毎日コーヒーを2~3杯飲む人のほうが、まったく飲まない人と比べて長生きするという研究結果が、最近になってニュースを賑わせています。

では、私たちはみんな、健康のために2~3杯のコーヒーを飲むべきなのでしょうか? 

そうとは言い切れません。まずは、この数字の出所を検証してみましょう。

長生きするためのコーヒーの適量は1日2~3杯?

話題になっている最近の研究結果は、UK Biobankのデータを根拠としています。

研究対象となった回答者の平均年齢は58歳で、女性が半分強を占めています。また、回答者の約95%は白人です。研究チームは、コーヒーを飲む量についての質問に回答した人たちについて、平均で12年間にわたり、その後の経過を追跡調査しました。

あらゆる死因で亡くなった人を対象に検証したところ、1日2~3杯のコーヒーを飲む人が、最も死亡リスクが低いことが判明しました。この傾向は、挽いた豆で淹れたもの、インスタント、デカフェなど、飲んでいたコーヒーの種類を問わず認められました。

心臓血管系の疾病では、1日1杯コーヒーを飲んでいる人のリスクが最も低くなりましたが、不整脈(心臓が脈を打つリズムが不規則になる症状)に関しては、1日4~5杯が一番効果的なようです。また、不整脈に関しては、デカフェのコーヒーではリスクの減少が認められませんでした。

しかし、毎日どれだけのコーヒーを飲むべきかの目安とするには、この研究結果は大きな限界があります。研究対象となったのは中年のイギリス人であり、世界に住むそれ以外の属性を持つ人たちの代表としては適切ではない可能性があります。

また、コーヒーを飲む量を調査対象者が自由に決められるかというと、そうとは言えません。

収入や社会での階層、健康リスクへの懸念などの要因が、影響を与えているはずです(それに、イギリス人はインスタントコーヒーやエスプレッソを多く飲む傾向があることが知られています)。

さらに、研究チームは回答者の自己申告によるデータをそのまま受け入れていますし、飲む量をたびたび見直すのではなく、長年同じ量のコーヒーを飲み続けていると仮定しています。

症状によっては3~4杯が適量のケースも

BMJに掲載された別のレビュー論文では、コーヒーに関する数百件の先行研究を検証し、卒中を含む心臓血管系の疾病、一部のがん、一部の肝臓及び胃腸の疾病に関しては、コーヒーを飲む習慣がある人のほうが罹患のリスクが低いと結論づけました。

リスク軽減と関連付けられるコーヒーの摂取量は、多くのケースで、1日あたり4~5杯でした。

ただし、この分析レポートの著者は、これらの結果を理由にわざわざコーヒーを飲みはじめるべきではないと釘を刺しています。その上で、すでにコーヒーを飲む習慣があるのなら、「健康的な食生活の一部となりうる」との見解を示しています。

コーヒーによる影響を特定するのが難しい理由の1つとして、コーヒーに含まれる生物活性物質が数百種類にのぼり、カフェインはその1つにすぎない点が挙げられます。また、使用する豆や淹れ方によって、化学的プロフィールが変わってくる可能性があります。

さらに、コーヒーによる影響を特定するのが難しいもうひとつの理由は、これまで取り上げてきた研究が調査対象者を、コーヒーを飲む人とそうでない人に、ランダムに割り当てているわけではないことです。

これらの研究は、対象者がどれだけ量のコーヒーを「すでに」飲んでいるかを調べているだけなのです。

たとえば、お医者さんから血圧対策としてカフェイン摂取を控えるよう言い渡された場合には、この研究では「コーヒーを飲まない人」として分類されます。つまり、「コーヒーを飲まない」とされた人は、たくさん飲む人とは異なる健康上のリスクをもともと抱えているのかもしれません。

そしてこうしたことは、必ずしもこの研究に反映されているわけではないのです。

「観察された関連性に因果関係がある(すなわち、コーヒーが原因となっている)か否かを特定するには、信頼に足る無作為化比較試験が必要とされる」と、研究論文の著者たちは結論づけています。

飲み過ぎのリスクを考えると、4杯以下が無難

米国栄養ガイドラインは、妊娠していない成人のコーヒー摂取量に関して、以下のような基準しか示していません。

「FDA(米食品医薬局)は、健康な成人に関して、一般的に危険なマイナス効果が出ないカフェインの摂取量は1日あたり400ミリグラムと示しています」(妊婦の場合、推奨される上限は200ミリグラムとされています)

言い換えるなら、コーヒーの健康効果は、誰もが毎日飲むように保健当局が勧めるほど大きなものではない、ということです。また逆に、摂取量に厳格な上限を設けるほど、危険な飲み物ではないとも言えます。

そんなわけで、ガイドラインでは、基本的に問題はないとされる摂取量を挙げているのです(本当の意味で大量のカフェインを摂ることは、おそらく体に害があるでしょう。ここで挙げられているのは、当局が「大量ではない」と、相当の自信を持って言えるレベルの量です)。

甘いコーヒーには要注意

最後に、読者のみなさんがコーヒーをオーダーする前にお伝えしておきたいことが1つあります。

上に挙げた栄養ガイドラインでは、甘いコーヒー飲料は、食生活における「添加糖類」の主な摂取源だと指摘しています。そして、こうした添加糖類から摂取されるカロリーは、総カロリーの10%未満、だいたい50グラムに抑えるべきだとされています。

Source: Academic, Research Gate, Cofee Affection, BMJ, Dietaryguidelines, FDA