「個」の力が強くなってきた今の時代、インフルエンサーのみならずビジネスパーソンレベルでも、セルフブランディングやセルフプロモーションの力が求められる場面が増えています。

仕事において、自分の価値──個性・才能・強みを探し出す「セルフブランディング」と、それを他者にPRする「セルフプロモーション」は、いわば「戦略」と「戦術」に当たる重要な部分。

双方に長けた「個」を考えた時、編集部がぜひ教えを請いたいと思ったのが、特集『自分だけのニュースタンドをつくろう』に登場し、独自の仕事論を語ってくれたYouTuber・アーティストのHyuk(ヒョク)こと、LEE MINHYUK(イ・ミンヒョク)さんです。

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チャンネル登録者数54万人超えの人気美容系YouTuberであり、一度は諦めたアーティストの道も「全額自腹で超クオリティの新曲をつくる」という驚きのアプローチで挑戦中のヒョクさん。

「個」の時代を生き抜くビジネスパーソンが応用すべき、セルフブランディングとセルフプロモーションの極意を聞きました。

セルフブランディングの指針はファンの声=「何を求められているか」

2017年にYouTubeでの動画投稿をはじめ、翌年にはチャンネル登録者数が10万人を突破したというヒョクさん。

2019年に一部上場企業を退職してYouTuberに専念。最年長で参加したサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」では惜しくもデビューの機会を逃しますが、時に涙を見せながら努力し続ける姿が視聴者に鮮烈な印象を残しました。

ヒョクさんにとってセルフブランディングとセルフプロモーションは、「自分が生きていくために絶対に必要なもの」。自分のことを一番よく知っているのは自分自身。だからこそ、ブランディングもプロモーションも「セルフ」のほうが良さを伝えられると話します。

「もちろん事務所やマネージャーのサポートがあってのことですが、活動の大まかな軸は自分で決め、最終的な判断は自分で行なう。そこはずっと変わりません」(ヒョクさん、以下同)

「自分のことは自分が一番理解している」とヒョクさんが自信を持てるようになったのは、YouTubeというプラットフォームの特性と、「Smiler(スマイラー)」と呼ばれるファンの存在が大きいのだそう。

「YouTubeでは、コメント欄やDMでファンの方と直接やり取りできます。

みんなの意見を一番見るのは自分だから、今どんな声が届いているのか、何を求められているかも自分が一番把握できていると自負しています」

単なるキャラづくりではない、強度のあるセルフブランディングができるのは、ファンと直につながれるYouTuberだからこそ。

「動画をアップすると、『知らなかった!』と驚いてくれたり、『ためになった』と喜んでくれたり。

近年は美容系YouTuberとして活動する人が増えていますが、視聴者の反応から自分の強みや、これから差別化すべき部分を分析できています

「セルフ」で成功させるには、意志の強さと長期的戦略が必要

「視聴者に指摘されて初めて発見した自分の長所は?」と尋ねると、「コメントが多くてびっくりしたのは、『よくそんなに努力が続けられるね』という言葉」とヒョクさん。

今年の8月、3カ月間かけて肉体改造を行なった結果を報告した動画「【ご報告】ガリガリが90日間本気で筋トレした結果」は大反響を呼び、ヤフーニュースにも取り上げられました。

「単純に新しいことをやるのが好きで、好きだから続けられると自分では思っていたのですが…。

苦しくても粘るのは、長期的に物事を見る傾向が強い側面があるからかも。

それが多分、僕がセルフブランディングやセルフプロモーションを得意とする理由なのかもしれません」

今一番の長期的な戦略は、3年以内に自分のスキンケアブランドを立ち上げること。

昨年から2022年のはじめにかけて、一気に「スキンケアのヒョク」としての知名度が上がり、「ピークのうちに自分のブランドをつくりたい」と決意したそう。

しかし、企業協賛の案件が想定以上に舞い込んだことから、「今は『大手ブランドとの商品開発』といった仕事で経験を積むべき。ブランドをつくるまでのストーリーも1年はかけて動画で追いたい」と考え直し、「3年以内」に射程を伸ばしたと話します。

「よく『好きなことを仕事にできていいね』と言われますが、常に忘れないようにしているのは、『マネタイズするには?』の視点。

たとえば『コラボしたい!』と思うほど好きなコスメブランドがあったら、僕が考える商品の良いところや改善点を動画で分析して取り上げたりなど、仕事の種をいろいろと“蒔いて”います

視聴者とブランド、両方にメリットがあるように…という部分はすごく考えていますね」

自分の意見は殺さないようにしつつ、ファン、クライアント、マネージャーや所属事務所に至るまで、「他者の意見」を取り入れていく。それができるのも、自分がひたすら時間と作業を投資して築き上げてきたブランディングがあってこそ、とヒョクさん。

「やっぱり大変といえば大変で、セルフブランディングもセルフプロモーションも、意志が弱いとできません

赤信号は絶対に渡らない、といった超基礎的なことをはじめ、自分のブランディングを損なうようなスキャンダルは絶対にNGです。

『ヒョクが努力している姿で自分もがんばれる』と言ってくれるファンの声が励み。視聴者やファンの方が思う“理想の僕”がいると思うから、それを壊さないようにしたいし、そこに自分が近づいていけるように努力し続けたいと思っています」

セルフブランディング・セルフプロモーション力を高める3つのトレーニング

今回はヒョクさんが、セルフブランディング力、セルフプロモーション力を高めるトレーニング方法として、3つのポイントを挙げてくれました。

1. 失敗してもいいからチャレンジする

「美容系YouTuberをはじめた時は知らないことだらけで、知識をつけること、資格を取ることに必死で取り組みました。

億劫でもチャレンジすること。とにかくやってみることが大事です」

2. プロ意識は「常にオン」

「第一印象に気を抜かない。常に謙虚であり続ける。お互いに『この人と仕事をしてよかった』と思える関係性をつくる。

相手の気持ちを読み取ろうとするプロ意識がトレーニングにつながります」

3. YouTubeチャンネルをはじめてみる!

「YouTuberになってすごく変わったと思うのは、オン・オフの境目がなくなって、常にネタ探しをしたり、1つひとつの小さな出来事も『どう魅せようか?』と考えたりするようになったこと。

『これ動画にできそうだ』と思ったら、どう伝えるか? どんな演出で、どう編集するか?——頭の中でいつも動画にした際のジングルや効果音が鳴っています(笑)。

この積み重ねは、セルフプロモーションのいいトレーニングになるのではないでしょうか?」

仕事の幅はどんどん増す。3rdシングル「Heart Chase」で新境地を開拓

セルフブランディング、セルフプロモーションができるようになると、仕事の幅がどんどん広がっていくと話すヒョクさん。

2022年2月に自腹300万円で制作した2ndシングル「Regret」に続き、9月22日に3rdシングル「Heart Chase」のデジタル音源をリリース・MVを公開したことは、その最たる成果かもしれません。

「コンセプトは誘惑。自分が誘惑していると思っていたら、いつの間にか誘惑されていた…という恋の心の駆け引きがテーマです。

ニコニコと笑っている普段の僕とはまったく逆の表情を見せていきたいなと」

「Heart Chase」も前回の手法を踏襲して「全額自費」で制作。今回は作詞だけでなく「Regret」ではできなかった作曲にも挑戦。

MVでは「歌い出しからサビまで、ワンテイクカットでの撮影にチャレンジしたい」と自ら監督に提案するなど、「自分の表現したい幅をそのままアウトプットできるようになってきた」と話します。

ライフハッカーでは、過去に自身のバリューや社会での立ち位置の理解、個性を表現する練習として、自分自身に「#ハッシュタグ」をつけるトレーニングをご紹介しました。

取材の終わり、編集部が投げかけた「ヒョクさんが、ご自身にハッシュタグをつけるとしたら?」という質問に、少し照れながらもこう答えてくれました。

「スキンケアマニアのヒョクとしては、『#セラム大魔王』。アーティストのイ・ミンヒョクとしては、3rdシングルにかけて『#ヒョクの誘惑半端ない』かな(笑)。

YouTubeではジェンダーレスなイメージが強いと思いますが、この曲では1人の男としてのヒョクを見てもらえたら嬉しいですね」

セルフブランディング、セルフプロモーションの力がつけば「どんなことも仕事にできる」と、優しくも力強く微笑むヒョクさんの言葉に、自分らしいライフワークを育てるヒントをもらった気がしました。

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Hyuk(ヒョク)

Hyuk(ヒョク)

1991年生まれ、韓国出身。12歳の時に父親の転勤に伴い、家族で来日。国立大学を卒業後、一部上場企業に就職し、5年後に退職。本格的にYouTuberとして活動する。現在は美容系YouTuberとしてチャンネル登録者数54.1万人(2022年9月末現在)を獲得。また、音楽事務所の練習生としてボーカルやダンスに励み、2019年にはサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」にも参加。本名のLEE MINHYUK(イ・ミンヒョク)としてアーティスト活動も行ない、2022年2月に2ndシングル「Regret」、9月に3rdシングル「Heart Chase」を発表。300万円をかけて自費制作したミュージックビデオも話題を集める。

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