童話「青い鳥」で有名なメーテルリンクの言葉です。

みんなが考えているより、ずっとたくさんの幸福が世の中にはある。たいていの人は、それを見つけられないだけなんだ。

今回は、「会社と自宅の往復で同じ生活の繰り返しだ」「無趣味で休日に時間を持て余す」「この1年、何も達成感がなく時間が過ぎていくばかり」と、現状の生活から抜け出したいという方のための対処法について考えてみました。

古川武士(ふるかわ たけし)/習慣化コンサルタント

古川武士(ふるかわ たけし)/習慣化コンサルタント

関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。約3万人のビジネスパーソンの育成と約500人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。主な著書に「続ける習慣」「やめる習慣」「早起きの技術」などがあり、全16冊、計70万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。公式サイト

なぜ、マンネリ化した生活になるのか?

私たちの脳はパターン化するのが大好きで、自動運転できるように習慣というプログラムをつくります。朝起きてから夜に寝るまでの生活を想像してみてください。恐ろしいほどにパターン化されていませんか?

完全に同じではありませんが、家でビールを飲む時間は決まってお風呂上がりの22時という方もいるぐらい、何も考えなくても生活の行動パターンが繰り返されます

しかし、何も考えずに生活を続けると脳がつくった当たり前のパターンを繰り返し続けることになります。そして、必ず訪れるのは、「マンネリ化による退屈感・閉塞感」です。

私たちの深層心理は、変化を恐れる傾向があります。ワクワクする楽しい行動も、脳は区別することなく、「新しい行動=変化」となり、拒絶して抵抗します。

脳が行おうとする「いつもどおりのパターン」から抜け出すには、意識して新しい行動をとる必要があるわけです。

楽しいことを強制力で行なう仕組みをつくる!

そこで、おすすめしたいのが、「毎月、ワクワクする10の行動をノルマとして必ず実行する」という習慣です。

これは私の実例を紹介した方がわかりやすいと思うので、お恥ずかしいですが、書いてみたいと思います。

「新しい体験を通じて世界を広げる!」をテーマに、私が1カ月で実践するために設定した新しい10の行動リストは次のとおりです。すべて初挑戦の行動ばかり。これを私のコミュニティーで宣言して、1カ月後までにすべて完了させることをノルマにしました。

  1. 釣りを体験する
  2. ゴルフの打ちっ放しにいく
  3. 1人でバーに行き人生を振り返る
  4. 家族とバーベキューをする
  5. 太極拳を体験する
  6. 裁判の傍聴をする
  7. 高尾山に登る
  8. 住宅展示場に行く
  9. 家族と海水浴に行く
  10. 水上バイクに乗る

これらは、漠然と「やりたいな」と思っていたものの、「やり方がわからない」「どこに行けばいいかわからない」「何が必要なのかわからない」「時間がない」というブレーキがあって実践してこなかったことばかりです。

正直、この時期は、本の執筆や複数のプロジェクトが同時進行で立ち上がり、多忙を極めていました。しかし、行動宣言をしている以上、後には引けません

ネットで調べればいくらでも情報は出てきます。スケジュールの空きを見て、2時間あればゴルフの打ちっ放しには行けますし、30分でもいいから1人でバーを体験する予定を入れてしまえば実践できます。

友人に聞いてみると、実践経験があるようで、おすすめのバーがわかりました。結局、「有楽町の日比谷バー」でウィスキーを片手にノートを開いて人生を考える濃厚な50分ほどの時間を過ごしてきました。

水上バイクも心理的なハードルが高い行動でした。免許がないと乗れないとか、いくら必要なのか、どこで、どのような手続きでできるのか見当もつきません。

しかし、それは実践する決意がないだけの言い訳です。ネットで調べると、鎌倉の海で4500円で40分ほどガイドと一緒に乗れることがわかり、すぐにネットで予約しました。

1週間後、水上バイクに乗って、江ノ島の美しい海岸沿いを時速45kmで走ってきました。夕焼けと富士山と江ノ島を眺めながら、10の行動リストが終わった達成感に浸っていました

好奇心の分だけ世界は広がり、人生の選択肢も増える

長くなりましたが、私は実践することをコミュニティー宣言することで、ワクワクする行動に強制力を持たせました。強制力でワクワクするなんてナンセンスだ!

ワクワクする行動ならば、無理なく自然と実践するだろう!という反論があるかもしれませんが、実際に行動するのは難しいものです。頭の中で渦巻くブレーキを乗り越えなければならないからです。

しかし、「時間がない」ことを言い訳にしなければ、たくさんのことができます。実は、時間がないと思うことが、発想を制限させていることを私も痛感しました。

移動しながら執筆したり、海水浴場に到着した車の中で資料を作成したりとスキマ時間を活用して実践しましたが、わずかな時間でも体験してみるという発想があれば、できないことは減ってきます。

1カ月でワクワクする10の行動を考えて、Facebookなどでまわりに宣言してみてください。後に引けない緊張感のなかで行動を実践するのは楽しいものです。

好奇心の分だけ人生は楽しくなる!

まったく新しい体験を10個、強制的にでもやってみると、自分の世界が広がります。さらに好奇心に火がついて、今では翌月の行動リストが溢れています。

子どものころの純粋な好奇心に身をまかせると、世の中にはもっと、楽しいこと、楽しい人、楽しい体験がたくさんあることに気づけます。

それを狭めているのは私たちの行動パターンによる呪縛です。そこから一歩抜け出してみてください。好奇心の分だけ世界は広がり、人生の選択肢も増えるはずですから。