告白すると、私はよく遅刻します。とはいえ、それも場合によります。
たとえば、仕事の締切を守れなかったりインタビューに遅れることはめったにありません。定刻に着きたいタイプなので、1分早いのも嫌なんです。
ところが、パーティーや会議、誰かとの約束にはほとんど毎回遅刻してしまいます。
生産性、組織、時間管理に関する記事を書いている身としては、とんでもないと思われてしまうかもしれません。私だって、遅れたときはもちろん気が咎めます。
しかし、Grace Pacie氏の著書『Late! A Timebender’s Guide to Why We Are Late and How We Can Change』を読んで、私は思いやりがないわけでも怠慢なわけでもなく、この本に出てくる「タイムベンダー」に該当することがわかりました。
「人口の20%が時間に正確に行動することは難しいと感じていることが研究調査でわかっています」と言うPacieさんは、自分自身も「タイムベンダー」であることを認めています。
タイムベンダーから見ると、時間が流れる速度が違うんです。時間の流れが遅くなったり速くなったりするんです。
「タイムベンダー」とは?
時間が流れる速度を変えてしまうという行為は、遅刻の原因になる要因が結びつくと発生します。
Pacieさんによると、「タイムベンダー」の特徴は次の通りです。
- 所用時間の計り方に問題があり、一般的に20%から30%少なく見積もってしまう。
- 物事が終結することが嫌で、締切の直前に余分なタスクを足そうとしてしまう。
- 「遷移時間」に対して精神的ブロックがかかっており、その結果、家を出る時間が毎回意図した時間より5分ほど遅くなる。
- 潜在意識下でギリギリまで外出したくないと思っているため、移動時間を最小限に抑え、想定外のことを(ときには想定内のことまで)許容しない。
「このようにして、タイムベンダーの思考は非論理的になり、時間を守りたくても結局遅刻してしまうのです」とPacieさんは言います。
タイムベンダーは先天的な性質
なぜそういう行動をやめないのかと不思議に思われるかもしれませんが、それは先天的に備わった性質であり、マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標テストではJ(判断的)-P(知覚的)の要素に関係しています。
タイムベンダーはP(知覚的)タイプだとPacieさんは言います。
Pタイプは選択肢の幅を限定したくない傾向が強く、物事を終わらせたくありません。一方、Jタイプは物事の終結を求めており、予定より早く終わって欲しくてたまりません。
タイムベンダーであることは生まれつきなので、その行動習慣はなかなか変えられません。
「タイムベンダーが自分のマインドセットを変えられるとは思いませんが、内向的な人が外向的な人のように行動できるように、自分の行動志向を脱却して行動することはできます」とPacieさんは言います。
タイムベンダーは悪いことばかりではない
幸いなことに、タイムベンダーであることは悪いことばかりではありません。
「遅刻することでいつも批判されますが、ポジティブな性質は決して認識されていません」とPacieさんは言います。
たとえば、タイムベンダーは適応力と柔軟性が高いことが多く、興味があることになら中断されても気にしません。
仕事のスピードを上げて、プレッシャーがあってもうまく集中して、本当の締切に間に合わせるのが得意です。
遅刻は、特に職場では、性格上の欠陥と見なされることがよくあります。
しかし、Pacieさんは、そのようなネガティブな見方は偏っているので、異議を唱えるべきだと言います。
時間厳守に固執している同僚は、最後に到着した人はたいてい最後までその場に残っている人でもあることに気づきません。
会議やイベントに早く到着した人は、数分遅れて到着した人より生産性が低いことが多いのです。
タイムベンダーは会議の前に取り組んでいたタスクを会議のギリギリ直前まで作業してから会議に出るので、ちょっと遅刻してしまうんです。
私生活では、こういう良さは分かってもらいにくいかもしれません。
「タイムベンダーを恋人にしている人は、彼/彼女は自分との約束にはいつも遅れるのに、『本当に大事なとき』には遅れないことに気づくと、深く傷つくかもしれません。」とPacieさんは言います。
私のことを大事に思っていないから意図的に遅れるのだと思ってしまうからです。
タイムベンダーが意識すべきこと
Pacieさんの本には、慢性的に遅刻する癖をなくすためにできることがいくつか概説されています。たとえば、毎回期限を確認することです。
締切は余計なのりしろなしの本当の締切でなければならず、帰結するものでなければなりません。何となく決めた締切は無意味です。
締切があるとタイムベンダーは行動を起こします(だから私は仕事の締切を厳守できるわけです)。タイムベンダーは締切の直前に仕事の効率がもっとも高くなります。
一方、タイムベンダーは、あまり早く仕事をはじめない方が良いとPacieさんは言います。
締切を意識して集中力が出るまでは、時間が無駄になるからです。
タイムベンダーのことを少しでも理解しよう
遅刻癖をなくすのは難しいかもしれませんが、努力する価値はあるとして、Pacieさんは次のように語っています。
タイムベンダーは自分がいつも遅刻しているとは思っていません。現に毎回遅刻するわけではないからです。
しかし、遅刻された側は辛い思いをしたり腹を立てたりするので、人間関係を損なう可能性があります。
タイムベンダーでない人が、時間厳守は自分にとっては簡単でも、人口の20%の人たちにとってはもっと複雑な問題であることを理解してくれたら、助かります。
タイムベンダーであることがパートナーとの関係に貢献することもあること、そしてタイムベンダーであることも含めて良いチームになることをわかって欲しいと思います。
──2020年10月19日公開記事を再編集して再掲しています。
翻訳: 春野ユリ
Source: Amazon, Timebending
Originally published by Fast Company [原文]
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