「自分をもっと成長させたい」「できるビジネスパーソンになりたい」「仕事と家庭を両立できる人間になりたい」など、自分と仕事、そして家庭に関してさまざまな思いを抱いている方も少なくないはず。
しかし、その点に関して意外なのは、『自分を劇的に成長させる! PDCAノート』(岡村拓朗 著、知的生きかた文庫)の著者の考え方。というのも、上記のように考えている方にとっての最強の武器となるのが「PDCA」だというのです。
ご存知のとおり「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」と評されるPDCAは、もともと品質管理や業務改善のためのビジネスフレームワーク。それがいまでは業種・業態を問わず、ビジネスの標語として浸透しているわけです。
たしかにPDCAを回すことができれば、仕事も自分自身の成長も、ほとんどのことが解決できるでしょう。また、多くの方がそのことを理解しているのではないかと思います。が、ここで問題があるのだと著者は指摘してもいます。
それは、多くの人がPDCAを知っているにもかかわらず、PDCAを回せないことです。PDCAを回さないのではなく、回せないのです。(「はじめに」より)
では、なぜPDCAを回せないのでしょうか? この問いに対して著者は、回し方を知らないからだと述べています。PDCAを回すには原則があり、それを知ることが大前提だということ。そこで本書においては、「PDCAノート」によるメソッドを提案しているのです。
PDCAをノートで回すメソッドを使えば、誰にでも簡単に、すぐにPDCAは回り始めるのだそうです。だとすればすぐにノートの書き方を身につけたいところですが、その前に覚えておいたほうがよいことがあるようです。
そこできょうは第2章「ノートを書く前に覚えておくべき『PDCA思考』」内の「『フレーム』があなたを動かす」に目を向けてみたいと思います。
無意識の行動はすべて「フレーム」である
著者によれば、PDCAノートを使う前に覚えておくべき概念が「フレーム」。一般的にフレームとは、物事を整理する際に使われる思考の型を指します。人はよくも悪くも、フレームに縛られているわけです。
朝起きたら歯を磨くのも、学校に通学するのも、会社に通勤するのもフレームの力です。(中略)
無意識化された行動というのは、フレーム化された行動と同義です。
日常的に行っているあらゆる行動は、フレームによって動いているので、考えなくても、無意識にできてしまうのです。(63ページより)
たとえば、「これをしたら、次にこれをする」というのもフレーム。そしてフレームが用意されると、脳はいちいち考えたり悩んだりすることなく、結果につながる行動をとるというのです。
つまりフレームを意識すれば、自然とそのとおりに動くことが可能。フレームを活用すると、楽に物事を進めることができ、思ったとおりの成果を手にすることができるということ。
著者が提唱するPDCAノートも、このフレームを最大限に活用したメソッドなのだそうです。(62ページより)
「いつもどおり」で脳も省エネ
結局のところ、「いつもどおり」が脳にとっていちばん楽だということのようです。
仕事が遅かったり、うまくいかなかったりする人は、脳に無駄なエネルギーを使わせているというのです。
つまりは、仕事の進め方や考え方を決めず、たびたび「どうしようかなあ」と頭を悩ませることが、脳に大きなエネルギーを使わせてしまうことなのでしょう。
意志の力(ウィルパワーといいます)は有限のリソースです。
悩んだり、意思決定を繰り返すたびに、脳は疲弊し、思考のスピードが落ちたり、考える精度が下がっていきます。
脳のエネルギーを消耗させないためにも、フレームをうまく使いましょう。(66ページより)
フレームがない人は、毎回無駄なところで考えたり、悩んだりしてしまうもの。しかしフレームを一度つくってしまえば、それは「作業」に変わることになるはず。
著者はそれを、「やることが明確で、自動操縦の車に乗っているようなもの」だと表現しています。いつもどおりにやればいいため、悩むことも必然的に減っていくわけです。
したがって、仕事の進め方にいちいち悩んで消耗していたという人も、フレームをうまく使って「いつもどおり」の作業に切り替えることで、それらを省エネ化し、本来頭を使うべき「計画や戦略を練る」「アイデアを出す」などクリエイティブなことにエネルギーを投入できるというのです。(64ページより)
PDCAノートは、PDCAを回すフレームそのもの
そして、そこでPDCAノートが重要な意味を持つのだそうです。フレームを使うことによって、これまで「知っている」だけで終わっていたPDCAを簡単に回せるようになるから。
しかも決して難しいことではなく、ノートとペンさえあれば、誰にでも簡単にPDCAを回すことは可能だといいます。
なぜなら、それが「フレームの力」だからです。
人はフレームによって動いています。これまで回せなかったPDCAを、ノートというフレームを活用して、ガンガン回していきましょう。(68ページより)
こうした「フレーム」のポテンシャルを軸に、以後の章では具体的なPDCAノートの活用法が解説されていくわけです。(68ページより)
著者は大学卒業後、社会に出てからPDCA思考を叩き込まれたことがきっかけで実績を積み上げてきたという人物。
現在は「時短×業務効率の仕組みコンサルタント」として、経営者やビジネスエキスパートに「PDCAノート活用術」をはじめ、仕事の成果を出すためのコンサルティングと、人生の質を向上させるためのコーチングを組み合わせたメソッドを提供しているのだそうです。
そうしたバックグラウンドに基づく本書を活用すれば、PDCAを理想的な形で回せるようになるかもしれません。
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Source: 三笠書房