以前の筆者は、容易に抜けきらない疲れを感じたら、「とにかく寝る」を信条にしていました。同じように考えて、実際にそうしているという人も多いのではないでしょうか。
ですが最近の研究によると、睡眠だけが休息(休養)の唯一にして最高の方法とは限らないことが判明しています。
「休息には7つのタイプがあり、疲労の原因に合った休息が必要」と唱えるのは、医師のサンドラ・ダルトン=スミス博士。
スミス博士が説く7タイプの休息とは、以下のものです。
- メンタル面の休息
- 感覚の休息
- クリエイティブな休息
- 感情の休息
- 社会からの休息
- 魂の休息
- 身体の休息
このうち最後の「身体の休息」が、最初に述べた睡眠をとる(あるいはヨガやストレッチをする)ことです。
「疲れたな」と思ったとき、まず7タイプのどれに当てはまるかを吟味。そして、それに応じた休息をとるべきというのが、スミス博士のアドバイスです。
上司に呼び出され、ある問題について話し合うとき、衝突を予期して、感情のエネルギーや社会的なエネルギーを使います。
渋滞にはまったときは、周辺状況を処理するため、メンタルのエネルギーや感覚のエネルギーを使っています。
スミス博士は、TEDでこのような説明をしていますが、なるほど、上司の叱責を受けたり、1時間も渋滞につかまったとき、睡眠でその疲労は解消しないだろうと納得できます。
では具体的に、どのような休息をとればよいのでしょうか?
ここでは、ビジネスパーソンやクリエイターによく見られる「メンタル面の疲労」と「クリエイティブの疲労」を説明します。そしてそれらの休息法を、筆者が実際にやっている方法と合わせて見ていきましょう。
メンタル面の休息のとり方
人間関係がなにかと不安定な職場にいて、自身もイライラ気味で、仕事に集中できていなければ、もれなくメンタル面で疲労しています。
何杯ものコーヒーや休日の寝だめでは解消しない厄介な問題でしょう。
スミス博士のアドバイスはシンプルです。
まず、勤務時間中は「2時間ごとに、短い休憩時間をとる」。
オフタイムは「散歩をしたり、洗濯物を干したり、片付けたりと日常的なことをする」です。
勤務時間の休憩は、ただパソコンの前に座っているだけでは効果は薄いでしょう。
席を立ち、オフィスを出て、自動販売機でドリンクを買いに行くくらいの動きを伴うことで、メンタルの疲れは癒されます。
その間はくれぐれも、さっき起きた同僚とのいさかいとか、顧客からのクレーム案件は、頭から振り払うように。
筆者の場合
筆者は、会社員時代よく無人の会議室に行って、そこで知恵の輪をいじってました。
当時は、「メンタル面の休息」という概念自体は知りませんでしたが、無意識のうちにどうすればよいか、わかっていたのかもしれません。
フリーランスとなった今は、ほぼ在宅勤務なので、メンタルが煮詰まると、夕食の下ごしらえをしたり、整理整頓するなど、合間に短時間の家事をはさみこむようにしています。
クリエイティブな休息のとり方
何かを創造する仕事は、オフィスワークとはまた違った消耗を伴います。
ホワイトカラーの人でも、新しい企画やアイデアを考える際は、クリエイティブなエネルギーを使い込んでいます。
スミス博士は、主に2つの休息法を提案しています。
1つ目は「自然の美しさに感動すること」。
2つ目は「芸術を楽しむ時間をもつ」ことです。
1. 自然の美しさに感動すること
自然の美しさの例として、スミス博士は、「グランドキャニオン、五大湖、ナイアガラの滝」を挙げていますが、そこまで壮大な景観でなくても大丈夫。
筆者の場合
筆者は、どんなに忙しくても週に1回、自然に触れる機会をスケジュールに組み込んでいます。
それは、観光客があまり訪れない森や滝、そして市街地から遠い自然に囲まれた神社仏閣です。
ほとんどは半日で帰れる近場にして、肉体的な疲労を抑えます。また、同じ場所には立て続けに2度3度と行かないようにし、マンネリ感を防いでいます。
2. 芸術を楽しむ時間をもつ
もう1つの「芸術を楽しむ時間をもつ」というのは、なにも絵を描いたり、楽器を弾いたりというような、特別なスキルを要するものでなくてOK。
「素晴らしい音楽を聴く、好きな場所の絵や写真を職場に飾る」というだけでも、クリエイティブな力を回復させ、インスピレーションを引き寄せるそうです。
筆者の場合
欧米人に比べ日本人は、絵や写真を飾るという習慣があまりありませんが、インターネット上の絵や写真のギャラリーを時々見るのでもよいと思います。
筆者は、1Xという世界でも最高レベルのオンライン写真ギャラリーを時々ながめ、英気を養っています。