高いパフォーマンスで成果を出す経営者やビジネスリーダーに共通することは、「仕事を面白がる」力の高さ。
この「仕事は冒険だ。——時代を生き抜くキャリアの描き方」特集では、そのような人たちへのインタビューを通して「厳しい時代を楽しく生き抜くキャリアのつくり方」や「冒険のようにワクワクしながら仕事に取り組む方法」をご紹介します。
第2回は、「プロ営業師」とも呼ばれる、株式会社おくりバント会長・高山洋平さん。前編では、真剣に遊ぶことの意義や、毎日飲みに街へ繰り出す理由について語ってくれた高山さん。後編では、高山さん流のコミュニケーション術や、他社と差別化するための視点のほか、マインドをポジティブに変える方法について伺いました。
▼前編はこちら
不快にさせない、ポジティブな言葉に変換。会話の流れも意識して
——高山さんは飲み屋やDJイベントなど、人が集まる場所に行くことが多いと思います。コミュニケーションで気をつけていることはありますか?
よくあるのが、「覚えてますか?」という質問。
「お久しぶりです、私のこと覚えてますか?」って聞かれた時は、たとえ覚えていなくても「あの日以来ずっと会いたかったんですよ。夢が叶いました、今日はありがとうございます」ってお伝えします(笑)。
——ふざけてますよね(笑)。
まあ、うけますよ(笑)。それから、「お名前なんでしたっけ?」って聞くんです。
「木村です」って言われたら、「あ、名字は知ってます。下の名前のほうです」って(笑)。もちろんその逆もできます。これは田中角栄さんがやってた名前を聞き出すメソッドそのままですけど。
——ぶしつけに「誰でしたっけ?」と聞かないのは、相手を不快にさせない、ポジティブな伝え方になりますね。
その面もあります。
あとはDJイベントをやると、僕を見に来てくれる人がいたりするんです。「今日高山さんを見に来ました」って声をかけられたら、「君のためだけにやるからね」って(笑)。これは男性でも女性でも、声をかけてくれる全員に言ってます。

——お笑い芸人のつかみのような(笑)。
軽すぎるので、相手にもされないっていう(笑)。
飲み屋の場合、初めて行ったお店では、マスターが話しかけてくれるまで、ほとんど自分からは話しません。「爪痕を残そう」みたいなしゃしゃりでるようなことは考えない。
もしもその店の常連になりたいなら、3日連続で行ったほうがいいですよ。2日続けていく人は結構いますが、3日連続となるとなかなかいません。お店にも相当インパクトを与えられると思います。それ以降も週に1、2回通っていれば一年後には常連と認識されるようになります。
常連になると、ほかのお客さんとも話したりしますが、別に僕が話を回すわけではありません。マスターがメインで話す時もあれば、ほかの常連さんが話す場合もある。
飲み屋に何時間かいると、そのなかには流れがあることに気づくはずです。その間にやってくる自分の時間を見極めて、流れに乗るのが大切ですね。それが皆と仲良く楽しく話すコツです。
細部にまでセンスを光らせるのが、プロとしての腕の見せ所
——仕事面における人間関係の構築や、仕事の進め方について教えてください。
ほとんどがクリエイターですが、基本的に僕は友だちとしか仕事はしません。つまり、ある程度信頼関係がある人ということ。もちろん、友だちだから値段を安くして…ということはありません。お互いプロなので。
僕らのようなクリエイティブな仕事の場合、価値観が共有されていないと話が進まないことが多い。「この人はこういうのが得意」といった情報を知っていることが重要なんです。
おくりバントは、普通の広告代理店と違って、クライアントさんから言われた通りのものをつくることはありません。だから、クリエイターたちもやりたい仕事ができているのではないかと思います。…本人たちからそう聞いたことはないですけどね(笑)。
——大きな要望のなかで、自由にクリエイティブをつくっていくという感じでしょうか。
クライアントさんのほうも、ある程度僕たちに任せてくれるんです。
「こうしたものがあるから、こんな風にしてください」など、ざっくりと依頼をいただいたうえで、「おくりバントらしいものをお願いします」と依頼されることが多い。だから、そこに合うクリエイターを、どうアサインするか見極めるのが重要ですね。
あとは、うちはロケ弁のセンスが群を抜いていいんで(笑)。
うちは広告費が安いんです、何せ地域最安値を目指していますから(笑)。なので、ロケ弁も、3000円台の高級弁当とかではないのですが、800円台でパフォーマンスがいいものなどを用意したりします。

——そこを売りにしている広告代理店はあまり聞いたことがありませんが…(笑)。
でも、そこにセンスが光ってないとなめられますよね。いつもクリエイティブに対して大きいこと言ってる割にはわかってないよねって。
センスを見せるには、そういった細部にまでこだわることが重要だと思います。お金がないなら、頭を使うしかない。だから自分でいろいろ食べ歩いて探したりもしています。
——そう考えると、前編でもあった通り、生活そのものが仕事に直結しているように感じます。
僕の場合はそうですね。自分が好きなように楽しんで生活していたら、それがたまたま仕事に活きたという事例の1つです。