よく知らない業界・業種の方と仕事で関わることになったとき、その業界についてどうやって事前情報を得ていますか? 例えば以下のようなシチュエーションです。

「社内異動でこれまでと全く異なる業界に携わることになった」

「よく知らない業種の方をインタビューすることになった」

「取引先の担当が〇〇好き。話を合わせたい」

記事を書く仕事をしている筆者にとって、これまで興味が持てなかったり、勉強してこなかったりした業界の方をインタビューする機会が頻繁にあります。

業界に関する基礎知識がないと話ができませんし、何よりずぶの素人のままで会うのは相手に失礼。急いで準備をする必要に迫られるのです。

どうすれば、短時間で基礎知識を身につけることができるのでしょうか。

付け焼き刃の知識は、砂上の楼閣

まずは、やってはいけないことからお伝えします。これをすると失敗してしまいがちなのでご注意ください。

それは、ネットで直近のトレンドやニュースのみを拾い集めて、それだけで相手に話を合わせようとすることです。

たとえば、筆者は日ごろスポーツ観戦をしないのですが、プロスポーツ選手をインタビューして特集記事を書くことになったとします。対象者の基本情報は事前に調べつつ、それに加えてGoogleニュースなどで最新トピックスを仕入れて、いざ取材の現場へ。

最新の話題を出すと、相手からは一時的に信用されるかもしれません。しかし所詮、その場しのぎの知識。会話は長続きはせず、すぐに綻びが出て、「この人は何もわかっていないな」と見抜かれてしまうのです。

つまり、知ったかぶりだな…と。

それを防ぐためには、上っ面だけではない基礎知識を持っておくことが重要です。基礎がしっかりしていれば、わからないことがあったときに相手へ失礼のない質問ができたり、注目すべきポイントで深掘りできたりするのです。

ただ問題は、どうやって基礎知識を身につけるか。特に時間に余裕がない場合は、どうすればいいのでしょうか。

図書館で「子ども向けの本」を読み込む

ヒントは意外なところにありました。

それはアメリカのクイズ番組で高額賞金を獲得するクイズ王、James Holzhauer氏のライフハックです。

クイズ王直伝。幅広い知識を最短で身につける秘訣 | ライフハッカー・ジャパン

クイズ王直伝。幅広い知識を最短で身につける秘訣 | ライフハッカー・ジャパン

上記記事より一部要約します。

クイズ王である私は、知識を得るのに「子ども向けの本を読む」という方法をとっています。

興味のないテーマに関する大人向けの本は、読み進めるのがむずかしい。そこで、子ども向けの本は興味のない読者に興味を持たせるようにつくられている、と気づいたのです。

これを知って、著者は目から鱗が落ちました。子ども向けの本は、平易な文章で書かれているだけでなく、そもそもの前提として「興味がない人にも興味を持ってもらう」という体裁でつくられているというのです。

実際に書店で子ども向けの本を購入したり、図書館で本を読んだりしたところ、確かにほとんど無知の状態であっても興味深く読み進めることができました。図解も豊富ですし、図鑑やマンガで読めるタイプの本もあります。

本を探す際、まずは図書館がおすすめです。子ども向けのコーナーが広く確保されていて、書店ではあまり見かけない本もたくさん並んでいるからです。

書店はどうしても売れ筋の本を優先的に並べる必要があります。一方の図書館は売れるかどうかではなく、網羅的に収集されています。つまり、あらゆるジャンルの本が揃っているのです。

政治・経済・工学・商業・運輸・通信・プログラミング・哲学・心理学・環境・SDGs・防災・生態・美術・祭り・地理・物理・天文学・ヒトの体・マナー・鉄道・スポーツ…。

たとえば先ほどのプロスポーツでは、サッカーについて『Q&A式 しらべるサッカー』(ベースボール・マガジン社)という本を通読しました。

これにより、日本にサッカーを伝えた国、日本でサッカーが早くから盛んになった都市、日本が初めてオリンピックに参加した年、歴史に残る名試合、日本が活躍した大会、有名な選手、競技人口、Jリーガーの報酬など、サッカーに関わる方であれば知っていて当然であろう基礎知識が身につきました。

たった15分で。

もちろん子ども向けの本だけですべてが事足りるわけではありませんが、基本的な情報が頭に入っていることで、他の資料に目を通した際の理解度を高めることができるのです。

身近な人に、それをテーマに話してみる

知識は使うことで、記憶として定着したり、足りない部分に気づけたりします。

時間に余裕があれば、先に読んだ本を話題に、身近な人と話してみましょう。

自分ではわかっているつもりでも、いざ口頭で説明するとなると、曖昧な状態では相手に理解してもらうことはできません。わかりやすく伝えたり、それに関して会話を重ねたりするには、自分自身がしっかりと理解しておく必要があるからです。

身近な人に話すということは、それ自身が自分の理解度を把握するためのテストになります。

本から得た知識を記憶に定着させる3つのコツ | ライフハッカー・ジャパン

本から得た知識を記憶に定着させる3つのコツ | ライフハッカー・ジャパン

昨今、まずはネット検索から情報収集をはじめる人が多いと思います。それ自体は間違いではないと思いますが、その情報を有意義に活かせるかどうかは基礎知識に掛かっているといっても過言ではありません。

子ども向けの本は、15分から1時間ほどで1冊を読むことができます。

たったそれだけの時間で、その業界・業種についての基礎知識を得ることができるのです。ぜひ、図書館の子どもコーナーに足を運んでみてください。