「レースのタイムを上げたい」「心臓をもう少し丈夫にしたい」など、目的が何であれ、あらゆるランニングプログラムの基盤にあるのは、「ゆっくり、ラクなペースで走る」ことです。
ゆっくり走ることのメリットについては、以前の記事で詳しく説明しています。また、快適なペースを維持するためのコツをまとめた記事もあります。
でも、「ゆっくり走ること」がどうやってもできない時は、どうすればいいのでしょうか?
そうした人も、「ゆっくり走るように」とのアドバイスを信じて、ペースを落とそうと実際に努力してみたことだと思います。
「歩幅を狭くする」「時計を気にするのをやめる」「テンポの速い音楽をやめて、オーディオブックをBGMにする」「景色を楽しむ」といったことが、ゆっくりと走るのに効果的なのはご存じでしょう。
それでも、ついペースが速くなり、数分間走っただけで息が切れてしまうのではないですか? もしこうした悩みを抱えているなら、いくつか追加で頭に入れておくべきことがあります。
速歩きにも、ランニングと同様の効果が
ゆっくり走ることのメリットは、努力に対して最大限の効果が得られる点にあります。心臓や筋肉に多少の負荷がかかる程度にはキツいけれども、疲れてバテることはなく、たくさん運動できる程度にはラク、という絶妙なところにあるからです。
心拍数の「ゾーン」が適切に計測されているなら、だいたい「ゾーン2」に入る運動です。感覚で説明すると、ラクにおしゃべりができて、途中で文章が途切れないくらいのペースです。
ここで、耳寄りな情報をお伝えしましょう。
心拍数をゾーン2に上げてくれる運動であればどんなものでも、このゾーンならではのメリットが得られるのです。たとえば、スピンバイクをこいだり、エリプティカルマシンに乗ったりするのでもかまわないわけです。
そして、屋外で運動をしたいけれど、ジョギングではゾーン2をキープできないという人は、速歩きがその代わりになります。
忘れないでほしいのですが、いわゆる「Couch-to-5K(ソファーから5kmへ:5km走れるようになるための初心者プログラム)」の主張とは裏腹に、ウォーキングは、ランニングの対極にある運動ではありません。
ランニングから若干強度を落としただけで、やっていることは基本的に同じなのです。
ですから、最大心拍数の70%あたりをキープしたいのに、軽くジョギングするだけで心拍数が最大時の80%まで急上昇してしまう場合は、「ジョギング」の一部、あるいはすべての区間を、ウォーキングに差し替えても問題ありません。
ただしこの場合、普段のペースよりは速めに歩くことを心がけましょう。たいていの人にとって、歩きからジョギングに切り替わるスピードは、時速4マイル(約6.4km)。言い換えると、1マイル(約1.6km)を約15分かけて走るペースです。
ですから、ランニングマシンを使う場合は、スピードを時速3.5~4マイル(約5.6~6.4km)にセットして、最大心拍数の70%、つまり、「普通に会話ができるけれども適度な運動になっているレベル」になっているかを確認してください。
ウォーキングの負荷を増す方法としてはほかにも、「上り坂を歩く」「重り入りのベストやバックパックをつけて歩く(「ラッキング」と呼ばれることもあります)」といった手があります。
辛抱強く続ける
時が経つにつれて、有酸素運動に必要な体力がついてくれば、ラクなジョギングが本当に「ラク」に感じられるようになるはずでです。
でも、数週間でそこまで到達できなくても心配は無用です。人によっては数カ月かかることもあるからです。たゆまず努力を続けていれば、いつかきっとそのレベルにたどり着けます。
では、それまでの間、どのような運動をすれば効果的なのでしょうか。適切で問題なく続けられる良い運動の例を、以下にいくつかご紹介しましょう。
ワークアウトをすべてウォーキングに切り替える
実は、TikTokで人気の「12-3-30ワークアウト」(ランニングマシンの傾斜を12%、時速を3マイル[約4.8km]に設定して30分間ウォーキングをするプログラム)がこの目的にぴったりなのですが、今の自分の体力レベルに合った強度に設定を調整することだけは忘れないでください。
ウォーキングとランニングをミックスする
走る本人が魅力を感じているのなら、先述したCouch to 5Kも悪くはありません。でも、自分の感覚に基づいて、ある程度のインターバルで走ったり歩いたりを繰り返すメニューをつくるのも、良い運動になります。
ペースが速くなりすぎても自分を責めない
そういう時は、スローダウンして、少し歩けば良いのです。それでエクササイズが台なしになることはありません。
時には速く走ってみよう!
ゾーン2のペースを守れているかチェックし続けるのは、体力的にはそれほどキツくなくても、かなりの精神的な負担がかかります。時には、脳を休ませ、脚にも走る喜びを与えてあげましょう。
短距離を全力で走るスプリント・インターバルを試したり、スタートからゴールまで、全区間を高速でランニングしたりしてみてください。ただし、毎日こうした走り方をしないということだけは、肝に銘じておきましょう。
運動をはじめた時点では、このリストの最初にあるメニューに従って、ランニングよりもウォーキングを主体にしようと思うかもしれません。でも、どの選択肢も有効です。
どれを選んでも、くじけずに続ければ、ゆっくり走る体力をつけることができ、走っていても本当にラクだなと実感できる日がやってくるはずです。