手帳の書き込みやメモ取りなどの日常筆記用として、消せるボールペンことフリクションボールを愛用している人は多いでしょう。
「ボールペンなのに消して書き直すことができる」という特性はほかにあまり替えの効かないレアな機能であり、一度慣れてしまうとほかのペンが使えない! というのはわかります(筆者もそうです)。
一方、フリクションには「発色が薄い」「すぐにインキがなくなる」といったネガティブ要素があるのも事実。
今までは「でも消せるから、そこは我慢するしかないかな」と諦めてきたわけですが…。
実は新たに発売されたシリーズ最新アイテムは、フリクションなのにくっきり濃く書けてインキたっぷり、というウワサが。
果たして本当なのか? を試してみました。
新世代フリクションは確かに濃くてインキ長持ち!
その最新フリクションというのが、この11月に発売されたばかりのパイロット『フリクションボールノックゾーン』(以下、ノックゾーン)です。
ラインナップは、マーブル調グリップの最上位モデル(3000円)・ウッドグリップの上位モデル(2000円)・ラバーグリップモデル(500円) となっています(価格はすべて税別)。
違いは主にグリップ周辺のみで機能的には共通していますが、今回は一番売れ筋となるであろうラバーグリップモデルを中心に解説しましょう。ボール径は0.5mmと0.7mmが選べます。

まず従来のフリクションボールとの最大の違いとなるのが、消せるのにくっきりと濃い“プレミアムフリクションインキ”の搭載と、それを格納している金属製の“Ver.2 レフィル”です。
発色に関しては、これまでと比べてみれば一目瞭然! メーカー公称で黒の濃さ30%アップとのことですが、それも納得できます。

「そもそもこれまでが薄すぎた」「ようやくこれで普通のペン程度だ」などの意見もあるでしょうが、そもそも消せるインキとしてこの濃さはかなり驚きのレベルだと思います。
少なくとも、これまで発色の薄さでフリクションを忌避していた人たちは、改めてこのプレミアムなインキを試してみるべきだと思います。それぐらいの衝撃はありました。

Ver.2 レフィルは、これまで樹脂製だったレフィル(中芯)を金属化し、パイプ外壁を薄くすることでインク容量を70%アップ。つまり単純に考えてこれまでの1.7倍書けるようになったということに。
従来のフリクションユーザーは、インキ切れに備えて替えレフィルをペンケースに持ち歩かないと不安ということもあったかと思いますが、“Ver.2 レフィル”であればそもそも交換頻度も減らせます。
これもなかなかインパクトのある進化ではないでしょうか。

ただし、レフィル価格は1本あたり120円→250円と2倍以上になってしまっているため、コスパが下がってしまったのは残念なところ。
また、金属レフィルの重量感によって、ラバーグリップモデルはややリアヘビーな握り心地になっているのも気になりました(上位モデル以上はグリップまわりが重いため、バランスは程よく取れています)。
ブレずに書けてノック音も静かに!
ノックゾーンには、さらに魅力的な機能が搭載されています。
それが、ノック音を軽減する“ノイズカットノック”機構と、ペン先の微細なブレを抑制する“チップホールドシステム”と呼ばれるもの。
ノイズカットノックは、軸内のノックパーツに小さなバネを内蔵し、ノックの衝撃を吸収する仕組み。これによってノックの高音域を大きくカットする効果があります。

従来のフリクションボールノックはノック音がかなり大きく響くんですが、それと比較するとノイズカットノックは誰が聞いてもわかるぐらいマイルドに。
もちろんノック音ゼロというほどではありませんが、くぐもった感じになる分、かなり大人しい印象に聞こえるでしょう。

チップホールドシステムによるブレ抑制は、ノック式ボールペンの構造上どうしても避けがたいペン先のブレを、口金内部のチップホルダーというパーツで抑え込むというもの。
ちょこちょこっと数秒書くぐらいだと分かりづらいですが、たとえば30分ほど継続して板書を続けるなどした時には、ペン先の安定感が手の疲労を軽減してくれているのが体感できると思います。
また、手帳などに細かい字を書く際にも、ブレずにピタッと狙った場所から書き出せる快適さは感じられるはず。

発売前には「フリクション 3.0」というコードネームで話題となっていたノックゾーンですが、フタを開けてみれば、確かに新世代と呼ぶに相応しい機能てんこ盛りペンでした。
少なくとも、フリクションボールを日常的に使っているというユーザーなら、新たにノックゾーンへ切り替える価値は充分にありそう。
あわせて、フリクションは発色が悪いからイヤだ! と言っていた人も、ぜひ一度はお試しを。ちょっとフリクションの印象変わるかもですよ。