最近、「ヴィーガン」という言葉を方々で聞くようになりました。
ご存知の方も多いと思いますが、ヴィーガンとは、卵や乳製品を含む動物性食品は避け、野菜、果物、穀類、豆類といった植物性食品を摂る食生活のこと、あるいはその食生活を実践する人を指します。
この言葉はイギリス発祥といわれ、欧米を中心に普及しました。そして、日本でもヴィーガンは増えつつあります。
週1回でOK。続けやすい「ゆるヴィーガン」
動物愛護や環境問題の観点から実践するエシカル(倫理的)なヴィーガンもいますが、健康を考えてはじめた方も多いです。
近年、動物性食品の摂りすぎが、生活習慣病など健康に与える悪影響が注目されています。
しかし、今まで肉、魚、チーズなどを食べてきた人が、いきなりそれらを全部やめてヴィーガンになるのは難しいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、いわゆる「ゆるヴィーガン」。週1回といった頻度でヴィーガン食を摂る方法で、世界中で人気が高まっている食のスタイルです。
ヴィーガン食はお弁当に最適。ヘルシーでたんぱく質も豊富
日本で「ゆるヴィーガン」をすすめるのが、ヴィーガン料理研究の第一人者・庄司いずみさんです。
庄司さんは、著書『からだが整う ゆるヴィーガン・レシピ 野菜がおいしい わが家の新定番』(世界文化社)の中で、無理なくはじめられるヴィーガン料理のレシピを多数紹介しています。
取り上げた食材のほとんどはスーパーなど身近な食料品店で買えるものばかり。つくり方も簡単で、時間もさほどかかりません。
例の1つが、大豆ミートの唐揚げを主菜にした「大豆ミートの満足弁当」。今流行の大豆ミートを使うことで、不足しがちなたんぱく質を十分摂ることができます。
庄司さんによれば、「ヴィーガン料理は冷めても味が変わらないものが多く、実はお弁当向き」なのだそう。
レシピは次の通り。3つのおかずをつくり、ごはんと一緒にお弁当箱に入れましょう。
大豆ミートの唐揚げのレシピ
【材料:2人分】
- 大豆ミート(ブロック):100g(戻したもの※)
- a―醤油:20ml、酒:30ml、しょうが汁:小さじ1/4、にんにく(すりおろし):5g、米油:6ml
- 片栗粉、小麦粉:各小さじ2
- 揚げ油(米油):適量
※ドライの大豆ミートは水、または湯につけて戻したら、何度か水を替えて丁寧に洗い、水気をしっかり絞る(大豆ミートのパッケージに記載の戻し方も参照)。

【作り方】
- ボウルに大豆ミートとaを混ぜて約5分間置き、味を馴染ませる。
- 片栗粉と小麦粉を混ぜて1の表面にまぶしつける。
- 揚げ油を熱して、2をからりと揚げたら油を切る。
いんげんのしょうゆ煮のレシピ
【材料:2人分】
- さやいんげん:200g
- 酒:50ml
- 水:100ml
- みりん:小さじ2
- 醤油:大さじ1
【作り方】
- さやいんげんはヘタを通り、2~3等分に切る。
- 鍋に酒と水を入れて沸騰させ、1とみりん、醤油を入れる。
- かき混ぜながら弱火で加熱し、水分がほぼなくなったら火を止める。
ごぼうとにんじん、ごまのきんぴらのレシピ
【材料:2人分】
- ごぼう:1/2本(80g)
- にんじん:20g
- ごま油:適量
- 赤唐辛子:1本
- a―酒、みりん:各大さじ1、しょうゆ:小さじ2、白粒ごま:大さじ1
【作り方】
- ごぼうは洗って皮を軽くこそげ、ささがきにする。鉛筆を削るように包丁を滑らせると良い。切ったものから水にさらし、さらした水は1~2度取り替える。
- にんじんは4~5cm長さの千切りにする。赤唐辛子は種を除き小口に切る。
- フライパンにごま油を熱して、赤唐辛子、ごぼう、にんじんを炒める。
- 野菜に火が入り、しんなりしてきたらaの調味料を加えて汁気がほとんどなくなるまで煮詰める。最後に白粒ごまを混ぜ込み、火を止める。

意外と知らない、「麩」も代替食材になる
「ゆるヴィーガン」では、麩や高野豆腐といった乾物も活用できます。特に、麩は100gあたり約30gものたんぱく質を含んでいます。
次に紹介する「車麩と玉ねぎ、スナップエンドウの生姜焼き」は、豚肉の代わりに車麩を素材にした、フライパンでつくれる和食。
ポイントは車麩に片栗粉を薄くまぶすこと。食感が良くなるうえ、たれのからみも良くなりますよ。
車麩と玉ねぎ、スナップエンドウの生姜焼きのレシピ
【材料:2人分】
- 玉ねぎ:1/2個(100g)
- スナップエンドウ:10本(80g)
- 車麩:2枚
- 片栗粉:適量
- 油:適量
- a―しょうが:ひとかけ(10g)、酒:大さじ1.5、みりん:大さじ1.5、醤油:大さじ1.5
【作り方】
- 玉ねぎはくし形切りに、スナップえんどうは筋を取る。しょうがは擦り下ろす。
- 車麩は水に10分間以上浸して戻し、両手で挟むようにして水気をしっかり絞る。
- 車麩を半分に切り、片栗粉を薄くまぶしつける。フライパンに油を熱して車麩を入れ、両面をこんがり焼いたら一度皿に取る。
- 3のフライパンをきれいにして油をしき、1の玉ねぎを炒める。玉ねぎがしっとり柔らかくなったら、スナップエンドウを入れて火を通す。
- 車麩を戻し入れてaを加え混ぜ、弱火にしてたれを全体に煮からめる。火を止め、器に盛る。

このように、本書にはこれから「ゆるヴィーガン」をはじめようという人にぴったりのレシピ80品目が掲載されています。
庄司さんによれば、「ゆるヴィーガン」をしばらく続けた人からは、「消化が早いようで、夜お腹いっぱい食べても朝にはお腹が空いている」「時々取り入れるだけでスリムになってきた」といった声が寄せられているそうです。
「ヴィーガンに興味はあるけれど、1日3食のヴィーガン生活はハードルが高い…」と思っている方は、まずは「ゆるヴィーガン」からはじめてみてはいかがでしょう。
Image: 『からだが整う ゆるヴィーガン・レシピ 野菜がおいしい わが家の新定番』 / Source: 世界文化社