第二世代のAirPods Proは、外見こそ先代モデルと変わらないものの、ノイズキャンセリング性能の向上や、「適応型環境音除去」の対応、本体での音量調整、ケースの「探す」対応などさまざまな面がアップデートされました。

使ってすごいと感じたのが、本当に強力なノイズキャンセリング。そして、外音取り込みをしているのに騒音から身を守ってくれる適応型環境音除去です。実際にどのくらいの効果があるのか? 騒音測定アプリを使ってチェックしてみました。

ノイズキャンセリングで「完璧な静寂」が手に入る

まずはノイズキャンセリング。

日常生活で遭遇するのは、「わかりやすい騒音」ばかりではありません。

たとえば、シェアオフィスに行って検証してみました。人や騒音が少ない場所でも、エアコンの作動音が気になります。

iPhoneのサードパーティー製アプリで、騒音レベルを測定すると40dB。「図書館の館内」相当とされる静かなレベルではありますが、AirPods Proのノイズキャンセリングを有効にしてみました。

Photo:酒井麻里子
Photo:酒井麻里子

その状態で、Apple Watchの「ノイズ」アプリで、騒音レベルをチェックしてみると、およそ21dBでした。これは、「木の葉の触れ合う音」に相当するレベルで、ほぼ無音といってもいい状態です。およそ、半分の値にまで低減されていたのです。

エアコンの作動音などは、明らかな騒音ではないものの、長時間聞こえていると気になるもの。それを最初から存在に気づかないくらいにカットして、「完璧な静寂」にしてくれました。

突然の騒音から身を守ってくれる「適応型環境音除去」

ノイズキャンセリングが優秀だからこそ、屋外の移動中は注意が必要。必要な音まで遮断される可能性があるからです。

その場合、ステムを長押しして「外音取り込みモード」に切り替えます。このモードでは、今回のモデルから「適応型環境音除去」が使えるようになりました。これは、突発的な大きな音を自動で軽減してくれる機能です。

Photo:酒井麻里子
Photo:酒井麻里子

電車の走行音が響く駅のホームで測定してみました。

iPhoneの画面に表示されているのは、iPhoneのマイクで取得したその場の騒音レベル。88dBとかなりの大きさです。そして、Apple Watchに表示されているのが、AirPods Proを経由して耳に入っている音の大きさ。82dBまで軽減されていることがわかります。

AirPods Proで騒音レベルが半減
AirPods Proで騒音レベルが半減
Photo:酒井麻里子

もちろん、これでも静かとはいえない状態ですが、外音取り込みモード中に自動で騒音だけをカットしてくれるのは、かなりありがたいですよね。

ちなみに、この状況でノイズキャンセリングを有効にすると、39dBまで下がります。自分が移動していないときや、騒音の続く場所でしばらく過ごさないといけない状況であれば、やはりこちらのほうが確実です。

Screenshot: 酒井麻里子 via ノイズ/dB Mster
Screenshot: 酒井麻里子 via ノイズ/dB Mster

救急車が通過したときにも測定してみました。こちらは元の音が79dBなのに対して、外音取り込みモードで67dBまで軽減されています。

切り替えの操作不要で、自動で大きな音を調整してくれるのが「適応型環境音除去」のいいところ。日常で遭遇する突然の騒音というストレスから守ってくれるので、QOL向上にもつながりそうです。

空間オーディオが最適化される機能も

そのほかの新機能として、耳の形に合わせて音を最適化する「パーソナライズされた空間オーディオ」も登場。

これは、iPhoneのカメラを使って顔正面、右耳、左耳を撮影すると登録できます。とくに難しいことはなく、表示される図のとおりにiPhoneを動かして簡単に完了しました。

空間オーディオ対応曲では、頭の動きに合わせて音の聞こえる方向が変化する「ダイナミックヘッドトラッキング」を選ぶことができます。

これまでもかなり臨場感のある聞こえ方を体験できましたが、それが自分の耳に最適化されて、よりパワーアップした形です。

そして、ステム部分の上下スワイプで音量調整も可能になりました。

Photo:酒井麻里子
Photo:酒井麻里子

スワイプしたときに「ポ、ポ」という音がするのですが、これがじゃまにならない程度の音で、かつ確実に確認できるちょうどよい設計です。

Apple Watchの充電器が使えるのが地味に便利

このほかには、ケースにスピーカーがついて音を鳴らして探せるようになったこと、ストラップホールが付いたことなども新たな進化点。左右のイヤホンとケースはそれぞれ「探す」アプリに表示されるので、ケースだけが行方不明になった場合も安心です。

そして、地味に便利なのが、Apple Watchの充電器でAirPodsを充電できるようになったこと。

Photo:酒井麻里子
Photo:酒井麻里子

出先でモバイルバッテリーから充電したいけど、LightningケーブルはiPhoneの充電のために使っているという状況のときなどに、Apple Watchの充電器を流用できるのは助かります。


ノイズキャンセリングや外音取り込みモードの性能が向上し、それ以外の機能もしっかり便利になった新しいAirPods Pro。

お値段は4万円弱と安くはないですが、音は集中力にも大きく影響します。真に「静寂」を求めるなら、価値のある選択だと思いました。