シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(エリック・ジョーゲンソン 著、櫻井祐子 訳、サンマーク出版)の著者によれば、本書の主役であるナヴァル・ラヴィカント氏はシリコンバレーと世界中のスタートアップ文化を象徴する存在なのだそう。

これまでにいくつもの企業を立ち上げ、成功させてきたのだといいます(2000年のITバブル崩壊直前にエピニオンズを、2010年にエンジェルリストを創業)。またエンジェル投資家でもあり、初期段階のウーバーやツイッター、ポストメイツをはじめ数百社に投資しているのだとか。

しかもそうした経済的成功を遂げるだけではなく、人生や幸福に関する独自の哲学を語り、世界中の読者やリスナーを魅了しているというのです。

そんなナヴァル氏について、アメリカの起業家、投資家、作家であるティム・フェリス氏は次のように述べています。

ナヴァルは僕がこれまで出会った中で最高に賢い人で、また最高に勇敢な人でもある。といっても、「後先考えずに火事に飛び込む」的な勇敢さではなく、「じっくり考えてから、間違った火事を見ていることをみんなに知らせる」的な勇敢さだ。

ナヴァルがコンセンサスに迎合することはまずない。ナヴァルの人生と生き方、家族関係、スタートアップでの数々の成功は、彼が人と違うことをするために意識的に下してきた選択が生み出してきたものだ。(「序文」より)

そして本書は、そんなナヴァル氏が共有した投稿記事、ツイート、対談だけで構成された書籍。「富」「幸福」「ボーナス」と3つに分けられた構成になっており、それらに見合った数々のことばが紹介されているのです。

きょうは第1部「富 この世界で運に頼らず『リッチ』になるには」内の「明晰に考える方法」に注目してみたいと思います。

苦しいときに見えてくるのが「現実」

明晰な思考家は他人の権威に頼らず、自分自身を頼りにする。(129ページより)

「意思決定を行う際、現実に正しく対処するために心がけていることはありますか?」という問いに対し、ナヴァル氏は「強い自意識や判断、心を差し挟まないことが大事だ」と答えています。

なぜなら、心が騒がしい「モンキーマインドの状態(頭のなかでサルがうるさく騒ぎ回っているような、雑念に振り回されている状態)」にあると、見るものすべてを心のなかの「あるべき」世界に照らし、感情的に反応してしまうものだから。「こうあってほしい」という願望が、現実を曇らせてしまうわけです。

私たちが苦しむ瞬間とは、「あるがままの現実を見る瞬間」。たとえば事業が好調だと思い込んでいたら、不調の兆候には目もくれないはず。そして実際に事業が失敗すると、苦しみが訪れるのです。しかしそれは、現実から目を背けていたからにほかならないということ。

ありがたいことに、痛みを感じる苦しみの瞬間は、真実を悟る瞬間でもある。現実をあるがままに受け入れざるを得なくなる瞬間だ。

現実を受け入れるからこそ、有意義な変化を起こし前へ進むことができる。真実から出発するからこそ前進できる。(130ページより)

真実を見るためにはエゴをどけることが必要で、その理由は「エゴは真実を見たがらない」から。エゴを小さくすればするほど、条件反射的にものごとに反応することが少なくなり、「こうあってほしい」という願望を減らし、現実を直視しやすくなるのです。

こうあってほしいという願望が、真実への理解を曇らせる。苦しみは現実を否定できなくなった瞬間にやってくる。(131ページより)

なにかがこうなってほしいと望めば望むほど、真実が見えなくなるもの。だからこそナヴァル氏は、とくに仕事でなにかがうまくいっていないときは、まずそれを公に認めるのだそうです。そうすれば、誰にもそれを隠し立てする必要がなくなるから。誰にも隠さないから、現実に起こっていることから目を逸らさなくなるということです。(129ページより)

「考えごと」をする日をつくる

なにもしない、空っぽの時間を持つことは本当に大切だといいます。週に1日か2日、会議に出ずっぱりでない、予定が詰まっていない日をつくらなかったら、考えごとはできないからです。そうなると仕事のよいアイデアは浮かばず、よい判断も下すことができないのです。

したがって、最低でも週に1日、考えごとをするだけの日をつくるべき。ちなみに、できれば2日がいいそうです。その理由は、2日予定していても結局は1日になってしまうものだから。

とても賢い人には変人が多い。すべてを自分で考え抜かないと気がすまないからだ。(133ページより)

逆張り思考家はあまのじゃくとは違うーーあまのじゃくは順応主義者の一種に過ぎない。逆張り思考家は論理を自力で一から組み立て、同調圧力に屈しない。(133ページより)

ひねくれるのは簡単だ。口まねするのは簡単だ。

楽観的な逆張り思考家は最も稀有な人種だ。(134ページより)

いずれにしても、退屈してからでないと、よいアイデアは浮かばないわけです。ストレスに押しつぶされていたり、多忙だったり、かけずり回っていたり、急かされていたりしたら、アイデアなど浮かばなくて当然。だから、時間をつくることが大切なのです。(132ページより)

私が学んだことや、学んだ原則がいくつかある。それをこれから時代を超えた原則として説明するから、君なりにどうすればいいか考えてほしい。

結局のところ、私には何も教えることはできないのだから。私にできるのは君に刺激を与え、思い出しやすいヒントを示すことだけだ。(「イントロダクション」より)

ナヴァル氏は本書の冒頭にこう記しています。その刺激のなかからヒントを見つけ出し、自身の生き方に反映させたいものです。

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Source: サンマーク出版