やることがたくさんあることはわかっているのに、なかなかうまく進められないーー。そう感じている方は、決して少なくないはず。
しかし、『「すぐやる人」になる一番かんたんな方法』(藤由達藏 著、ぱる出版)の著者は、それでも大丈夫なのだと述べています。
なぜなら、いま先延ばししていることがあるのだとしたら、それは“先延ばしにできる環境がある”ということだから。そして、すぐやれない自分を後ろめたく思っているということは、その課題の重要性に気づいているということだから。
いいかえれば、まだ巻き返すチャンスがあるということ。そして本書では、それを前提としたうえで、やらなくてはならないことを億劫に感じたり、面倒に感じることを乗り越えるための方法を明らかにしているわけです。
「人生に一切の無駄はない。過ぎたことも未来に活かし、前を向いて、あなたらしい人生を歩んでいただきたい。そうすればいつの間にかすぐやる人になっている」その一心で本書を書きました。
本書があなたの人生を好転させる一助となれば、著者としてこれ以上嬉しいことはございません。(「はじめに」より)
ちなみに著者は、「夢実現応援家®️」を名乗る人物。聞き慣れないポジションですが、ビジネスパーソン、起業家、学生などさまざまな人々の夢の実現を対話によって応援しているのだそうです。
そんな立場に基づいて書かれた本書のなかから、きょうは第5章「すぐにやらなければならないことに着手する方法」に焦点を当ててみたいと思います。
1分間だけ考えてみる
たとえば上司から、「新しい企画、出しといてね。月曜の朝まででいいから」と指示を出されたとしましょう。だとすれば、なにがあっても月曜日の朝には企画を出さなければならないことになります。
だからこそ、前日の深夜に徹夜しなくてはならないような事態になることを避けるためにも、少しでも早めに手をつけておきたいところ。
そこで著者は、“依頼を受けた瞬間に、1分間だけ考えてみる”ことを勧めています。具体的には、「その課題について知っていることを書き出す」ことが重要だというのです。
なんらか、その課題について知っている単語やフレーズを書き出すのです。書き出す内に頭が回転し始めます。一分間だけ書き出しましょう。書き出した紙を見てみると、なんらかのイメージが湧いてくるはずです。(147ページより)
そうしたうえで大切なのは、前日か前々日(この場合であれば土曜か日曜)に企画を考える時間をとること。なお、締め切り当日までにどうしても時間がとれない場合は、締め切りについて上司に相談してみるのもいいとか。
どんなスケジュール感を持っているかを聞けば、自分にとって可能で、先方の納期にも間に合うベストな期限を探り出すことができるからです。(146ページより)
1分間だけアイデアを出す
しかし、もっと状況が緊迫していて、目の前ですぐにアイデアを出さなければならないというケースもあるでしょう。そんなときは、慌てて答えを考えたり、「できません」と言い訳をするのではなく、「かしこまりました。では、いくつか確認させてください」と答え、それから相手の要望をしっかりと聞き出していくべき。
1. 目的…何を求めているのか
2. 課題…現状の課題は何か
3. 解決…解決したいのか。理想的な解決像はどんなものか
4. 納期…どれくらいの期間でできるといいのか
5. 費用…費用はどれくらいかけていいものか
6. 条件…その他の制約条件は何か
(149ページより)
こうしたことを含め、思いつくかぎり、先方の頭のなかにある課題の概要と条件などを聞き出すということ。そして、ひととおり条件が理解できたら、「では1分ほどお時間をいただき、考えてみます」と伝え、1分間、アイデア創出のための「1人ブレインストーミング」をするべき。その際には、次の4条件を守ることが大切だといいます。
【ブレインストーミングの4条件】
1. 質よりも量。どんどん出す
2. 出している途中で否定しない
3. 相乗り・連想・モノマネOK
4. 突飛・大袈裟大歓迎
(150ページより)
ブレインストーミングの基本ともいえそうなこれらは、時間がないときほど大切なポイントだそう。これらを守らないとアイデアが出なかったり、思いつくことが少なくなって、めぼしいアイデアを提案できなくなるからです。(149ページより)
1分間でメールの文面を書いてみる
メールを受け取ったら返信しなければなりませんが、返信すべき内容を考えているうちに考えがまとまらなくなり、「面倒だから、あとにしよう」と後回しにしてしまったりすることがあるもの。
しかしタイミングを逃すと、返信すべきメールも溜まっていってしまいます。そこで大切なのは、深く考えずに、まずは返信文面をつくる訓練をすること。ここでは、それを実現するための「1分でできる練習法」が紹介されています。
1. 届いたメールは、何を求めているか
2. ベストな回答は何か
3. ベストな回答をするためにできることは何か
4. こちらが回答すべきことは何か
(149ページより抜粋)
まず、相手がなにを求めているかを見極め、相手の求めている回答について考える。次に、事前になにかする必要があるか、あるのであれば、なにをすべきかを考える。そして、1.〜3.のプロセスのなかで考えたことを統合し、「どんな回答をすべきか」を箇条書きで書いてみる。そうすれば、それはそのまま返信メールの下書きになるわけです。
こうやって整理ができれば、あとは返事を書くだけ。しかも難しいことを書く必要はなく、シンプルな丁寧語で返事が書ければ、それだけでOKだそうです。(152ページより)
やらなくてはならないことはわかっているのに、なかなか手がつけられない…。そんな悩みを抱えている人に対して、本書は現状を改善するためのヒントを与えてくれるかもしれません。
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Source: ぱる出版