「商談やプレゼンの際に、強い緊張や不安に襲われる」ことは、ビジネスパーソンであれば誰かもが一度は経験するでしょう。

「絶対に負けられないコンペがそこにある」というようなプレッシャーがあれば、強い緊張・不安を感じるのは、むしろ自然な生理現象といえます。

でも、毎回それでは仕事自体が嫌になってしまいますよね。

今回は、ビジネスの勝負の場での無用の緊張を消す呼吸法について、筆者の実体験を交えながらご紹介します。

「緊張や不安が高まるから呼吸が浅くなる」わけではない

筆者も、以前は緊張や不安を感じやすいタイプでした。

若い頃は「単に経験が足りないだけだから、数をこなせば克服できる」と考えていました。たしかに経験を積めば、そのような心理状況に追い込まれる回数は減っていきます。

ですが、あるとき別の要因も関係していることに気付きました。

それが、呼吸

緊張しているときは呼吸が浅くなり、時には何十秒も「はっ、はっ」と息が上がった状態になっているのです。

医学的に見ると、呼吸が浅くなると、交感神経が働いて身体がいわば「臨戦態勢」となり、緊張や不安が高まります。「緊張や不安が高まるから、呼吸が浅くなる」のではなく、まず呼吸が浅くなって、それによって緊張や不安を感じはじめる、ということなのです。

ここは、よく勘違いされているところです。

そんな気づきがあった直後、重要な会合があり、筆者がそこで話す機会がありました。いつもの自分なら不安にとらわれるところですが、努めて深い呼吸をするように心がけてみました。

すると、ほとんど緊張・不安を感じることなく、スムーズに会合を締めくくることができたのです。呼吸に注目したのは、それからです。

以来、仕事のパフォーマンスを高め、健康レベルを改善するための3本柱の1つとして、いくつかの呼吸法を実践しています。

まずは「鼻呼吸」の習慣化から

まず、これは厳密には呼吸法とは言わないでしょうが、「口呼吸はやめて、鼻呼吸にする」のが、呼吸改善の基本のキです。

口呼吸の問題点や対処法はあちこちで唱えられていますし、ライフハッカーの記事「口呼吸で体に異常も? 健康を大きく左右する『鼻呼吸』の重要性」でも紹介されています(この記事では書籍『Breath: The New Science of a Lost Art』に言及されていますが、最近になって『BREATH: 呼吸の科学』の書名で邦訳が出ており、一読の価値ありです)。

口呼吸で体に異常も? 健康を大きく左右する「鼻呼吸」の重要性 | ライフハッカー・ジャパン

口呼吸で体に異常も? 健康を大きく左右する「鼻呼吸」の重要性 | ライフハッカー・ジャパン

詳細は記事を読んでもらえればと思いますが、口呼吸の問題点として、深い呼吸になりにくく、交感神経優位となってしまうことがあります。

それは、緊張をもたらす大きな要因です。その意味でも、口呼吸が当たり前になっているようなら、鼻呼吸の習慣付けを意識してみてください。

プレゼン直前には片鼻呼吸法と4-7-8呼吸法

こちらの記事「不安やストレス解消に。試して損はない呼吸法6選」では、ストレス解消につながる呼吸法を紹介しています。

不安やストレス解消に。試して損はない呼吸法6選 | ライフハッカー・ジャパン

不安やストレス解消に。試して損はない呼吸法6選 | ライフハッカー・ジャパン

このうち筆者は、緊張しそうな場に臨む前には片鼻呼吸法と4-7-8呼吸法を実践しています。

片鼻呼吸法は、プラーナヤーマ、つまりヨガの呼吸法の1種です。これは、片方の鼻孔からだけ息を吸い、もう片方の鼻孔から息を吐くというもの。やり方は以下の通りです。

1. 親指と薬指で鼻を軽くつまみ、親指を押して片方の鼻孔を閉じます。

2. もう片方の鼻孔からゆっくりと息を吸います。

3. 吸い切ったら少し息を止め、両方の鼻孔をいったん閉じます。

4. 吸っていたのとは反対側の鼻孔を開け、そこから息を吐きます。

上記を、鼻を交互に開閉しながら、5~10回続けます。

4-7-8呼吸法は、もっとシンプルで、人前でもできるというメリットがあります(秒数カウントがやや面倒ですが)。こちらは、次のように行ないます。

1. 4秒かけて息を吸います。

2. 7秒間息を止めます。

3. 8秒かけてゆっくりと息を吐き出します。

以上で1セット。最低4回繰り返します。

これら2つの呼吸法はどちらも、緊張感を鎮めリラックスへと導く効果があります。

最終的には普段の呼吸を変えてしまう

世の中には、さまざまな呼吸法がありますが、筆者が重視しているのは、普段から深い呼吸を心がけることです。

人は1日に2万回呼吸しているそうですが、特別な呼吸法を1日10回するよりも、それ以外の1万9,990回の呼吸を改善したほうがずっと効果が高いと考えているからです。

呼吸のリズムは、それまで生きてきた何十年にも及ぶ習慣ですので、一朝一夕には変えることはできません。地道に少しずつ改善していく心構えが大事です。

具体的には、深い呼吸をする以外にやることがない状況を活用します。例えば、満員電車の中でぎゅうぎゅう詰めになっている時。飲食店に行って、注文の品が運ばれるの待っている時。寝る直前の数分間や、目が覚めた直後の数分間なども活用します。

いずれの場合も、何秒かかけて息を吸い、何秒かかけて息を吐く。基本的には、これを繰り返すだけです。

筆者は、人里離れた神社に行くのが趣味ですが、そこに行くバス・電車に長時間乗っているときは、数十分かけひたすら深い呼吸に集中しています。

細かいスキマ時間よりも、こうした長時間退屈を持て余す時間を使うほうが、習慣化に効果があると思っています。


呼吸を改善することで、今では筆者は人前に出るときに不安や緊張に襲われることはなくなりました。あがり症の人は、ぜひトライしてみてください。