誰かに助けを求めたり、誰かからの助けを受け入れることを考えると、複雑な気持ちになることもあります。
「困窮している」とか「弱っている」と思われるのではないかと不安になったり、弱みを見せることで緊張したり、「助けてもらって当然だ」と思っているように相手から見えるのではないかと心配になったり…。
たしかに、他人の助けを受け入れることは難しいかもしれませんが、しかし他人を助けることも、他人から助けられることも、生きていくうえで必要なのです。
どんな人も助けが必要です。
私たちは他者を必要としているのです。
結婚・家族セラピストの資格を持つDan Neuharthさんは、そう語ります。
幼少期のトラウマが原因で助けを求められないことがある
多くの人にとって、助けを求めたり、援助を受けたりすることが難しいのは、幼少期と関係があります。
幼少期に自分のニーズや望みを押し殺していると、それを口に出して伝えることが難しくなります。
臨床心理学者のLisa Firestoneさんが、こう指摘しているように、こうした感情は、多くの場合、幼少期に自分の要求が気づかれなかったことから生じています。
このように子どもの要求が気づかれないでいるのは、ネグレクトの副産物であったり、親があまりにも忙しすぎることが原因です。
「両親が家計を支えるために複数の仕事を掛け持ちしていた」とか、「家族から特別な援助を受けていなかった」など、原因は何であれ、自分の要求が気づかれないまま育つと、誰かに助けを求めたり助けてもらうことは恥ずかしいという感情が生まれ、過剰な自立心がつくられてしまいます。
さらに、Neuharthさんが指摘しているように、援助に何らかの条件や制限が伴う状況で成長すると、他人からの援助を受け入れることに嫌悪感を抱くこともあります。
助けを受け入れることができる人間になるには
助けを受け入れられるようになる方法の1つは、道を尋ねるなど、相手にあまり負担にならない助けを求めることからはじめることです。
小さなことからはじめて、それを習慣にしましょう
そうFirestoneさんは言います。
穏やかな環境でこれを実践すれば、助けを求めたことで生じる重苦しい感情を和らげることができます。
Neuharthさんは、誰かが助けの手を差し伸べてきたとき、自分の内面の反応に耳を傾けることもすすめています。
自分の心に耳を傾けて、自動的にどのような反応をするか観察しましょう。歓迎しますか。不快に感じますか。自動的にノーと言いますか。
もし反射的に、「いや、自分で何とかできる」と思ったり、ひどく不快に感じたりするようなら、その感情が落ち着くまで少し待ってから、差し出された助けを受け入れるか拒否するか決めましょう。
人を助けると気分が良くなる
助けを求めるのは難しいことです。
しかし、自分が他人を助けるとどんな気分になるか考えて、他人が自分を助けてくれるときも同じように感じるはずだと思えば、少しだけ気が楽になるはずです。
助けを求めることを負担に感じるかもしれませんが、それは相手への贈り物であり、相手が寛大になる機会を与えることでもあります。
そうFirestoneさんは言います。
寛大になるのは気持ちが良いものです。自分は他人に寛大になることでその感情を経験済なのに、どうして自分を助けてくれる人も同じように気分が良くなると思えないのでしょうか。
Source: Dan Neuharth PhD MFT, Lisa Firestone PhD