筆者は幼い頃から、字が下手。
悪筆は今も変わらずで、過去に何度かそれを克服しようとしましたが、挫折しています。
悪筆であらゆる手書きを避けていた今では、極限まで肉筆で書く機会を減らし、パソコンやスマホのテキスト打ちで済ませられるものは、すべてそうしています。
しかしこれは、下手な自分の字を見て自己嫌悪を避けられる反面、ライフハック的な観点では大きな損をしています。
近年手書きの効用がいろいろと見直され、できるビジネスパーソンの多くは、手書きメモ術といったスキルを活用しています。ライフハッカーでも「深化するメモ術」特集を組むくらいですから、手書きを一生回避するなんてナンセンスだと実感。
そこで心機一転、悪筆の克服にチャレンジすることに決めました。最近は、手早く美文字を書けるというテキストブックが何冊も出ていますので、その中から今年4月に刊行された、『簡単ルールで突然美文字が書ける』(萩原季実子/ダイヤモンド社)をピックアップ。地道に修練をスタートしました。
やってみると、字を書くことへの思い込みが根底から覆される、目からウロコの美文字術が続々。なかなか面白い内容なので、本書の美文字術のエッセンスを、ほんの一部ですが紹介したいと思います。
美文字を書きやすいペンとは?
世の中には実に多くの筆記具がありますが、本書ですすめられているのは、0.5mmの水性ゲルインクのボールペン。ゼブラの「サラサ 0.5ミリ」やパイロットの「G-2 極細」が、具体名として挙がっています。こうしたボールペンの良い点は、線のかすれがなく、均等にインクが出て読みやすいからだそうです。
また、「ソフト下敷きがあるとなしでは大違い」だそうです。ソフト下敷きは、近所の店には売っていなかったのですが、コピー用紙を数枚重ねたもので代用できるとのことで、そうしています。
そしてペンの持ち方について。字が苦手な人の多くは、拳を握りしめるように持っているそうです。特に小指を握るような持ち方だと、指の可動域が狭まって悪筆になるとか。
正しい持ち方は、親指と人差し指でペンを軽く挟み、ほかの3本の指は、ペンの下側に縦一列に揃えます(下写真参照)。

漢字は斜め45°の打ち込みを
日本語には、漢字、ひらがな、カタカナと3種類の文字がありますが、一番難易度が高いのは漢字でしょう。その漢字をきれいに書くには、8つのルールがあるそうです。
その1つが、「書き始めに必ず斜め45°の打ち込みを入れる」。大昔、書道の授業で聞いた記憶がよみがえりましたが、書道だけでなく、普段のペン文字でも打ち込みが必要だということです。
打ち込みを入れるだけで、「大人っぽい洗練された感じ」になるそうで、そう聞けば、やらない手はないでしょう。

まずは5つのひらがなをマスター
ひらがなの素早い上達には、いくつかのコツがあります。その1つが、「く、の、よ、け、こ」の5つを最初にマスターすること。これで、ほかのひらがなも上達しやすくなるそうです。
例えば「く」。これは一筆書きという特徴があり、「く」をうまく書けるようになると、ほかの一筆書きのひらがな(「し」「そ」など)も上達が速くなります。
一筆書きのひらがなを書く際は、線の向きが変わる部分を、(とがらせず)丸みを持たせるのがポイント。その点に留意して書くだけで、美文字に一歩近づきます。

カタカナは打ち込み・カドをつけメリハリを
カタカナは画数が少なく、直線的で楽にかけそうに思えますね。ですが、画数が少ないゆえに、ポイントをおさえていないと読みにくくなります。
その第1のポイントは、漢字と同じく打ち込みを入れることです(ひらがなでは打ち込みは入れない)。打ち込みを入れることでメリハリがつき、「ソ」と「ン」など似たカタカナの区別がつきやすくなります。
また、線が方向転換する所では、しっかりカドをつけます。これも、メリハリをつけるためのポイントです。

「おでんトレーニング」で整った文章に
文字が上手くなっても、文章として書いてみるとなんだかカッコ悪い…こうなってしまう1つの原因として、中心が揃っていないというのがあります。例えば、横書きのノートで下の罫線に揃えて書いてしまうと、文字の高低差が出てガタガタした印象になってしまいます。
この場合、罫線が各文字の中心を突っ切るよう書くと、高低差が出にくく、整った文章に見えます。
そのための訓練として「おでんトレーニング」というのがあります。直線を最初に書き、次に直線が中心を貫くよう丸や四角を描いていきます。おでんを串に刺すイメージで図形の中心を揃えるのです。文章のバランスが悪い場合、トライしてみてください。

こんな感じで、筆者は少しずつ悪筆克服作戦を展開しています。手ごたえは上々で、だんだんと見栄えがよくなる自分の字に自信を深めつつある、今日この頃です。字が苦手と自認する方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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Source: ダイヤモンド社