「シュガーレスガムの効用」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
多くの方は、歯の再石灰化の促進など、虫歯予防効果が頭に浮かぶと思います。
しかし実はシュガーレスガムには、虫歯予防以外のさまざまな効果があるのです。
たとえば筆者は長年のガム愛好家ですが、ガムを噛む理由は、頬に刻まれた頑固なほうれい線を薄くするためと、無駄な食欲を発動させないためです。
そんなガムの虫歯予防以外の効果のなかから、ここでは仕事のパフォーマンスアップに役立つ効果を紹介していきましょう。
1. 緊張やストレスを抑える
脳には、扁桃体という小さな器官があります。
扁桃体の役割は、外部からの感覚情報が快か不快かを判断し、不快であれば怒り、恐怖、悲しみといった感情(ストレス反応)に振り分けます。
不快を伴う過度な緊張を感じているとき、扁桃体は活発に活動しています。
そこでガムです。
ガムを噛むことには、偏桃体の過剰な活動を抑制し、緊張を緩和する働きがあります。
また、ストレス下で分泌されるアドレナリンといった物質の血中濃度が、ガムを噛むことで低下することが確認されています。
プレゼンを控えているときや商談に臨むときは、どうしても無用の緊張にさらされがち。そんなときは、事前にガムを噛むことで、緊張を和らげることが期待できます。
2. 記憶力を向上させる
ガムを噛むことによって、脳にある海馬という器官の神経細胞が活性化することもわかっています。
海馬は、作業記憶(ワーキングメモリ)や短期記憶と関わる重要な器官です。
ある実験では、 ガムを噛む前と噛んだあとの2回、記憶力のテストをしたところ、噛んだあとのほうがテストの成績が良いという結果が出ています。
新しく仕事のスキルを覚えるときや昇格試験の勉強の際は、ガムを噛むとよいでしょう。
ちなみに、スーパーやコンビニのガムコーナーで、「記憶力を維持する」ガムをみかけますが、これはイチョウ葉抽出物が有効成分です。
イチョウ葉は、中高年の記憶力を維持する効果があるそうです。
嚙むこと自体とイチョウ葉で、ダブルの効果を得られるかもしれませんね。
3. 集中力を向上させる
限られた時間で多くのアウトプットを生み出すためには、集中力が欠かせません。
ガムには、この集中力を改善させる働きがあることが、実験からわかっています。その理由として、脳の前頭前野が活性化することが考えられます。
メジャーリーグの選手が、ガムを噛みながらプレーするのを時々見かけますが、これも「集中力を高める」ためと聞いたことがあります。
ビジネスの現場でも、締め切り前のもうひと頑張りで、ガムを噛むのは理に適っていると思います。
実際に噛んでみて
筆者は、これから仕事にとりかかる少し前に、ガムを数分間噛みます。
集中力・思考力を要する仕事については、仕事に着手する時点でガムを捨てます。これは、作業中も咀嚼していると思考力が働かないからです。
逆に、単純作業をする場合は、作業中もガムを噛んでいることが多いです。
頭を使う仕事では、直前にだけガムを噛む。頭を使わない仕事では、作業間もガムを噛む。
個人的な評価ではありますが、こうしたルーチンによって、効率やパフォーマンスが1割はアップしているとみています。
ワークハック的におすすめのガム
世の中にはたくさんのガムがありますが、筆者のおすすめは、オーラルケア社の「キシリトール100%ガム」です。
これは、甘味料としてキシリトールしか使用していないのが魅力。
通常は歯科医院でしか取り扱っていないのですが、Amazonで購入できます。

脳の活性化という意味では数分も噛めば十分なのですが、独特の甘さがクセになり、ついつい、いくつも食べてしまうのが難点といえば難点です。
もう1つ取り上げたいのが、マスティハガム。
これは、ギリシャのヒオス島にしか生えていない樹木の樹脂からつくられたものです。
世界で最初のガムと言われており、古代においては秘薬扱いでした。
『BREATH 呼吸の科学』(ジェームズ・ネスター/早川書房)では、顎を鍛えるために推薦されているガムです。

Amazonでは、10gで864円というのがコスパの点で気になりますが、噛み応えはピカイチです。
独特のかすかな風味はありますが、それは最初のうちだけ。すぐに無味になります。
ほかのガムと違って、「最後は飲み込んでOK」とありますが、いつまで噛んでも減らないので、あまり飲み込もうとは思いません。
価格面も考えると、1日に数粒だけ噛むのが正解だと思います。
Source: Amazon