年齢や見た目に関係なく、対等に仕事ができる
——働き方が変化しているという意味では、さわえさんのHIKKYはかなり自由なワークスタイルをとっていると思います。そのなかで実践されていることはなにかありますか?
さわえ:私たちは、そもそも会社を作ろうと思って作ったわけじゃないんです。2017年に初めてVRの空間に入って「おもしろい!」と思って、そこに魅力を感じたメンバーとチームを作っていきました。
その中で、「デジタル空間に経済圏を作ろう!」とバーチャルマーケットを企画し、さらに人が集まってきた。「これをしたらおもしろくない? あれを作ったら楽しそう!」そういう話題が本当にみんな好きで、自然にそこへ集まってきて動いているチームという感じですね。

お互いの年齢もよく知らないことが多くて、この間チームの中でバリバリ働いている子と話をしていたら、「最近、19歳になったんですよ」と言っていてビックリしたことがあります。そんなに若いなんて、全然気づいてなかったので。
年齢も性別も関係なく対等に実力を発揮できるのは、メタバースならではだなと思っています。やっぱり人間としての見た目があると、年功序列を感じちゃうじゃないですか。
そういう遠慮がなく、インプットとクリエイティブを平等にぶつけ合えて、新しいビジネスが生まれていくのはすごく素敵だし、楽しいなと思っています。
——働く文化の違いという意味では、楢崎さんが以前いらしたシリコンバレーも、日本社会とは違うものがあったのではと思います。
楢崎:そうですね。大した意味もない発言でも、スーツでビシっと決めたおじさんが言うと重く聞こえたりしますが、シリコンバレーはみんなTシャツで仕事をしているので、それがありません。
だから、おじさんも頑張らないとついていけなくなる。今のアバターでのコミュニケーションの話には、それに近いものを感じます。
さわえ:ファッションに関して言うと、リアルな姿に引っ張られることなく好きな格好ができるのもいいところですよね。(アバターを変えて)ちなみにこの衣装は1,000円で購入しました!(下写真) とても可愛いと好評です(笑)。

現実世界だと、せっかくおしゃれをしても、スラッとしたモデルさんみたいな人がたくさん集まる場所に出かけるのは気が引けるし、萎縮しちゃいますよね。でも、アバターなら全然関係なく、現実の姿にコンプレックスがある人でも好きな姿で人に会える。
現実世界にコンプレックスを持っていても、すごいものを作る人たちってメチャクチャたくさんいるんですよ。
たとえば、外見がすごくきれいでちょっと料理ができる人と、コンプレックスを持っているけれど料理がものすごく上手な人がいたとして、それぞれが料理を作ってプレゼンをしたとしても、どうしても料理以外の部分が影響してくると思うんですよね。
アバターは、それが一切なくなるのがすごいところで、クリエイティブを本当にフラットに見られるようになることに、ものすごく価値を感じています。
明日公開の後編では、新たな可能性を生み出す「人格のマルチバース化」や、メタバースでの身体的なコミュニケーションなど、より踏み込んだ話題について議論していきます。
メタバースを実現・活用するあらゆるサービス・技術が出展する展示会「第1回 メタバース総合展」開催!
2022年10月26日(水)から10月28日(金)までの3日間、幕張メッセにて開催される「第1回 メタバース総合展」に、RX Japan株式会社(旧社名:リード エグジビションジャパン)の後援団体として一般社団法人Metaverse Japanが参加。3つのセッションに登壇します。
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宮田 裕章(みやた・ひろあき)

慶応義塾大学 医学部教授。1978年生まれ。2003 年東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程修了。同分野保健学博士(論文)。早稲田大学人間科学学術院助手、東京大学大学院医学系研究科 医療品質評価学講座助教を経て、2009 年 4 月東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座 准教授、2014 年 4 月同教授(2015 年 5 月より非常勤)、2015 年 5 月より慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室 教授、2020 年 12 月より大阪大学医学部 招へい教授。
さわえみか

株式会社HIKKY COO & CQO。広告・スマホゲームのアートディレクターをへたのち、2017年末からメタバース空間での活動を開始。 2018年から、メタバースに身を置くメンバーとともに株式会社HIKKYの立ち上げに携わり、 「バーチャルマーケット」など、デジタル空間での活動の体験・文化を作ることに尽力。 仮想空間での自由なクリエイティブをサポートするメタバースエンジン「VketCloud」を開発中。 プラットフォームを超え、誰もがいろんなバースに自由に行き来できる未来を目指す。 2児の母であり、娘は母の使うアバターも母として認識している。
楢崎 浩一(ならさき・こういち)

SOMPOホールディングス株式会社 デジタル事業オーナー 執行役専務。1981年、三菱商事(株)入社。情報通信・デジタル分野のビジネスを数多く立ち上げ、米シリコンバレーに駐在。現地で5社のソフトウェアスタートアップで経営に携わる。2016年、SOMPOホールディングス(株)入社しグループCDO 執行役員就任、2019年 Palantir Technologies Japan(株)代表取締役CEO就任。2021年4月 デジタル事業最高責任者、7月SOMPO Light Vortex株式会社 CEO就任。
馬渕邦美(まぶち・くによし)

一般社団法人Metaverse Japan 代表理事、PwC コンサルティング合同会社 パートナー 執行役員
米国のエージェンシー勤務を経て、デジタルエージェンシーのスタートアップを起業、代表取締役社長に就任。事業を拡大しバイアウトした後、米国のメガ・エージェンシーグループの日本代表に転身、4社のCEOを歴任し、デジタルマーケティング業界で20年に及ぶトップマネジメントを経験。2018年にフェイスブック ジャパン執行役員ディレクター就任。PwCコンサルティング合同会社のパートナー 執行役員として日本企業のデジタルトランスフォーメーションを実現させている。
Source: バーチャルマーケット