スキンケア、脱毛、メンズメイク…男性も美容にコストをかける時代になりました。しかし、「ただ見た目がよければいい」ということではありません。

「身だしなみ」や「メンテナンス」の大切さ、あるいは「姿勢」や「所作」なども含めたトータルとしての見た目、いわば「人として美しく在る」ことは、人の心をつかむ人間的な魅力につながります。

この「美しく生きる。」特集では、ビジネスパーソンとして、また人として魅力的であるために必要な知識やノウハウ、ストーリーをご紹介します。

今回お話をうかがっているのは、京都府・福知山でクラフトビールブランド「CRAFT BANK(クラフトバンク)を立ち上げた、羽星大地さんと庄田健助さん。

それぞれが「福知山でクラフトビール」というテーマにたどり着くまでのストーリーをご紹介した前編に続き、後編ではふたりの出会いからブランドの誕生に至るまでの道のり、そして今後の野望についてお聞きします。

▼前編から読む

京都・福知山からクラフトビールで起業!経歴も年齢も違う2人が「世界一」を目指す理由 | ライフハッカー[日本版]

京都・福知山からクラフトビールで起業!経歴も年齢も違う2人が「世界一」を目指す理由 | ライフハッカー[日本版]

商工会議所、隣の窓口にいた男

東京での大手IT企業勤務を経て、地元・福知山でクラフトビールをつくりたいと考えはじめていた羽星大地さん。

そして、そろそろ自分主体の事業がやりたい、やるならクラフトビールだ!と確信していた、福知山の町おこしコンサルタント・庄田健助さん。ふたりの出会いは、運命的なものでした。

羽星「福知山でクラフトビールがやりたいって、地元の商工会議所に相談に行ってたんです。そうしたら、たまたま隣の席に庄田さんの友人がいたらしくて…」

庄田「その人が、『福知山でクラフトビールやりたいっていう子が来てたぞ』って教えてくれて。すぐに商工会議所に電話して、『その子を紹介してほしい!』って、お願いしたんです。それが、2020年8月のことですね。

僕はその少し前から、クラフトビールやるためにすでに動き出していて。いろいろな醸造所に研修に行ったり、アメリカに視察に行ったりもしていました。醸造所をつくる場所も、すでに賃貸契約していたんです。それが、もともと金融機関が入っていたこのビルです」

羽星「庄田さんと会った日に、建物も見せてもらって。事業にかける想いも同じだし、ぜひ一緒にやりましょう!と、すぐに意気投合しました」

まるで違う道のりを歩んできたからこそ

「福知山でクラフトビール」という、ニッチなテーマが合致したとはいえ、そのときが初対面。経歴も年齢も違う者同士がタッグを組むことに、お互い迷いはなかったのでしょうか?

庄田「僕は兵庫県尼崎市の出身で、もともと福知山の人間ではない。その点、羽星くんは福知山生まれでここが地元だし、頼りになるなって。

それに、羽星くんは当時まだ20代。20代と仕事がしたかったんですよね。僕は29歳で独立しましたけど、当時自分が30代も後半に差し掛かってきて、若い世代の仲間がほしかったというか。町の新陳代謝という文脈でも、やっぱり若手が必要だと思ったんです」

羽星「僕は、一方的に庄田さんのことは知っていたんです。もともとずっと福知山の町おこしに関わっていた人だし、そのころすでにビールのイベントをやられていたんで。まだ自分で醸造はしていなかったですけど、近隣地域のクラフトビールを集めて販売してたり。なので、おお、あの庄田さんだ、と。

それに、僕はいくら福知山出身だっていっても、大学から東京に出て、向こうで仕事をしてきました。対して庄田さんは、ずっと福知山とつながりをもって、仕事を継続されてきた。僕のほうこそ、ぜひ一緒にやらせてもらいたいなって思ったんです」

クラフトビール醸造所「宮崎ひでじビール」で修行

その後ふたりは、そろってビールづくりを学びに宮崎延岡市の「宮崎ひでじビール」へと赴きます。ワールド・ビア・アワードをはじめ、数々の世界的なコンテストで受賞歴を誇るクラフトビール醸造所です。

羽星「僕と庄田さんが出会って3カ月後の2020年11月に、ひでじビールで研修生として受け入れてもらえることが決まりました。その後、2021年1月に株式会社Craft Bankを設立。2月から1カ月半、ひでじビールで研修を受けてきました」

庄田「ビールって、タンクの制約もあるし、大手でない限り毎日醸造するわけじゃないんです。せいぜい週1回とか。なのでそのときの研修では、衛生管理などのビール醸造の基礎を徹底的に教えてもらいました。

実際の味づくりについては、僕らの醸造所の特性をつかみながら、いまも日々研究を続けているような感じです。もちろん、ひでじビールの先輩方には、常にアドバイスをもらっています」

それぞれの個性が光る“サイン入りビール”

地元の食材を積極的に使い、福知山ならではのビールづくりをおこなうCRAFT BANK。丹波栗、丹波の黒枝豆を使った「KURI GOLD(栗ゴールド)」や「KUROMAME BLACK(黒豆ブラック)」など、オリジナリティあふれる商品がそろいます。

創業時に立ち上げたクラウドファンディングのリターンとしては、6種類の味がラインナップ。そのほか店舗限定アイテムも含めて、現地では常時7種類ほどがドラフトで楽しめるといいます。公式サイトでのオンラインショップでの販売も近日開始予定。

ビールづくりにおいて、ふたりの役割分担はどのようなものなのでしょうか?

羽星「うちのうちのビールの缶には、僕か庄田さんどちらかのサインがプリントしてあります。というのも、レシピは共作ではなくそれぞれが独自に考えているので、発案者のサインを載せているんです」

庄田「ふたりともが、各々ビール開発に関わっている。クラウドファンディングのリターン商品6種類も、3種類ずつ手がけました」

羽星「それ以外の業務でいうと、それぞれ経験があることはお互いに任せています。たとえば、僕はこれまで会社員しかやったことがないですけど、庄田さんは自分で会社をやっていたし、行政とのやりとりなどの経験が豊富。経営的なことや、町おこしに関わる部分は、お任せするようにしています。

ふたりとも完全に初めてのこと、たとえば『ビール工場を一からつくる』っていうような業務は、なるべく僕がチャレンジするようにしています」

元銀行の建物をリノベーション。クラフトビール醸造所とレストランを作った
元銀行の建物をリノベーション。クラフトビール醸造所とレストランを作った

CEOとCFO、自らが厨房に立つ日々

前職の経験が生きている分野や、逆にこれまでの仕事と全く違って、戸惑った部分はあるのでしょうか。

羽星「会社員時代、先輩に叩き込まれた社会人としてのマナーは、すごく役に立っています。当たり前のことばっかりなんですけど『飲み会の後に連絡する』、『自分はどうしたいのかを考えておく』などですね。当時の先輩には、すごく感謝しています。

逆に手こずっているのは、数字関係。経理とか、会社員時代は担当部署にお任せだったことを、全部自分たちでやらなきゃならない。庄田さんも自分も、あんまりそういう事務作業が得意なタイプではないんです(笑)」

庄田「あと僕は、苦労したといえばレストランで出すメニューの調理ですね。ふだんは100%外食で、料理はまったくしない人間だったんで。

これまでも、コンサルして店をオープンさせるってことは山ほどやってきました。でもそのときによく見たのは、腕のいいシェフを入れてオープンしたんだけど、なんかしらの理由でそのシェフが抜けたときに回らなくなって、つぶれてしまうケース。

なので、そうならないためにも、まずは自分たちが実務をできるようになろう、っていうことで、いまは羽星くんと僕が厨房に入っています。

福知山出身でUターンしてきたシェフがいて、その人に指導してもらってるんですけど…彼の指導がめちゃくちゃスパルタなんです(笑)。でもおかげで料理の評判がすごく良くて。まだオープンから1カ月くらいですけど、お客さんからも『料理がおいしい』っていう声を多くもらえているのは、うれしいですね」

福知山から世界へ。クラフトビールでNo.1に

ふたりの夢がつながって、スタートを切ったばかりのCRAFT BANK。目下の目標は、醸造所とレストランの運営を軌道に乗せることですが、長い目で見たときの野望はなんなのでしょうか?

庄田「ビールで世界一になりたいですね。僕らが修行させてもらった『ひでじビール』は、世界的なビールの賞を総なめにしているんですよ。

それに福知山には、じつは『ワールド・チョコレート・マスターズ』という大会で2007年に優勝したショコラティエ・水野直己さんの店『洋菓子マウンテン』があるんです。

世界一になれば、福知山にいながらにして世界を飛び回ったり、外の世界としっかり接点をもってやっていけたりするっていうことを目の当たりにしているんで、僕らもそうなりたいですね」

羽星「僕個人としては、通った大学が横浜にあって、妻の出身も横浜なので、横浜でも何かおもしろいことをしかけたいですね。たとえば、イケてるクリエイターたちがビール片手に集まって、新しいことが生まれるような場所とか…」

庄田「僕は北海道でホップ畑をつくってみたい。妻の出身地が札幌で、第二の故郷みたいな感じなので。そのホップを使って、CRAFT BANKのビールをつくれたら最高です」

ビール片手に、「なんか」やろう。

自らの信じる道にまい進し、やりたいことを仕事にして周囲の人間も巻き込んで楽しく働くふたり。まさに“美しく生きる”を体現しているかのようです。

「やりたいことがあるけれど、一歩踏み出す勇気がなかなか出ない」という読者にメッセージを送るとしたら、どんな言葉になるでしょうか。

羽星「CRAFT BANKのキャッチコピーは、『ビール片手に、なんかやろう。』。この『なんか』っていうあいまいさが、すごく大事だと思ってるんです。

僕自身、すごくふわっとしたアイデアだけで福知山に戻ってきているし。深く考えていたら、クラフトビールをつくろう!なんて考えには至らなかったはず。だからこそ、『よくわかんないけど、とりあえずやってみる』っていう精神は、すごく大切だと思っています」

庄田「そうですね。僕も表向きには、『ビールでみんなを元気にしたい』っていうテーマでやっていて、もちろんそれは嘘ではないんですけど。

裏テーマは、『最悪、橋の下で寝たらええ』(笑)。独立したときに、先輩から言われた言葉なんです。ほんま、その通りで。まずはやってみれば、なんとかなる。そう思っています」

▼前編も読む

京都・福知山からクラフトビールで起業!経歴も年齢も違う2人が「世界一」を目指す理由 | ライフハッカー[日本版]

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Source/Image: CRAFT BANK