忙しいけれど、家はきれいにしていたい。年末に向けて、そろそろ大掃除のことも考えたい──。そんな意欲とともに湧いてくるのが「どうして片付けが習慣にできないのだろう」という自責の念。
そこへ、見つけたのが『1か月に1回物を動かせば家はキレイになる』(ポプラ社)という一冊。
しかも著者は、羽田空港を「空港清潔度ランキング」で世界1位に導いた立役者・新津(にいつ)春子さん。その掃除術や仕事論を紹介したNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を観たという人も多いのではないでしょうか。
広い空港の隅々までをピカピカに磨き上げてきた掃除のプロに「1カ月に1回でいい」なんて言われると、片付け上手になれそうな気がしませんか?
物を動かす。物を床に置かない
掃除や片付けをしようと思ったとき、まず始めようとするのが「物を減らすこと」ですが、「必ずしもそうとは限らない」と新津さん。
意外にも、新津さんの家は物にあふれているのだとか。それでもきれいな状態を保っているのは、「物を動かす」ことを意識しているからだそうです。
家を汚す大きな原因にホコリやカビがありますが、本書のタイトルのように、1か月に1回、物を動かすだけでもホコリがたまりにくく、カビも発生しにくくなります。
(『1か月に1回物を動かせば家はキレイになる』27ページ)
物が多くても床に置くのはダメ。服や本が多くても積んでおくのはダメ。
デスクが整っていると仕事が気持ちよく進められるのと同じで、「足の踏み場もない状態」はNG。すぐ床に物を置いてしまうのは、部屋が片付いていない人の共通点だったりします。
「物はすべて棚に置く。それだけ守ればOKです」と新津さん。
しかし、それが難しい。よく「物に定位置をつくって、元あった場所に戻せば散らかるわけがない」などと言いますが、片付けられない人にとっては、それができないんですよね。
それならと新津さんが教えるのは、「一時的に物を隠しておける場所をつくるといい」ということ。
押し入れやクローゼット、引き出しなどに空きをつくっておき、物の避難場所をつくれば、何か作業をしたいときや気持ちをすっきりとさせたいとき、急な来客にも、すぐに物を隠すことができます。片付けのハードルを下げてくれる発想ですね。
1カ月に1回でもOK。長く続けられる周期を決めること
片付けを習慣化させるポイントは、「とにかく自分にプレッシャーを与えないこと」だそうです。
一度にすべてやろうとしない。毎日ではなくてもいいし、1日5分でもOK。ただし、「1日1回なのか、1週間に1回なのか、ペースをつくることが大切」だとか。
掃除を習慣化するには、長く続けられるような時間と周期を決めることが一番のポイントです。その時、基準となるのは、自分の毎日の生活スタイルや仕事の量です。
(中略)仕事で疲れて「掃除なんてムリ」という人も、自分の健康のためにホコリぐらいは取りましょう。休みの日や隙間時間などを見つけて、掃除の時間を設定し、よりよい空間をつくっていきましょう。
(『1か月に1回物を動かせば家はキレイになる』87ページ)
掃除のプロで、後進の指導にもあたってきた新津さんの掃除論は、実に寛容。
新津さんは家の掃除や片付けに取り組めるようになってから、仕事や生活においても、スケジュールや段取りをきっちり組んで対応できるようになったとか。
まずは自分のペースで少しずつ、「物を動かす」「床に物を置かない」を意識して、片付けを始めてみませんか? 今からやれば、年末ぐらいまでには掃除や片付けへの苦手意識も薄れているのではないでしょうか。
Source: ポプラ社