ライフハッカー・ジャパンのトークイベント「BOOK LAB TALK」。第21回目のゲストは、『超効率耳勉強法』の著者・上田渉(うえだ・わたる)さんです。

ユーキャン新語・流行語大賞に「オーディオブック」がノミネートされるなど、音声メディアが大きく花開いた2022年。

上田さんは、今から18年前に「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンクを創業し、会員数250万人を超える日本最大級のオーディオブックプラットフォームに育て上げた第一人者として知られています。

「いつでもどこでも耳で楽しめる時代」に適した勉強法

偏差値30だった高校生時代、独自の「耳勉強法」を駆使して東大に合格した経験をもつ上田さん。

2009年刊行の自著『脳が良くなる耳勉強法』から十数年がたった今、オーディオブックやPodcast等の音声メディア、音声SNSは目覚ましい成長を遂げました。

「当時オーディオブックやPodcastを使っている人は数万人程度でしたが、時代は変わりました。

視聴デバイスや通信速度が進化し、コンテンツが充実したことで、今は“いつでもどこでも耳読書を楽しめる時代”になった。

そこで、エビデンスやノウハウをアップデートし、改めて今の時代にあった耳勉強本を出したいと思ったんです」(上田さん、以下同)

上田さんが「耳勉強法」に目覚めたのは、東大受験を決意し過去問題集を購入したところ、現代文の問題が“読めなかった”ことがきっかけだそう。

「本好きを自認していたので、ショックでしたね。

それで、わからない言葉を辞書で調べてふりがなを振って、とにかく音読してみたら、ちょっと理解できた気がしたんです。

『1回でこれなら、100回読んだらどうなるんだろう?』と思ってやってみると、今度はまあまあ理解できた気に。

それに味を占めて、自分には音読が向いているのかもしれないぞと。英語も社会も数学も、教科書から問題までぜんぶ音読することにしたんです」

とはいえ、膨大なテキストをすべて音読すると、声が枯れてしまいます。

そこで上田さんが編み出したのが、頭の中で音読をすること、名付けて「黙音読(もくおんどく)」。

ひとつひとつの音を頭の中で響かせるイメージで黙読することで、負荷は少なく、しかもより深い理解力で、本の内容を取り込めるようになったと説明します。

脳疲労を防ぎ、思考力を高める「耳勉強法」の効果

耳・聴覚を使った学習は、トレーニングしやすいというメリットがある、と上田さん。

「速読は訓練しないとできませんが、オーディオブックは慣れれば倍速、3倍でも余裕で聴き取れるようになります。

日常生活でも早口の人はいますが、大抵は聞き取れるでしょう? 人間にとっては読むことよりも聴くことのほうが簡単なんです

加えて、「読むより聴くほうが脳に負担をかけない」ことは脳科学でも証明されていると上田さんは続けます。

私たちは文字を学ぶ以前の子どものころから、言葉を学び、話すことができます。人間にとっては「はじめに音声ありき」で、文字はあとから学ぶもの。

脳もそのプロセスに従っており、文字を目で見て、頭の中で音声に変換し、それを言語として理解しているというのです。

「その証拠に、無音の環境でリーディングをしている時の脳の状態を調べると、文字を音声に変換する“聴覚野”が動いています。

読むことと比べると、オーディオブックは“文字を目で見る”プロセスが抜けた分だけ脳にかかる負担が小さくなるので、脳が疲れにくい

“ながら聴き”ができたり、スキマ時間でも取り入れやすかったりするのは、そのためです」

さらに、リスニングはリーディングよりも脳機能を強化することも実証されています

リスニングを意識して行なえば、まず「国語力(言語能力)」が強化され、それに伴って国語力に依存する「思考力」も上がるのだそう。

これまで私たちがあまりフォーカスしてこなかった、「耳で学ぶ」ことの有効性がよくわかります。

トップリーダーがすすめる「耳勉強法」実践メソッド 

耳勉強法はどんな人におすすめ?

それでは、「耳勉強法」はどんな人に向いているのでしょうか?

上田さんによれば、車の運転やランニング、家事をする時間が多いなど、“手を動かしているけど耳が暇”な時間がある人。

「誰しもが、1日に必ず数時間はあるはず。

私の場合、出張など移動が多い時は8時間ほどあるし、少ない時でも約3時間はあります。3時間もあれば、倍速で聴けば1日1~2冊のビジネス書は読了可能でしょう」

今はトレーニングの成果で、3倍速でないと物足りないという上田さん。片耳でオーディオブックを聴きながら、片耳で家族の話を聴いて会話する、なんてことも多いのだそう。

耳勉強に適した本のジャンルは?

「耳勉強法」に向いている本のジャンルについては、端的に言えるのは図表が少ないもの

大抵の本は図表を補足的に用いるため、音声のみでも特に支障はありませんが、統計の本など図表を見ながら思考を深めるタイプの本や、絵本などは不向きです。

また、ノウハウなど必要なところをパッと開いて読みたい本よりも、「0から100まで全部読まないといけない本」が向いているのだとか。

自分にとって馴染みがないジャンルを通読したい時や、読む前に心が折れそうな分厚い大著などはぴったりです。

「たとえば『影響力の武器』という400ページくらいの名著がありますが、分厚くて鞄に入れて持ち歩くのも大変なほどです。

でもオーディオブックなら、スマホ1つあればよく、倍速で聴けば7時間分ほどになるので1週間分の通勤時間で聴ける。新書なら4~5時間くらいですね」

最適な音環境をデザインする「聴覚マネジメント」も意識して

お話を伺ううちに、上田さんのような「耳勉強法」の達人は、聴覚マネジメントの達人であることもわかってきました。

言葉を音にしながら考えているため、思考を深めたい時は邪魔にならないクラシック音楽を。さらに集中したい時は、音声を遮断し無音に近い状態をつくり出すヘッドホンを愛用しているとのこと。

その時の活動に最適な音環境をデザインすることは、「耳勉強法」を取り入れるうえで重要なポイントになりそうです。

セッションの最後、「耳勉強法とは?」という問いに対して、上田さんは「(脳の)筋トレ」と回答。

「一度身につければ一生使える技術になる。

筋トレがあらゆるスポーツの基礎となるように、『耳勉強法』も思考力などすべてを育てる源泉になるんです」

受験や資格勉強から、大人の学び直しまで幅広く使えるスタディメソッド「耳勉強法」に、ぜひチャレンジしてみてください。

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次回のBOOK LAB TALK

12月6日(火)19:00より、『異能の掛け算 新規事業のサイエンス』の著者・井上一鷹さんをお招きします。

集中力を可視化するメガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズミーム)」や、深い集中を促す会員制ソロワーキングスペース「Think Lab(シンクラボ)」など数々の新規事業開発を手掛けてきた井上さん。

現在は株式会社Sun Asterisk(サンアスタリスク)のBusiness Development Unit Managerとして、多様な企業の新規事業やプロダクトを支援されています。

自身の新規事業開発に関する経験談をウェブ媒体やTVなど数々の場で語るなかで気づいたことは、事業開発について語られる内容には「精神論」が多く、「サイエンスできる部分」がなおざりにされているという現実。

新規事業に不可欠なのは『チーム』と『方法』の両論である」と語る井上さんに、変数と未知なことが多い新規事業の成功確度を上げる「サイエンス」について、チーム論と方法論の2つの軸で語っていただきます。

新規事業開発に携わる方はもちろん、実現したいビジネスやアイデアがある方も必見です。

皆さまのご参加、お待ちしております!

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Source: audiobook.jp(1, 2), BOOK LAB TOKYO, JINS MEME, Think Lab, SunAsterisk, Peatix