作家・心理学者で早稲田大学名誉教授の加藤諦三(かとう・たいぞう)さん。
加藤さんいわく「リストラやマラソンや受験勉強といった誰が見てもわかりやすいつらさより、本当につらいのは、心の重荷のように誰にもわかってもらえないつらさ」。
今回は、加藤さんの著書より、「心の重荷」を降ろすという考え方を紹介します。
心の重荷とは「心に蓋をして、無意識に追いやった感情」
(この本は)誰にも理解してもらえない「生きるつらさ」を抱えて心身ともにボロボロになってしまった人が、その心のうちを自らが理解し、新しい自分へ出発するための本である。
『「心の重荷」の降ろしかた 「生きるのがつらい」ときはやり直せばいい』(三笠書房)のはしがきで、加藤さんはこのように書いています。
無理をして頑張ってきた。自分より他人の気持ちを優先してきた。そうして心に蓋をして無意識に追いやった自分の感情は「心の重荷」となって、自分の人生を生きづらいものにしています。
そんな心の重荷を降ろし、自分の本当の価値に気づこうと、加藤さんは呼びかけます。
あなたはひとりでここまで重荷を背負って生きてきた。
あなたはひとりでここまで頑張って生きてきた。
もう十分、ここまで一生懸命生きてきたのだから。
それなのにどうしてそんなに自分を責めるの?
それは考えすぎ、それは頑張りすぎ。
(『「心の重荷」の降ろしかた 「生きるのがつらい」ときはやり直せばいい 』8〜9ページ)
本書では、人が心に重荷を抱えてしまう理由や、心の重荷から解放される方法、悩む力をエネルギーに換えることの大切さなどが、5章にわたって説かれています。
「自分らしい心地いい人生」に導く3つの言葉
決して押し付けることなく、読み手を優先しながら、まるで詩集のように穏やかな気持ちにさせる本書より、心が軽くなるような言葉を選んでみました。
心の借金で首が回らなくなるのが「心の重荷」
その「心の借金」を返すためには、まず毎日の生活の態度を見直す必要がある。人に見せるためではなく、自分に見せるための生活に変えることである。(中略)世間の評価を上げるためではなく、自分が気持ちよいと感じることをすることである。
(『「心の重荷」の降ろしかた 「生きるのがつらい」ときはやり直せばいい 』124ページ)
人生に本当に必要な能力は「楽しむ能力」
つまり楽しいことがあるかないかではなく、あることを楽しいと感じる能力がこちらにあるかないかである。
(『「心の重荷」の降ろしかた 「生きるのがつらい」ときはやり直せばいい 』138ページ)
「苦労がないこと」が幸せではない
心理的に未解決な問題を解決しようとしないで、今のままの自分で救われようと頑張っている。しかしそうやって苦しみから逃げることで、長い目で見入れば、さらに大きな苦しみに陥る。苦労がないことが幸せではない。
(『「心の重荷」の降ろしかた 「生きるのがつらい」ときはやり直せばいい 』188ページ)
読み進めるうちに、心が軽くあたたかくなるのを感じます。程度に差はあれど、誰にでも背負った「心の重荷」はあるはず。その荷物の中身や軽くするための方法について、考えてみるのも有意義ではないでしょうか。
Source: 三笠書房