この世は仏教でいうところの「四苦八苦」に満ちあふれています。

特に2020年以降のコロナ禍は不自由、分断、喪失の波にさらわれて、多くの人がパニック状態、カオス状態になりました。

自分の過去に前例がないので「こんなはずじゃなかった」とつぶやくしかありません。

誰にも文句を言えない世界を思い知らされました。(「はじめに」より)

しなやかに生きる人の習慣 何があっても立ち直る50の秘訣』(松尾一也 著、ディスカヴァー携書)の冒頭にはこう書かれています。

けれども実際のところ、「苦しい」「悲しい」「つらい」と口に出せている間は、まだいいのかもしれません。そんなことすら思うことができず、茫然自失になるしかないケースもままあるのですから。

しかしそれでも、人は生きていかなければなりません。命と生活を守る必要があるのです。誰もがそれをわかっているからこそ、「これがダメなら、次はこうやってみよう」というように、常に立ちなおりを目指すのでしょう。

そこで「立ちなおるトレーニングの専門家」を自称する著者は本書において、さまざまな事例を盛り込みながら、「なにがあっても立ちなおるための方法」をまとめているのです。

きょうは第2章「人生の負荷に立ち向かう」に焦点を当て、いくつかのトピックスを抜き出してみたいと思います。

すべて自分のせいと思ってみる

著者によれば、立ちなおるための力業は「すべて自分のせい」と思いを定めることなのだそうです。

ただし、なにか大きな事件が起きたとき、人は本能的に“犯人捜し”をしてしまうものでもあります。「あいつのせいで大迷惑! あいつさえいなければ」というように。

しかしながら、時間とともに去来する言葉は

「それも自分が蒔いたタネ」

なにごとも自業自得なのです。

そんな人と出逢ったのも自分の責任。

そんな人と人間関係を続けたのも自分の責任。

そのような状況になってしまったのも自分の責任。

(65〜66ページより)

こういったことを人から指摘されたら、カチンときてしまうかもしれません。しかし、自分自身でこの考えに至るも、どこかで安堵できたりもするものです。そして、このように“自分原因論”に立ち返ることのできる人は、次の一手に進むことができるというのです。

いつまでも他責を訴えていても、埒が明かないことばかりです。

結局は「納得する」と次の行動が生まれます。

世の中は理不尽なことであふれていますが、すべて自分が源ととらえると収まりがつきます。言いたいこともたくさんありましょうが、誰も裁いてくれないのであればスッキリと「もとはといえば自分の責任!」とサバサバして立ち直ることです。(66〜67ページより)

次いで大切なのは、「納得したら、自分のことはもう責めない」と決めることだそう。自分のミスを許し、最善を尽くしていた自分をねぎらおうという考え方です。(58ページより)

人は変えられないと知る

35年間にわたって人材育成に関わってきた著者に大きな気づきは、「人は変えられない」ということなのだそうです。

変幻自在のように見えたとしても、人はこちらが意図したようには変えられないということ。たしかに、自分の子どもでさえ親が望んだよう育つとは限らないでしょう。仕事にしてもそうで、研修や講演に参加したくらいでその人が変わるなどというのはまったくの幻想です。

つまり、勝手に相手の生き方や行動を変えようと思うこと自体が大きな勘違いだということ。こちらがよかれと思ったことは、相手にとってはまったく好ましいものではないというケースも決して少なくないわけです。

日常の中でもお互い様で、相手の行動に不満をもっている場合もあります。

そういう場合は行動を変えさせようとはもう思わないことです。

人の心は人のもの、自分の心は自分のもの。

人の心は変えられない。ならば自分の心を整えるしかありません。(81ページより)

ただし、相手の幸せや成長を願うことであれば、大きな影響を与えることは可能。そこに、へこんだ心を立ちなおらせるポイントがあるのだといいます。

相手の嫌な行動は変えられないけれど、相手の喜びには大いに貢献できると信じると、たくさんの行動が生まれ、希望がわいてくるものだというのです。

【うまくいかない人との関係改善法】

・相手が自分にとって気にいらない態度をとる

・相手を変えようとしない

・自分のルール設定を下げてやりすごす

・相手のことを思って貢献できることはしてあげる

(82ページより)

これが重要で、もうひとつ加えるとすれば、それは「自分を変えられるのは自分」だということだそう。人を変えようとするよりも、自分が進化成長すれば、目に映るすべての景色が変わるわけです。(79ページより)

なにごとにも原理原則とコツがあるものだと著者はいいます。つまり混迷の時代においては、しなやかに生きるためにそれらを活用するべきなのでしょう。なにがあっても立ちなおって前を目指すために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

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Source: ディスカヴァートゥエンティーワン