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異能の掛け算 新規事業のサイエンス』(井上一鷹 著、NewsPicksパブリッシング)の著者は、自身のことを新規事業家であると自負しているのだそうです。なぜなら新卒で戦略コンサルティングファームに入社して以来、以後は30代後半までの社会人歴のほぼすべての時間を新規事業開発に投じてきたから。

そして、そんな“新規事業一筋”の立場をもとに書かれた本書は、事業の価値創造をするための「異能の掛け算の本」、すなわち「新規事業のチーム論と方法論の本」なのだとか。

異能の掛け算こそが、最前線のビジネスの立ち上げにおいてもっとも汎用性が高く、レバレッジが効く、価値創造のためのスキルだというのですが、それはなにを意味するのでしょうか?

新たな人材は、1人の天才ではなく、チームで創る時代です。そのチームとは、大事にするモノサシも違えば、プロフェッショナルなスキルも違う、Biz(ビジネス)/Tech(テクノロジー)/Creative(クリエイティブ)の“異能”の集まりであるべきです。

異能の人材が、“子供の自由さ”と“大人の教養”をもって、サービスコンセプト・競争戦略・利益創造のデザイン(企画・設計)とプロトタイピング(試作・検証)を繰り返せば、最速で新しい価値を創れます。(「はじめに」より)

なお新規事業とは、無数の選択肢のなかで正解がわかりづらい「不確実性」が支配しているゲームだと著者は述べています。

したがって本書には、そんな新規事業という名の五里霧中の航海をするための“異能のクルー集め”という羅針盤を授けようという意図があるのだそうです。

① 始動する

② 無知の知に至る

③ 確信と確証を得る

(「はじめに」より)

不確実性を下げていく流れには、こうした3段階があるそう。

子どもの自由さを持つ人だけが最初に動き、大人の教養を持つことで無知の知に至り、そのチームが異能の掛け算を経て、事業価値の確信と確証を得ていく、という流れになるということです。

このことをさらに詳しく理解するために、第1章「新規事業の正体」のなかから「異能の掛け算の3つのステップに焦点を合わせてみましょう。

1. 始動する

まず大切なのは、考えすぎずに動き出すこと。野球にたとえるのであれば、打率を上げるために考察するよりも先に、まず打席に立つことが重要だという考え方です。

というのも、多くの会社では打席に立つところまで行っていないことが多く見受けられるというのです。(43ページより)

2. 無知の知に至る

このことに関連し、著者は「スキルと経験と環境のバイアスを外す」ことの必要性を説いています。

まずは「スキルのバイアス」

新サービスをよりよいものにしていくうえでの事業のアイデアや考察は、Biz人材・Tec人材・Creative人材のそれぞれのベースとなるスキルによって、得意・不得意が入り混じっているもの。

すべての事業のコアアイデアは、上記BTCのどこかに偏って始まるものが大半なので、その偏りが最後まで悪影響を及ぼすことがあるもの。そのため新規事業はひとりで創るのではなく、BTCの異能が集まったチームにおいて、お互いの盲点を補完し合うチームであることが重要なのです。

「経験のバイアス」は、これまでの成功や意思決定の癖によって不確実性が見えなくなる現象

既存事業のフェーズにおいて大きな成功体験を持つ人は、当然ながらすぐにその経験を当てはめようとしがちです。したがって、異能がチームに入ることや、お互いに違和感を口にできるチームであることがとても大事。

出自で異なる成功や失敗を経験してきた人たちが集まり、お互いの仮説に対する違和感をしっかり表現しながら仮説を構築していかなければならないのです。

そして「環境のバイアス」

新規事業をデザインするうえでは、環境の変化やそれに伴う顧客課題や求められる価値の変容を意識する必要があります。しかし多くの場合、「昔、その領域は少し考えたことがあるけど、うまくいかないよ」というようにバイアスで決めつけてしまうことが多いもの。それも不確実性が見えていない“無知の知”に至っていない状況の象徴だということです。

したがって、これらを外す必要が出てくるわけですが、ここには大きく以下の2つの重要な視点があるそう。

・新規事業を協創する「BTCチーム」の共通認識と相互理解

――異能のチームで、視点を補完し合う

――互いの能力を最大限発揮するための共通認識/相互理解を持つ

・バリューデザイン・シンタックス

――確信と確証を得るための必要十分なフレームワークを持つ

――その基本思想や背景を理解する

(44ページより)

この両方を満たさない限り、不確実性を下げる素地は絶対に築けないのだと著者は強調しています。(43ページより)

3. 確信と確証を得る

「なにがわからないか」がわかってきたら、次はデザインとプロトタイピングを繰り返していくべき。

不確実な世界を進むのは、床があるかもわからない真っ暗な部屋のなかを歩くような行為。そのため、「そこに床があるか」を確かめることを怠るべきではないということです。

また、変数が多すぎてサービスの全体感を見失ってしまったときには、絶対的ゴールである顧客課題に立ち返り、チーム全員でユーザーへの提供価値に向き合うことが重要。

さらには、失敗しても心配のない投資規模で創れる小さな価値を定義し、デザイン=プロトタイピングを繰り返していく前提で踏み切る機会を持つことも必須のスタンスになるそうです。(44ページより)

著者によれば、新規事業を造れる人とは夢中になれる人。「努力は夢中に勝てない」というのです。つまり、子どものように夢中になれるのであれば、あとは大人の教養を身につけ、異能の仲間を見つけ、一緒に価値創造に夢中になればいいということ。

本書は、こうした考え方に共感できる人に大きく役立ってくれることでしょう。

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Source: NewsPicksパブリッシング