今年の春、法律改正があって国の年金は「可変式」の受取開始ができるようになりました。

標準を65歳としつつ、それより早くもらえば年4.8%ダウン(60歳からもらうとマイナス24%)、66歳以降に遅くもらいはじめると年8.4%年金がアップする(70歳からもらいはじめれば42%アップ、75歳からもらいはじめれば84%アップ)という仕組み。

▼年金受け取りの仕組み

・繰り上げ年金(最大5年受給を早められる:60歳〜)年4.8%ダウン

・標準年金(65歳から受給)

・繰り下げ年金(最大10年受給を遅くできる:75歳〜)年8.4%アップ

早くもらいはじめる年金のことを「繰り上げ年金」、遅くもらう年金のことを「繰り下げ年金」といいます。65歳が標準ですが、早い方は最大で5年(60歳から)、遅い方は最大で10年(75歳から)まで選択の余地があります。

早くもらえればたくさんもらえるようですが、減った年金額が一生固定されるので、平均より長生きすれば損をすることになります。

遅くもらえば何年か年金ゼロの期間が生じて損をするようですが、平均寿命くらいの長生きをすればトントンになるよう調整されていて、それよりも長生きをする人はいつまでも増額された年金をもらうことができ大きな得をします

何年長生きをするかは人生わかりません。しかし、本当に人生100年時代がやってくると思うなら、基本的には繰り下げをしたほうがお得ですし安心です(特に男性より長生きする可能性が高い女性は繰り下げを考えたい)。

繰り上げと、繰り下げどっちがお得か?「安心料」で考える

Image: Getty Images
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よく、年金の損得を言う人が「60歳から早くもらったほうがいい」と述べますが、国の年金のことは信じられない人(でももらえるものはもらいたい)、60歳以降無職で手元の資産もほとんどない人、長生きできないことがすでにわかっている人は、65歳より早く受けはじめてもいいでしょう。

しかし、「安心料」として考えると繰り下げには大きなメリットがあります。

老後の大きな不安の1つは「長生きをした時、お金の問題をどうするか」です。手元の預金通帳の残高を65歳時点で確認した時「平均寿命に照らして25年でゼロになるよう少しずつ取り崩そう」とは考えられません。

残高ゼロになるのは恐怖ですから、取り崩しはできるだけ控えて暮らします。それでも100歳まで長生きをすれば残高ゼロもありえます。長生きがむしろ恐怖でもあるわけです。

国の年金は「一生続く約束」=安心の定期収入源

一方で国の年金は「安心の定期収入源」です。銀行の残高がゼロになろうと2カ月に一度、ふた月分を国が振り込んでくれます。これは一生涯続く約束なので、90歳でも100歳でも120歳でも支給が続きます。

「あなたの納めた保険料分の年金は払い終えたので、今月でおしまいね」のようなことはありません。よく損得論が話題となりますが、長生きをした人はどんな世代であっても得をすることになります。

昔から国の年金は破たんすると言われていますが、一向に破たんする気配はありません。年金積立金はむしろ上積みし世界トップクラスです(じつはヨーロッパの先進国も積立金は数カ月分くらいしかもっていないことが多い)。

少子化・長寿化・経済成長鈍化などを織り込んだ数十年先のシミュレーションも行なっていますが、最悪のケースであっても破たんするというデータはないのです。

だとすれば、70歳まで国の年金支給をガマンできれば一生42%アップ、75歳までガマンできれば一生84%アップというのは資産運用としても確実に手に入るリターンであり、悪くない話です。

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問題は「66歳以降まで」どうやりくりするか
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