きょうご紹介する『1日1トレで「声」も「話し方」も感動的に良くなる』(阿部 恵 著、日本実業出版社)は、「声が通らない」「人前で話すのが苦手」など、声や話し方について悩みを抱えている方のために書かれたという書籍。著者は中部日本放送(CBC)の元アナウンサーで、現在はスピーチコンサルタントをしている人物です。

と聞くと、最初から聞き取りやすい声で、スムーズに会話ができたのだろうと思われるかもしれません。ところが新人アナウンサーのころには「声が暗い」と指摘され、生放送ではセリフを忘れて大失敗するなど、多くの失敗を重ねてきたのだといいます。そればかりか3年前には「声帯結節」という病気にかかり、声がまったく出なくなってしまったのだとか。

2週間は筆談でしかコミュニケーションがとれず、なんとか声が出るようになるまで3か月はかかったでしょうか。その間、仕事はすべてキャンセル。

そのときに「“声”がいかに大切か!」を痛感しました。以来、私自身もボイストレーニングを受けながら、声帯に負担をかけない発声法を学びました。(「はじめに」より)

つまり本書では、アナウンサーにとっての死活問題であるそうした経験をもとに、コンサルタントとして得た秘訣を公開しているわけです。

31の簡単なトレーニングをご紹介しますので、1日1つ実践すれば1か月で効果が出てきます。一巡したら、再び最初のトレーニングから繰り返してみてください。

ポイントは、読むだけでなく、声を出して実践することです。

これを繰り返すことで、必ず変化していきます。(「はじめに」より)

第2章「どんなときでも『伝わる声』を手に入れよう」のなかから、2つをピックアップしてみることにしましょう。

声のトーンを「ソ」にする

著者によると「第一印象は3秒から5秒で決まる」といわれており、第一印象を左右する大きな要素のひとつに“耳からの情報”があるのだそうです。耳から入る情報とは、声の質、高さ、大きさ、トーンなど。

また第一印象を決める要素のなかでも“声からの情報”は全体の4割近くを占めるそうで、声の印象をよくすれば、「この人、感じがいいな」と相手に好印象を与えることができるのだといいます。

声の第一印象で好感度を上げるための、簡単にできるおすすめの方法が、声のトーンをドレミファソの「ソ」にすることです。

声のトーンとは、音の高低、声の上げ下げのことです。

「ソ」の音と聞くと、かなり高いのではないかと思われる方も多いでしょう。

ところが、高めのトーンの声は、相手に「明るさ」「社交的」「快活さ」などを感じさせると言われています。聞いた人によい印象を与えるのですね。

一方、低めのトーンの声は、落ち着いて聞こえる反面、「暗い」「地味」「元気がなさそう」とネガティブな印象を与える可能性があります。(47〜48ページより)

なお、著者のいう「ソ」の音とは、ピアノなどで決められた音名の「ソ」を指すものではないようです。人それぞれ声の高さが違うため、自分の声のなかで、いちばん響きがよくて好印象を与えられる「ソ」の音を見つけることが大切だということ。以下がその方法です。

① 独り言のトーン

あなたが仕事で疲れて、家に帰ったとしましょう。部屋には自分だけ。「あー、疲れた」「あー、お腹空いた」と独り言を言うとき、声のトーンは低いですよね。

② 2人のときのトーン

あなたは同僚、または家族と2人でいるとしましょう。疲れていたとしても、「お昼、どこに食べにいく?」「パスタとお蕎麦、どっちがいい?」と尋ねるとき、先の独り言のトーンよりはおそらく1トーン高くなっているはずです。

③ 3人以上のときのトーン

それでは3人以上の場合です。仕事で、人前で話すような場面です。このときは、独り言のときと比べて、2トーン上げて話すとよいのです。(49ページより)

独り言のトーンが「ドレ」だとしたら、2人のときのトーンが「ミファ」、3人以上のときのトーンが「ソ」という、3段階のイメージだそう。それを基準にして、まずは自分の声の高さのなかで「ソ」のトーンの音を見つけてみればいいというのです。

その人にとって一番輝く声のトーンがあります。慣れるまでは、「なんだか声、高くないかな」と思われるかもしれません。ノドが苦しいとか、高すぎると感じた場合は、まず独り言のトーンである「ド」の音に戻ってください。そこから、ドレ・ミファ・ソと、2トーン上げていき「ソ」のトーンを見つけてください。(50ページより)

人前で話すときは心のなかで、ドレミファソを歌ってから第一声を発するといいそうです。(47ページより)

話の始まりを高く、強く発音する

「話し方にメリハリがないね」などといわれることがありますが、そもそも「メリハリがない」話し方とはどのようなものなのでしょうか?

著者によればそれは、テンポも声の大きさも、声の高さも一定で話すこと。しかしそれだと聞いている人には、「どこが大事な部分なのか」「どこをいちばん強く伝えようとしているのか」がわかりません。そのため、「うまく伝わらない」「理解してもらえない」ということになってしまうわけです。

そこで意識したいのが「抑揚(イントネーション)」、すなわち話すときに声の調子を上げたり下げたりすることです。音の高低差を使って声に表情をつけていくということで、棒読みをなおすためには、この抑揚を身につけるトレーニングをするといいのだそうです。

一般的に抑揚とは、文章の冒頭がいちばん声が大きく、そこから次第に下がっていき、文の終わりにもっとも声が低くなるといいます。たとえばここでは、「私は東京都中央区にある自動車販売会社で営業を担当しています」という文章に抑揚をつけています。

まず文章をこのように3つに区切っていきます。

① 「私は東京都中央区にある」

② 「自動車販売会社で」

③ 「営業を担当しています」

「私は〜」から始まるところを最も高い声からスタートします。

次に、「自動車販売会社で」の箇所が、2番目の高さになります。

そして最後の「営業を担当しています」が3番目の高さです。(64〜65ページより)

このなかでとくに強調したい語句がある場合には、そこを少し高く表現すればいいそう。抑揚のいちばんのポイントは、「いちばん最初を高い音域の声にする」ことだといいます。(62ページより)

家で声を出すのが恥ずかしいなら、歩きながら、マスクのなかで声を出す練習をするだけでもOK。なにより大切なのは、実践すること。そして、その継続にこそ意味があるといいます。冒頭のようなお悩みを抱えている方は、実践してみれば次のステップに進めるかもしれません。

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Source: 日本実業出版社