表計算をするならExcelを使うけど、精算する経費の合計額を知りたいとか、大まかな見積もりなどのちょっとした計算なら、従来の電卓のほうが便利です。
なにより、ボタンを押してすぐ計算がはじめられる手っ取り早さや、高速ブラインドタッチも可能な入力のしやすさなどの快適性は、スマホの計算アプリなどでは代替不能。
電卓はまだまだ仕事用ツールとしては欠かせないものだと思います。
…なんですが、電卓をこだわって選んでいる人は、意外と多くありません。
ただ計算するだけなら100均の製品でも充分ですが、とはいえ先にも述べたように、入力しやすさは電卓における重要機能の1つ。
そこに注目して選ぶことで、仕事の効率も変わってくるんです。
入力しやすさにこだわった3度の傾きがポイントです
電卓の入力効率は、キースイッチの精度やキーロールオーバー機能(先に押し込んだキーから指が離れないうちに次のキーを押しても認識する、早打ちに必至機能)など、こだわりだすと相当に奥深い世界です。

そんななかでも、10月末に発売されたばかりのカシオの人間工学電卓『JE-12D-BK』(写真左:ジャストタイプ)と『DE-12D-WE』(写真右:デスクタイプ)は、その形状から入力のしやすさにアプローチした画期的な製品です。
ただ、真正面からだと、さほど特異な形をしているようには見えません。ですが横から見ると、なんとキーが並んだ盤面ごと右へ傾いているのがわかるはず。

右手で電卓を入力する場合、手は自然と外側に傾いています。そのため、従来の電卓で盤面左側のキーを押し込むには、手首を内側にひねるか、人差し指を伸ばすようにして押す必要がありました。
対して、キーが3度の傾斜で階段状に配置された「人間工学階段キー」の場合は、手が外側に傾いた状態にフィットするため、手の動きに無理がありません。

とはいっても実際に使ってみると、「手の動きに無理がない」などと感じることはほぼありません。逆にキーの傾きを実感することもなく、どこまでもナチュラルにタタタッと入力できるよう感じました。
つまり、それだけ手の動きに無理がなく、真に自然な姿勢で打鍵できているんだろうな、という印象です。

ちなみに開発にあたっては、手指の動きや姿勢、キーの押し込み方向、筋活動量といった人が電卓を操作する際の状態を、モーションキャプチャーによって解析。
盤面の傾きも0度~9度まで検証を行ない、入力しやすさと違和感のなさで最適解とされたのが3度だった、ということです。
単に傾いてるだけじゃない、ハイクオリティ電卓
優秀なのは、傾きだけじゃありません。電卓としてのクオリティもかなり高めなんです。

たとえばキーロールオーバーは、次の次のキーまで認識する3キーロールオーバー。これは、公認会計士など電卓を使うプロの道具としても充分なクラスです。
また、キートップの表示は印刷ではなく2色成形でつくられているので、打鍵しすぎですり減っても数字が消えない仕様となっています。

ソーラーと内蔵電池の2WAY方式で、計算中に光が遮られても計算内容を保護してくれるなど、細かな部分で満足のいくクオリティ。
価格としてはジャストタイプでも税込1万円(公式オンラインストア)ちょっとと、ややお高めに感じられるかも知れません。
ですが、数千~1万円台の高級電卓としての機能がきちんと詰め込まれているので、決して割高ということはないと思います。
むしろ、ほかにない3度傾斜の人間工学階段キーという特殊機能を備えているわけですから、お買い得かも?
良い計算機を探しているなら、まず候補に入れてもよい製品でしょう。
ただ、右手専用機なので、左手で電卓入力+右手でペン筆記という使い方は難しいです。そこだけはご注意を。
Source: CASIO (1, 2), Amazon.co.jp