上司との関係は、仕事の量、仕事への満足度、キャリアの将来性など、仕事に関するあらゆる面に大きな影響を与えます。
でも、たとえそうだとしても、上司と部下の力の差を考えると、自分でどうにかできる問題だとは思えないものです。
そこで、「マネージング・アップ(managing up)」の出番です。
マネージング・アップとは、上司との関係や自分の職務を、部下の側から積極的に働きかけてマネジメントすること。
経営コンサルタントで、Growth Partners ConsultingのオーナーでもあるAmy Drader氏は、最近のブログで次のように書いています。
マネージング・アップとは、職場で最も重要な関係である上司との関係を、最大限に高めることです。
上司に媚びるということではありません。
上司と生産的な関係を築き、上司のマネジメントスタイルを把握して、それに自分のワークスタイルを積極的に合わせることで、より生産的な関係を築くことなのです。
Drader氏が書いているように、「部下は、上司との関係にプラスの影響を与え、その結果として自分自身の満足度を高めるような、選択と行動をする大きな力を持っている」のです。
マネージング・アップの効果的な手法
Drader氏が提案するように、上司との関係を改善するのに役立つ具体的な行動がいくつかあります。たとえば、次のようなことが挙げられます。
- 上司の好みのやり方を把握してそれに合わせる。
- 明確な質問をして相手が何を求めているかを確認する。
- 適切なタイミングで感謝の気持ちを伝える。
特に、その上司がマネジメントの経験がない、管理業務が苦手である、多くの仕事を抱えているなどの場合は、上司もあなたと同じくらい苦労しているはず。
そうしたケースでは、マネージング・アップをすることで上司も楽になり、ひいてはあなた自身もやり易くなります。
マネージング・アップでのNG行為は?
マネージング・アップとは、上司とより良い、生産的な関係をつくること。
カリフォルニア・マーセッド大学の紛争解決コーチであるLuke Wiesner氏がブログで発信しているように、マネージング・アップで避けるべき行動がいくつかあります。
たとえば、上司を監督しようとしたり、上司の上に立とうとしたり、上司のマネジメントスタイルを変えようとしてはいけません。
また、Drader氏は、自分を責めないようにすることが重要だとアドバイスを述べています(特に上司がマイクロマネジメントタイプの場合)。
さらに、上司との関係がうまくいっていない場合には、自分のニーズを無視しないように注意すべきだと話しています。
上司によっては、マネージング・アップを心良く思わなかったり、面倒に感じたり、部下に指示されていると受け取るかもしれません。
もっとも、上司の立場になって考えてみると、違った見方ができるはずです。
自分のスタイルに合わせてくれる人と一緒に働くのはどんな気分でしょうか? いい気分ですよね?
部下が自分のことをよくわかってくれていたら、より大きな信頼を感じるはず。
これこそが、チームワークとコラボレーションの核心であり、マネージング・アップが目指すところなのです。
Source: University of California, Merced, Growth Partners Consulting(1, 2)