いったんデスクに向かったら、4時間は離れずに頑張る――。

筆者はフリーランスになる前、観光パンフレットや海外論文などを翻訳する会社で勤務していました。当時、勉強のために読んでいた翻訳のテキストブックに書いていたメモがこれです。

座りすぎの弊害が知られるようになる何年も前の話で、当時の筆者はこのフレーズを座右の銘にしていました。

ですが、4時間も座ったままというのは、そうそうできるものではありません。なぜか意味もなく立ち上がって、部屋の中をウロウロして、また着席するということを繰り返していました。

集中力が回復する「10秒歩き」

部屋を歩き回ってしまう理由は、長年わかりませんでした。ですが、印南敦史さんがライフハッカーの毎日書評で取り上げた『「めんどくさい」が消える脳の使い方』(菅原洋平著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)を読んで、腑に落ちました。

印南さんも書評の中で取り上げていますが、その本には「10秒歩きで集中力を鍛える」という項目があります。これは、デスクワークの合間に席を立って10秒歩き、席に戻ることで集中力が鍛えられるというライフハックです。

その効果として、本書では以下のように説明がされています。

席を立って歩くと、ストックされた情報と脳内にある情報が照合されるので、席に戻ったときにはすんなり続きの作業ができますし、違った角度からその作業を眺めて、さらに質を高めることができます。

翻訳会社時代の自分は、理由もわからず室内を歩き回っていたのですが、無意識のうちにその効用を理解していたのでしょう。

今は意識的に「10秒歩き」をしています。スマホやプリンターなどを、あえてデスクから離れた場所に置き、使う際にいちいち立って取りに行かなくてはいけないようにしています。

仕事がちょっとした壁にぶつかった時にこれをすると、頭がすっきりして突破口が開けることもしばしばあります。デスクワーカーには、おすすめのライフハックです。

周囲の雑音を意識からカットする「最適な姿勢」

ほかに筆者が心がけているのが、デスクワーク時の「最適な姿勢」。雑音の中でも集中できるという効果があります。その姿勢とは以下の通り。

両耳を貫くように横軸があるつもりで、頭だけを少し下げて画面を見ましょう。次に両足の裏を地面につけましょう。そして、お尻をぐっとしめて骨盤を固定しましょう。

これがデスクワークに集中したいときに、取るべき「最適のフォーム」なのだそうです。最適のフォームをとると、脳は目の前の作業以外の情報に注意が向かないように制御されます。

筆者は、近所の工事の音が気になるときや混んでいるカフェで仕事をするときは、努めてこの姿勢をとるようにしています。

疲れてきて、無意識のうちに猫背になってきたら、いったん作業を切り上げ、近所を散歩したり、ストレッチをしたりしてリセットします。これだけでも、生産性はずいぶん違ってくるものです。

本書には、ほかにも多くの「めんどくさい」を解消するライフハックが載っています。まずは、最も簡単な「10秒歩き」と「最適な姿勢」からはじめてみてはいかがでしょう。